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全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第1章
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カイルの心

 ロメル‥‥‥‥‥俺の妹。


 俺は今、眠れずに自分のベッドの中でロメルのことを考えてる。


 今日の帰り、偶然俺の耳に入ってきた衝撃の言葉。

 俺はそれが本当のことなのかロメルに確かめた。


 ‥‥‥‥ロメルは隣の中学校に彼氏がいるのは本当だと言った。





 俺たちには父親がいない。顔すら知らないし、存在の影すら感じたこともない。

 父親の話すら聞いたことがない。

 俺たちは幼い頃は "父親" というものさえ何なのか知らなかった位だ。


 俺たちの容姿からして白人男性なのだろう。それ以外はわからない。


 

 ウェービーな薄い髪の色は俺たち共通だ。

 俺はいかにもハーフだと判る顔立ちだけどロメルはどちらかと言うと母親寄りだ。


 俺たちが住んでいるこの小さな3階建ての建物の1Fは母親の実家の経営している設計事務所。母親もここで設計士として働いている。

 2Fは母親の両親が住み3Fは母親とロメルと俺が住んでいる。


 

 母親は仕事で現場に出ている事が多くて帰りも遅い。だから俺とロメルである程度家事をしなきゃならなない。休日は掃除、洗濯も手伝うし、平日の夕食の用意は俺たちの仕事だ。


 俺らが小さいころはばあちゃんが面倒を見てくれたが、今はもう自分たちの事はすべて自分たちでやっている。


 だからロメルと俺は天文部に入っている。


 天文部は丁度いい。なぜなら天文部は緩い部活だから。行きたい時だけ行けばいい。この学校は特別な理由が無い限り部活入部強制だ。



 中学校に入ってからは、協力して家事をこなし、配達された食材で食事の用意をし、二人でご飯を食べ、宿題をやり、8時前後に帰ってくる母親の帰りを待つ。

 今はそんな生活だ。



 もし、ロメルが存在しなくて俺一人だったらこれってすごく辛い生活だっただろうと思う。




 だけど、俺にはロメルがいる。



 これって神様からの俺への最高の贈り物だ。



 ロメルさえいれば俺は今の生活が断然気に入っている。

 ロメルとなら他人のように気を使うこともなく自然でいられる。寂しさなんて感じることもない。

 俺、一生こうやってロメルと過ごしたって構わない。




 そう思ってんのに‥‥‥‥!


 最近ますますキレイな女の子になってきたロメル。

 優しくて美人の俺の妹。



 小学校6年生の夏休みのあの日の出来事。


 俺は近くの雑木林の中に事前に目をつけていた樹があった。そいつに蜜を塗っておいた。

 カブトムシとクワガタを捕まえようと思って。


 次の日の早朝、俺はロメルを誘って雑木林のその樹に向かった。


 その雑木林の中で‥‥‥‥‥




 俺は立ち会ってしまった。


 あの時のロメルの顔。


 ショックと恥ずかしさでおろおろして。


 染みのついたスカート。


 ミニスカートの内ももから垂れる赤い液体。



 俺にだって衝撃だった。


 今だって鮮明にロメルの白い脚と血の光景が目に焼き付いて。



 双子だけど、俺とロメルは全く違うって思い知った。

 あれ以来、俺はロメルを女の子として意識し出した。


 俺たちは兄妹だから、特別な関係だ。


 このまま兄妹としてだっていいんだ。

 この関係に割り込んでくるやつは邪魔だ。

 俺たちは二人だけでいいんだ。それで上手くいってんだから。




 なのに‥‥‥ロメルに彼氏って?


 そんな様子今まで全く無かった。


 しかも、よその中学校の生徒だなんて。いつの間にそんなやつと知り合ったんだ?


 ロメルが出掛けるのは大抵あのおかしな騒がしい女子、中村二葉と一緒だ。

 他のやつと出掛けることなんて滅多にないだろ?


 何でロメルがあんな女子と仲がいいのかわかんねーけど、きっとあいつなら事情を知っているに違いない。

 そしてその男は誰なのか突き止める。ロメルから話してくれることなんて無いだろうから。




 俺の心はこんなにもロメルを必要としている。


 

 俺、ロメルを手放したりしない。絶対に。











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