表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第2章
61/142

焦らされてんの?〈沙入〉

 俺は足音の方を見据えていた。


 なんと‥‥‥‥‥現れたのはルキアだった!


 息を切らしている。



 これって俺を追いかけてきた?


 うん、きっとそうだ。



 さっき抱えていた妹がいなくなってる。



 理解。


 さっきあわてて去って行った訳。


 きっと俺と二人きりになるため、邪魔になる妹を先に帰して来たんだな。


 ふふん。なんだ、俺から逃げて行っちまったのかと思ったら。


 もとから俺推しの子だったみたいだし。そーゆーことね。




「あれ?‥‥‥‥ルキアじゃん。どうした?もしかして‥‥‥‥‥俺を追いかけて来たとか?」


「ち、違うから。」



 俺が言うとすぐに否定した。


 照れてんの?ツンデレ?この子。



 まだ息切れさせてる。どんだけ走って来たんだよ?



 ルキアはかがんで緩んだゴールドのシューレースを結び直した。


 そのスニーカー、紐の通し方いい感じじゃん。



「大丈夫?ルキア。じゃ、何でこんなとこ来たんだ?」


「だってこっちが帰りに近道だったから。でも‥‥‥‥途中で、変態が‥‥‥変態が‥‥‥出て‥‥‥コートをバッて開いて、で、逃げて‥‥‥‥でも目と脳と心に多大なダメージ受けてっ‥‥‥‥ここまで来て‥‥‥‥」



 マジか?偶然こっちに来ただけだったのかよ? 


 だったらそれも運命の再会ってことじゃん?


 俺たち正に出会うべくして出会ったってこと。




 でも、ルキアみたいな美人の子がたった一人でこんなところを通るなんて。


 危険度何倍もUPだろ!



「‥‥‥‥‥こんなとこ、女の子が一人で通るとこじゃないでしょ。」


「それな!」


 ったく。こいつ自覚無しかよ!


「‥‥‥‥ルキア。それなじゃねーよ。ったく。俺が送ってやるよ。明るいとこまで。」


「ありがとう。」



 ったく。どんだけ警戒心ねーんだよ?その微笑み。俺のことなんて、ギターひく男ってことしか知らねーくせに。



「ほら!ったく。すぐ知らねーやつ信じんな。」


「だって知ってるし。」


「それ、一方的にしかもほんの一部分だろ?俺だってルキアを知らない。」


 俺が教えてやんねーといけねーな?

 ルキアは無防備過ぎってこと。



「俺のアカウント、身元特定して俺のこと知ったの?ルキアにだったら歓迎だけど、どこでわかった?俺だって。」


「別にSNSは関係ないし‥‥‥‥‥‥」


「じゃ、何で俺のこと知ってんの?」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥えーと‥‥‥‥‥」



 どうしたんだ?なにか隠してるような。この表情。


「‥‥‥‥何にしろ、俺のこと陰から見てたんだ?さっき、俺のこと愛してるって言ったよな?」


「‥‥‥‥‥‥えー、そうだったっけ?」



 今さらとぼけようったって、させるか! 



「っち!俺、ルキアのせいで振られちゃったんだぜ?」


「‥‥‥‥‥まあ、原因はそうだな‥‥‥うん。でも、修復すれば?」



 それはもう無理。だって俺は‥‥‥‥‥



「‥‥‥‥‥俺、あの子はもういい。だからルキア、おまえ、償えよ。」


「償うって‥‥‥‥?」


「今からルキアは俺の彼女だ。いいな?」


「はっ?」


「だから、俺が今日あの子とするはずだったこと‥‥‥‥‥してもらうぜ。」


「へっ?」


「ルキア、俺が好きなんだろ?」



 今、決めるぜ。


 ルキアだって俺のこと、どこかからずっと見てたんだろ?


 だったら‥‥‥‥‥



「‥‥‥‥‥だ、だ、だめだって‥‥‥‥‥お、おいっ!」



 恥ずかしがってんの?それともほんとに嫌なの?


 ほら、だったらもっと拒めよ。

 無理やりする気はねーから。俺はいつだって。



「俺、ルキアを一目見た時から‥‥‥‥ずっと前から知っていたような‥‥‥そんな気がしてて‥‥‥‥‥‥」



「‥‥‥‥‥‥‥」


 ルキアは俺を黙ったまま見ている。


 これなら‥‥‥‥いってもいいよな?



「俺の大切な人になるって‥‥‥‥‥‥直感でわかった。」


 俺は左手をルキアへと伸ばす。



「だから‥‥‥‥‥‥これは遊びじゃない。わかるよな?」


 そして右手も。



 いいよな?ルキア。俺の気持ちわかってくれたよな?



 ルキアは目を伏せている。 


 抵抗する仕草は全くない。


 俺の気持ちに応えてくれるんだろ? ねぇ?ルキア。


 初めて君を見た時の俺の直感、信じてみてもいいでしょ?



「ルキア‥‥‥‥‥」



 俺は顔を傾け寄せる。



 ルキアは目を閉じた。

 じっとしたままで。



 それはOKのサイン。





 ルキアに俺の想いを受け取らせた。

 俺の気が済むまで、何回も繰り返して。






 俺はルキアの様子が気になる。


 ちょっとしつこかったかも、今の。最初だったのに、つい。 



 さっき出会ったばっかりなのに、急ぎすぎたか?

 だからって俺は刹那主義じゃないんだぜ?



 だからそんなに切なそうな顔すんなよ。




「‥‥‥‥ルキア、連絡とれるようにしようぜ。」


「‥‥‥‥‥ごめん、スマホ電池切れで‥‥‥‥」



 ルキアは目を伏せたまま。



 恥ずかしがってるの?


 もしかして、初めてだった?





「じゃ、俺の教えとくから、帰ったらすぐ登録しろよ。」


「‥‥‥‥あ、うん。」



 俺はルキアにメモを渡した。






「‥‥‥‥‥怒ってる?いきなりで。」



 俺がルキアに聞いた、その時、声がした。



「おおー!お嬢さん、まだここにいたのか。おやっ、この男、なんだい?」


「うわーっ!出たーっ!変態オヤジっ!」


 ルキアが裏返った声で叫んだ。



 あれ?この声‥‥‥‥‥‥どこかで?



「いいぞ!ほら、もっと叫べ、驚け!あっはっはっ。」




 っな、なんだ!このおっさん!


 さっきルキアが言ってたヤバいやつ、ほんとにいたんだ!



 こいつ、このイカれた目。まるでルキアしか見てねぇ。


 マジでルキアを狙ってやがる!



「うっ‥‥‥きもっ!何だこいつっ!逃げろ、ルキアっ!」



 俺はルキアに叫んだ後、キモジジイの行く手を邪魔した。



「おいっ!やめろっ!くそじじいっ!」



 





        「沙入っ、マジ、愛してるっ!」









 ルキアは逃げる直前に、あの時に、確かにそう叫んだ。


 この俺に向かって。


 それなのに‥‥‥‥‥‥なぜなんだ?


 何で連絡してこねーんだよ!くそっ!


 まさか俺のメモ、無くしたとか?


 それとも俺をじらしてんの?



 そう思い込みてーよ。



 もう俺、望み無しかよ?マジ、振られてる?



 俺の心はもう、あの日のルキアでいっぱいになっちまったっていうのに。



 こんなに俺を苦しめるなんて。



 ルキアはとんだ小悪魔だぜ。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ