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全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第2章
82/142

自省〈沙入〉

 えっ?



 今、なんて言った?



 カイルがルキアと交わした誓い。



 ルキアがカイルとくちびるを重ねてした誓い。



 それが‥‥‥‥‥‥




         『水籠(みごもり)に報復しない。』





「‥‥‥‥‥‥何だって‥‥‥‥‥‥それ‥‥‥‥‥‥」



 流河。



 おまえって。



 何なんだよ?



 どうして‥‥‥‥‥‥‥?



「‥‥‥‥‥‥流河、おまえ‥‥‥‥何やってんの?‥‥‥‥‥マジおまえバカだろ‥‥‥‥‥‥‥それって‥‥‥‥‥俺のため?」



 俺は一気に脱力した。





 ああ、まただよ。俺。


 流河のすること、一部分だけ見て誤解して、でもほんとはそんなんじゃなくて‥‥‥‥‥



 一人で疑心暗鬼に陥って流河を疑って、でもほんとはそんなんじゃなくて。



 流河はいつだって空気読めねー鈍感なやつで、裏で何か上手く出来るやつじゃなくて。



 単純でぶっきらぼうで、不器用で、そのくせけっこー人に気ぃ使ってたりする。気がよくて、優しくて、マジいいやつで。こんな俺のこと慕ってくれてんのに。



 知ってる。


 流河はいつだって俺のことリスペクトしてくれるって。



 俺ときたら‥‥‥‥‥‥サイテー。


 自分中心にしか考えられねー思考回路。




 俺は両膝に手を置いて下を向いた。


 だってそうしなきゃ、立ってらんない。



 それに‥‥‥‥‥‥



 今の顔、誰にも見られたくねーしな。




水籠(みごもり)、おまえ、ルキアが俺の彼女になってたことが悔しいんだろ?」



 カイルが俺を煽る。



 バーカ。ちげーよ。



 ルキアの心は、流河の心はこっちにあんだ。カイル。


 俺のもとに。




 俺は顔だけやっと上げてカイルを見る。 


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥おい、カイル。」


「何だよ?」


「カイル‥‥‥‥‥‥今日はもうこのまま帰れ。」


「帰れって‥‥‥‥?ルキアを泣かせたおまえをこのままにして帰れるわけないだろっ!おまえルキアに何した?なんで泣いてる?」



 カイルもある意味ルキアの被害者とも言える。俺もだけど。


 流河に説明責任がある。


 でも、今は心を落ち着かせるための時間が必要だ。


 カイルに、今いきなり本当のことを教えたら余計に事態が混乱するだろう。


 それに、俺は肝心なことをまだ流河に聞いていないんだ。カイルが急に現れたせいで。



「‥‥‥‥‥‥訳は‥‥‥近い内に直接お前に話すと約束する。それでいいだろ?」


 俺はようやく体を起こした。




「ルキア、水籠(みごもり)に何か言われたのか?その涙は何でだ?」


 カイルはルキアになってる流河を俺から守ろうとしてる。


 ああ、こいつまだ彼氏のつもりでいるんだもんな。





「‥‥‥‥‥‥ごめん。でも騙そうとしたわけじゃ‥‥‥‥」



 流河はカイルに言って目をそらした。



 流河の冷たい態度にカイルが傷ついた顔になった。



「俺とルキアの誓いはここにあるんだぜ?今さら取り消すなんて許されない!」


 カイルはルキアにガチで恋してる。



「‥‥‥‥‥分かってる。もし、カイルが本当のルキアを知って、それでもいいってんならそうする。確かに誓ったし。でも、たぶん‥‥‥‥‥そっちから取り消すだろうな。」



 ‥‥‥‥‥流河?


 おまえ、今、それ何言ったか分かってんの?


 約束を守ろうとする気持ちはわかるけど、その言い方だと。



「何言ってんだ。そんなことあるわけないだろ!」


 カイルはルキアの姿の流河に腕を伸ばす。



 させるかっ!


 俺はすかさず間に入り込む。


 これ以上流河におかしなことはさせない。


 俺のために。


 もう二度とそんなことは。



「流河に触んな。それに流河、そんな誓いで俺を護ってくれなんて、俺一言も頼んでねーし。‥‥‥‥さあ、帰るぞ。」



 俺と流河はバディだ。対等だ。流河の犠牲で護られるなんてごめんだ。



「‥‥‥‥カイル。後で‥‥‥‥‥‥今日か明日、必ず連絡する。だから今は黙って帰ってくれ。」


 俺は頭を下げた。



 この場は何とか収めなければ。


 このおかしなつながりで絡まってしまった俺たち3人のために。


 今はプライドなど関係ない。


 



「だったら条件がある。」


 カイルが流河と帰ろうとしてる俺を牽制した。








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