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全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第2章
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疑心〈沙入〉

 ルキアになった流河とカイルが会ってた‥‥‥‥何で?


 こいつ流河を追いかけて来たのか?ってことは流河はこいつから逃げて来た?


 流河、ここに来るのに走ってたよな。


 カイルも走って来てた。


 何かあったのか?二人の間に。




 俺は状況をとらえようと思考を巡らせた。



 ちっ、なんだよ?カイルが俺を睨んでる。



「おまえっ!直前でびびって俺から逃げてこんな所に潜んでたのかよ?嗤えるぜ。水籠(みごもり)!」



 カイルはいきなり俺に意味不なことを言ってきた。


 俺がこいつにびびって逃げたって?


 なんか勘違いしてんのか?大丈夫かよ?こいつ。



「‥‥‥‥‥何言ってんの?あんた。」


 俺が聞いてんのに聞いてやしねーの。こいつ。


 変わらず敵意丸出しで俺にガンつけてる。


 ロメルのことで俺を逆恨みしてんの?


 俺のロザリオをつき返して来たのはそっちからだぜ?


 それに俺はもう、先に進んじゃってる。いつまでも大昔のこと言ってんじゃねーよ。おにーさま。




「ルキアを放せっ!水籠(みごもり)!」



 俺は流河の左手首を掴んだままだった。


 カイルが用があったのはルキアのカッコした流河。


 流河に何の用が?



 でもな、俺、肝心なことを流河に言ってる途中だったんだぜ?


 邪魔しねーで欲しかったな。


 最重要事項、まだ聞いてないのに流河の手を放すわけないでしょ。



 カイルは俺に対抗しようとしたようで、流河の空いている右腕を掴むと引っ張った。



「うわっ!」



 流河がよろめく。


 何なんだ?いきなり来てこの態度。


 今は俺と流河が話してんのに。




 いきなり割り込んで来て、ずいぶん強引じゃねーの?



「ルキアを放せ!水籠(みごもり)!」



 しかも、ルキアって呼び捨てなんてなれなれしくね?


 ルキアはクリスマスイブから俺の彼女だぜ?一応。



「‥‥‥‥嫌だね。あんたにかんけーねぇだろ?いきなり何だよ?あんた。」


 うっぜーやつ。失せろって。




 外灯の下、ルキアを挟んで俺とカイルは睨み合った。




 間に挟まれ、両手をそれぞれに掴まれた流河はおろおろしてる。



「おいっ!止めろって!沙入、カイル。」



 通行人が面白いものでも見るように嗤いながら通り過ぎてく。


 くっそ!見せもんじゃねーっつーの!



 なんで、ロメルのあんちゃんが流河を放さない?



 ふと、俺はカイルの口許が光っているのに気づいた。



 ‥‥‥‥‥‥これって。




 イブのあの時‥‥‥‥‥‥



 俺はルキアにリップグロスをさんざん移されていた。


 その後口許をハンカチで拭ったけど、その場で鏡を見たわけじゃなかった。


 家に着いて洗面台で鏡を見た時、赤面した。


 落ちにくいんだな。あーいうキラキラ。


 俺のくちびるにも口の回りにまでよけい広がっちゃってて。


 帰り、コンビニに寄った時、俺の顔見た店員のおねーさんの目がなぜか一瞬見開いたのを思い出した。




 カイルの口許。


 あの時の俺と同じ。


 ‥‥‥‥‥‥それ、ルキアのリップグロス。



「‥‥‥‥‥おまえ‥‥‥くちびるに付いてんの‥‥‥‥‥まさか‥‥‥」



 こいつっ!


 まさかっ!


 流河に俺と同じ事を?今してた?



「‥‥‥‥おまえっ!こいつに何しやがったっ!」



 俺は思わずカイルの胸ぐらを掴んだ。


 反射的に。



水籠(みごもり)には関係ないだろ。ルキアはただ、お前のギターのファンってなだけなんだから。ルキアは俺の彼女なんだ。俺たち、誓い合ってんだからな。」



 どっ、どういうことだよ?


 ルキアがカイルの彼女?


 流河はルキアとしては俺の彼女になったはずだった。


 確かにあの後今日まで5日シカトされてたけど、それでも‥‥‥‥まだ5日だぜ?



「‥‥‥‥彼女って‥‥‥‥‥おまえ‥‥‥‥何で?」


 俺はルキアの姿をした流河を見る。



「‥‥‥‥それは‥‥‥‥」


 流河は俺に見られてびくりとした後キョドってる。



 ‥‥‥‥‥‥流河はルキアになって俺をその気にさせてからシカトこいて、今日はカイルとデートしてたって訳だ?


 こいつには俺についてはただのギターのファンってことにしてあるんだ?




 流河、一体どうなってんの?


 さっき俺に言ったこと嘘?


 本当は女装趣味あんじゃね?


 そんで男騙して遊んでんの?


 おまえそれじゃあの露出変態オヤジと一緒だぜ?


 しかも男を本気にさせる分悪質じゃんか。


 俺も。このカイルもガチになってんじゃん?




 哀れな誓いだな。カイル。


 何にも知らないで。



「で、誓い合ったって?何を誓い合った?」


「はんっ。俺とルキアの愛に決まってんだろ?それに‥‥‥‥」



 ルキアにマジに惚れてやがる。


 ったく、どーすんのこれ?流河くんよ?


 結末はどうなんの?ねぇ。




「‥‥‥‥愛?‥‥‥‥‥それに?」



「俺はロメルを傷つけたおまえをフルボッコにしてやりたいとこだけど、手出しはしない、それはルキアに誓ったから。俺は水籠(みごもり)に報復しないってな。俺らの神聖な誓いでなっ!」


 カイルは自分のくちびるを指差しながらしたり顔で俺に言った。





 えっ?



 今、なんて言った?



 カイルがルキアと交わした誓い。



 ルキアがカイルとくちびるを重ねてした誓い。



 それが‥‥‥‥‥‥




         『水籠(みごもり)に報復しない。』





 おい、流河?







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