ホントは見てた〈二葉〉
あの日の追憶。
ーーーーーー私、なんか浮かれてる。
イルミネーションきれーだなー‥‥‥‥‥
ちょっと体も頭もふわふわしてる。あははー!
私、クリスマス気分でハイになってんのかな?
こんなんではしゃいでちゃ、まるでほんとの小学生みたいじゃん、私。
ついつい大きな声でちゃう。セルフコントロール困難。
流河くんがあきれた顔してる。
いや、今の君はルキアちゃんだ!
私が命名する。ふふふーん、なかなかいいでしょ。ルキアちゃん?
ふわぁーん‥‥‥‥‥なーんか今度はちょっと眠くなって来たなー‥‥‥‥‥‥
あー、眠くなると勝手に English が浮かんでくるよ。
私は睡眠前には必ず英語のリスニングをするという、たゆまぬ努力をしている。
っていうのは嘘とほんとが半分こ。
ってゆーのもさ、英語聞いてるとさ、よくわかんないからすぐ眠くなって良く眠れるんだよねー。単なる睡眠導入剤。音楽とかだとついつい聞き入っちゃってさ、眠れないんだよね、私。
それでもさ、知らないうちに結構英語も覚えてるから不思議だよ。これが、噂に聞いた伝説の睡眠学習ってやつ?
私はルキアちゃんに話しかける。
「わーい!I wish you a merry Christmas !Rukia!」
噴水が七色になった!うわー、天国みたい。
もうちょっと見ていたいな‥‥‥‥‥ふふぁー‥‥‥
ルキアちゃんにそうワガママ言ってみたら聞いてくれた。わーい!
私とルキアちゃんは並んで噴水池の縁に座った。
私は上だけ振り向いた姿勢で後ろの踊るような水のパフォーマンスを眺めている。
あれあれ、目が、まぶたが重たいよ‥‥‥‥半目閉じになっちゃう‥‥‥‥‥‥せっかくここに寄ったのに。よく見ておかなきゃ‥‥‥‥‥
ほーんと、What a beautiful performance!まるで‥‥‥夢‥‥‥夢の中みたい‥‥‥‥‥‥お兄ちゃんとマナカさん、今頃は?‥‥‥‥うーん‥‥‥I hope they're ‥‥‥‥having a‥‥‥‥lovely ‥‥‥‥time‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「やめろって!放してくださいっ!」
‥‥‥‥‥ん?‥‥‥あれ?近くで人の声がする。むにゃむにゃ‥‥‥
‥‥‥何?誰が言ってんの?うるさいなぁ‥‥‥誰の声?う‥‥‥ううん‥‥‥
「いいじゃん。来いよ。」
っん?
誰に言ってんの?
この声は‥‥‥‥麻井くん?はっ?なんで?
私は知っている声に反応して目を覚ました。
おうっ!いっけない!私、一瞬マジ寝してたわ!やだーもうっ!
私が声の方を見たら、そこには麻井くんに攻められてる流河くんが!
あっは、くっくっくっくっ!マジ?
ヤバい!面白過ぎじゃん。
麻井くん。私、下向いて寝てたから私がいるって気がついてないんだ!髪型もかえてるし。
こりゃ傑作!このまま見てようっと。
結局最後は麻井くんが玉砕されるんだろうけどね。
私は再び下を向いて寝てるふりをした。
これで麻井くんの黒歴史また一つゲット!ふふふーん。
ううっ、肩が‥‥肩が揺れちゃうよ。おかしくてさ。
「無理っ!」
「じゃあ、1時間でいいからさ。何でそんなに嫌がんの?」
「悪いけど・・・・・その・・・・・」
流河くん、声もわりと女の子になってるよ。やるじゃん。
でも麻井くんに押されぎみだね、めっちゃ困ってるじゃん。がんばれー。
そこで想定外が起きた。
なぜか突如沙入くんが現れて麻井くんを撃退して流河くんを助けた。
まさか、ルキアちゃんの正体見破ってたのかな?
助かったルキアちゃんこと流河くんが喜びの舞。
沙入くんに飛びついた。
私、そろそろ寝たふりも止めよう。
そう思った時に、更なる想定外‥‥ううん、これは当然だったね。
クリスマスイブの公園→恋人たち集まる→沙入くんが来た→当然彼女も来る→ロメルちゃん来る。
でも、こんな光景になってしまうのは想定外!
誤解したロメルちゃんと沙入くんが修羅場に。流河くんがなだめてるけど、ロメルちゃんも沙入くんも聞く耳持たず!
ヤバい!ここでこの誤解を解けるのは私しかいないよ。
私が仲裁すべき?
でもさ、私、この沙入くん実はあんまり気に入ってないんだよねー。
別に人の恋を邪魔する気はないんだけど、気に入んないのを応援する気もないんだよね。
ロメルちゃんには真面目な読書好きみたいな人の方があってんじゃん?
こういう派手っぽい人より。
うーん‥‥‥‥‥‥ここはなるようになればいいんじゃん?ねっ。
結局はロメルちゃんと沙入くんの問題でしょ?
これを乗り越えるか壊れるかは二人次第だよ。
私のポジションは俯瞰モード。
私は膝上に置いた荷物のバッグを抱える腕の隙間から、うつむきながらも薄目を開け様子を見ていた。
結局ロメルちゃんは怒ってわなわなしながら沙入くんにロザリオを突き返した。
沙入くんもすごいムカつきオーラ全開でさっさと受け取ってた。沙入くん、こっわ。
もう、速攻だね。沙入くんて。早速ハンターモード全開。
ロメルちゃんが行ってしまったと思ったら、沙入くん今度はルキアちゃんとなってる流河くんを誘い始めた。
そっか、流河くんの女装、見破ったわけじゃなかったんだね。
まあ、誘いたくもなるよね。こんな美少女と知り合ったんだからさ。こんなきっかけなんてそうそうあるもんじゃないだろうし。
私だって女の子モードのままの流河くんといたくて言いくるめてこの姿のまま誘い出したわけだしね。
美しいものは誰だって好きに決まってる。そんなのに理屈なんてないもん。
でもさ、さすがの流河くんも親友にナンパされちゃったらね、困っちゃうよね。
私は起きるタイミングを逃したまま寝たふり。
さて、流河くんどうすんの?
ま、ピンチだし、私を置いて逃げたって怒ったりはしないよ。流河くん。
そう思ってたのに。
流河くんは私のもとに来たかと思ったらひょいって私をお姫様みたいに抱えた。
すごい!私36㎏もあるんだよ。
まあ、女の子の中でも軽い方だけど。
うふふー。ちょっといい気分。
早足で出口に向かう流河くん。
流河くんて、こんなに細く見えるのに力持ちなんだね。
男の子ってすごいね。
もうちょっと寝たふりしててもいいかな?
だって私だって多少は憧れてたんだよ。
王子様のお姫様抱っこ。
これは美少女によるお姫様抱っこだけどま、そこは。
これは私のクリスマスイブのささやかなちょっとうふふな出来事。




