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全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第2章
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不可解〈カイル〉

 俺は、今のこの状況が飲み込めない。


 この様子ではルキアと水籠(みごもり)には俺が知らざる何らかのつながりがあるのはまちがいない。


 ルキアは今言った。



『‥‥‥‥‥分かってる。もし、カイルが本当のルキアを知って、それでもいいってんならそうする。確かに誓ったし。でも、たぶん‥‥‥‥‥そっちから取り消すだろうな。』



 これってルキアは、俺がルキアの何らかの隠し事の真実を知った後で、それでも俺がいいなら俺との誓いをこのまま守るってことだ。


 水籠(みごもり)の前でそう言ったルキアならば水籠(みごもり)に恋愛感情はないんだろう。



 しかし、水籠(みごもり)の方はどうだ?


 この態度。



 俺がルキアに手を伸ばしたらすかず邪魔に入った。


 ‥‥‥‥やっぱりな。こいつはどう見てもルキアを狙ってる。





 水籠(みごもり)はルキアが何を隠してるのかを知ってる。


 それって一体?


 今ここでは水籠(みごもり)もルキアも俺に言う気がないらしい。


 ルキアが泣き出してしまうような秘密を、今無理に暴こうなんて俺は思ってない。そりゃ、すっごく気にはなるけど。


 その隠し事のことでルキアは水籠(みごもり)に泣かされていたんだな。

 後で直で説明するから今は帰れと言って来た水籠(みごもり)



 だからってなんでルキアを狙ってるらしき水籠(みごもり)とルキアが二人きりで帰ることになるんだよ?




「だったら条件がある。」


 俺に向かって頭を下げた水籠(みごもり)に言った。


「ルキアは俺の彼女だ。そこ、よく解っとけ。」



「‥‥‥‥‥ああ。」


 水籠(みごもり)の顔に気色(きしょく)が現れたが、やつは飲み込んだ。


「あと、ルキアに絶対触んな。1メートルより近づくな!いいな?」


 水籠(みごもり)の目がわずかにすがめられたのを俺は見逃さなかった。


「出来ないのか‥‥‥‥‥?だったら今、すべてはっきりさせろよ。」


「‥‥‥‥っ、ガキみたいなこと言いやがって。」


 地面をシャッと一回蹴飛ばしてからぷいっと横を向いた。


 水籠(みごもり)はふてくされた言葉を吐きつつも一応わきまえたようだ。




 次はルキアに。



「ルキア、来て。」



 ルキアは落としていた左手の手袋をはめるとおずおずと俺の前に来た。


「ルキア。俺、ルキアの言えずにいる秘密を知ったところで俺の気持ちは変わらない。俺たちの誓いも。」


 ルキアは憂色をたたえながら俺を見た。


「‥‥‥‥‥‥それはどうかな?」


「俺を信じて、ルキア。」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


「君との誓い通り、今日帰ったらロメルにも話す。だから‥‥‥‥‥。俺たちは誓いで結ばれてるって忘れずにいて。」


「ありがとう、カイル。約束を守ってくれるんだ。なら、お、ルキアも誓いを守る。ロメルは裏切られてたわけじゃない。傷つく要素なんてなかったんだって伝えて。」


 ルキアは俺にそう頼むと安堵したように気弱に微笑んだ。


 ちょっと憔悴してるようだ。


 ここに水籠(みごもり)がいなかったら‥‥‥‥俺が抱き締めて君を包み込んであげられたのに。



 見つめ合っている俺たちに水籠(みごもり)が水を差した。




「‥‥‥‥‥‥‥おい、もういいだろ?」


 水籠(みごもり)のやつ、さっきは突然しょぼんだと思ったらすっかり元にもどってる。



「必ず、連絡しろよ。今日か明日だな?」


「ああ、約束は守る。そこで日時を決める。冬休み中には3人で直で会って話そうぜ。おまえにもちゃんと説明する。」


 俺が確認すると、水籠(みごもり)はそうはっきりと言った。


 俺たちは計らずもLINEでつなげられた。




「じゃあな。」


 水籠(みごもり)は寂しく照らされた小道を進んで行き、その後ろをルキアがとぼとぼついていく。


 俺はそれを暫く見送ってからくるりと向きを変えて家路を急いだ。


 俺はいても立ってもいられない。



 二葉にルキアのことを聞かなければならない。ルキアと二葉は友だちだ。


 今日、ここにルキアが来たいきさつについても二葉が知っている。



 家に帰って落ち着いてからだ。


 二葉は油断ならない。


 使う言葉を間違えたら軽くあしらわれてしまう恐れがある。







 俺が家に着いた頃には、既にロメルは夕食の支度を終えて自室にこもっているようだった。


 俺はロメルに見られない内に急いで洗面台に向かった。



 鏡を見る。


 本当だ。あれからハンカチで拭いたけど細かいキラキラが口まわり全体に広がってる。やっば。



 俺はそこにおいてあった母さんのクレンジング石鹸で念入りに顔を洗った。



 これでどうだ?‥‥‥‥よっしゃ。取れた。


 ロメルや母さんに見られたらヤバかった。




 俺は部屋着に着替え、ロメルの部屋をノックした。


「カイル?どうぞ。」


 ベッドの上で壁にもたれてスマホをいじっていた。


「ロメル、夕食の用意サンキュー。」


「何の用?」


「ちょっと話があるんだけど、いい?」


「‥‥‥‥‥‥うん、何?」


 俺はベッドの端に座った。


「ある人に頼まれたんだ。ロメルに伝えて欲しいって。水籠(みごもり)のことで。」


「‥‥‥‥‥‥‥‥ある人?」


「だからってロメルはもう水籠(みごもり)と関わんなよ?」


「‥‥‥‥‥‥‥‥なあに?いったい。」


「ロメル、水籠(みごもり)に他に付き合ってる子がいると思ったんだろ?でも、それは誤解だ。ロメルは裏切られてたわけじゃないってこと。ロメルは裏切られてたわけじゃないから傷つく要素なんてないって。その人からの伝言。 」


「‥‥‥‥‥それ、昨日二葉ちゃんのおうちで流河くんからも聞いたの。もう、いいのよ。そんなこと、どうだったとしても。まさか、流河くんがカイルにも頼んだの?私に伝えるように。流河くんよね?そんなことまでしてくれてたの?もしかして流河くん‥‥‥‥沙入くんのことじゃなくってほんとに私のことすっごく心配してくれてたんだ‥‥‥‥‥!」


 ロメルがなぜだか嬉しそうだ。


 水籠(みごもり)関係の話なのに何故だ?ロメルのその笑み。

 あんなに泣いてたのに。立ち直り早くね?


 それに、今出たその名前は‥‥‥‥



「『ルカくん』って誰?ロメル知ってるの?」



 水籠(みごもり)がルキアのこと『ルカ』って呼んでた。同じじゃん。


 そうそうある名前じゃないだろ。



「え?うん。沙入くんの親友よ。カイル、流河くんに頼まれたんでしょ?」


水籠(みごもり)の親友って『ルカ』っていう女の子なのか!」


 それってルキア!?


 でもあの時、ロメルは水籠(みごもり)に抱きついたルキアのこと、知らなかったよな?だから誤解したんだろ?



「何言ってるの?流河くんは男子よ。流河()()って言ってるでしょう?」



 じゃあ、名前が同じだけの別人だ。男子の『ルカくん』とルキアの別名『ルカ』。



「‥‥‥‥‥‥どんな人?」


「どんなって‥‥‥‥‥‥流河くんはすごくいい人よ。カッコいいし、ぶっきらぼうに見えるけど実はすっごく優しいの。うふふ。」


 ロメルは何か思い出したようでどこかうっとりしてる。




 ああ、訳わかんねー!


 何が何だか?




『ルキア』は『ルカ』で女の子。


『ルキア』は美少女。『ルカくん』はカッコいい男子。


 じゃ、『ルカ』と『ルカくん』は別人。


『ルキア』を知らないけど『ルカくん』は知ってるロメル。


『ルカくん』は水籠(みごもり)の親友で男子。


『ルキア』は水籠(みごもり)と何らかのつながりの女子。


 じゃ、『ルキア』は『ルカくん』じゃない。


『ルキア』と『ルカ』と『ルカくん』って?



 ‥‥‥‥‥‥‥?




 俺には何が何だかさっぱりだ???









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