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全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第2章
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張り込み 後 余所見〈カイル〉

 これで、いい。


 俺は急いで公園の茂みの陰に止めておいた自転車を引っ張り出した。そして急いで家に向かって走り出した。


 自動点灯の自転車のライトが地面を照らしている。


 急げ。俺はロメルより先に部屋に戻らなければならない。



 大丈夫だ。ロメル。



 俺がおまえの傷ついた心だって治してやるから。


 これで、わかっただろう?


 よその男なんて信用ならないって。


 ロメルのこと、一番愛してんのはこの俺だって。


 俺はロメルのためになら何でもしてあげるさ。





 ーーーーー俺は一部始終を見てたんだ。





 俺は公園正面全体を見渡せるベンチに座って暮れなずむ空を眺めていた。


 点灯されていた木々に飾られたイルミネーションが次第に存在を主張し始めてきた。


 そろそろ来るか?




 ロメルが来る前に水籠(みごもり)を捕まえて俺は話をつけよう。


 ロメルには知られないように水籠(みごもり)を連れてどこか別の場所に移動しなければいけないな。


 早く来やがれ!水籠(みごもり)沙入。


 俺の大切なロメルをたぶらかしやがって!



 俺は公園の正面ゲートから来る人々を注意深く見ていた。


 あいつは妙に細長いしチャラチャラした雰囲気で目立つから来たらわかるはずだ。



 公園内は平日の夕方にも関わらず結構な人出だ。


 特に、ラブラブを振り撒きながら歩くカップルが多くて目障りだ。


 イルミネーションで照らされた園内は明るい。


 俺はネックウォーマーを目の下まで上げた。ニットキャップを被って髪も隠していたけど、念のためフードも被った。


 これならもし万が一ロメルに見られたとしても俺だとはわからないはずだ。



 俺は座っていたベンチを離れて公園ゲートの方へ移動した。


 ずっと座ってんのも楽じゃない。



 俺はスマホを見るふりをしながらゲートから入って来る人々の中にあいつがいないかさりげなく見張っていた。



 ふと、でこぼこコンビの女の子がやって来た。


 その二人の女の子たちは目だっていた。


 なぜなら、その並んで歩くその身長差と、小さいほうの女の子のでかい話し声が響いていたから。




「わーい!I wish you a merry Christmas !Rukia!」


 小さい方が騒いでいる。


 ん?この声、聞き覚えが。


 でかい方の女の子の声はぼそぼそしていて所々しか聞こえてこない。


「‥‥‥‥‥なあ、二葉さん。もしかし‥‥‥‥‥‥‥ない?‥‥‥‥‥‥浮かれてる‥‥‥‥」


 二葉とルキアという名前らしい。


 ん‥‥‥‥‥‥‥?



「んなことあるわけないじゃん!ルキアってばー!わっはははっ!」



 小さい方の声が響く。このでかい笑い声!


 この声としゃべり方。俺、知ってる。


 俺はそいつらに接近してすれ違い様に顔を近くで見てみた。


「!」


 やっぱりそうだ!ロメルと一番仲のいい二葉じゃん!


 いつもと髪型ちがって、なんか普段と雰囲気かわっててすぐに気づかなかった!


 隣の女の子は‥‥‥‥‥‥!


 モデル?


 その辺の女の子、凌駕してる。


 誰だ?二葉の友だちか?美人すぎだろ。


 見たことないぜ?この辺では。うちの中学の子じゃないだろ。高校生?


 二葉とどういうつながりなんだ?


 風でなびくサイドの長い髪を手で押さえた。


 横顔も仕草も印象的だ。



 俺はすれ違ったほんの一瞬で彼女の顔が目に焼き付いてしまった。


 ルキア‥‥‥‥っていうんだ。あの子。



 俺は興味を引かれて二人の行く先を見ていた。


 するとすぐそこの噴水池の縁に二人で座った。


 俺は彼女たちの視界には入らないように気を配りつつ、それでもなるべく近くに寄った。


 俺はとりあえずルキアさんから一人分座れるくらい間隔をあけて腰をおろした。


 これなら隙間に誰かが座ることもないだろうし、二人の会話が聞こえるかもしれない。



 ルキアさんは正面の公園の木のイルミネーションを眺めている。


 横から覗き見したルキアさんの横顔は美しい。


 身近な所でロメル以外にこんなにかわいい子、初めて見た。


 と、俺がこっそりフードで視線のベクトルを隠しつつ見ていたら、ルキアさんの前に隣のクラスの不良ぶった男子の二人組が現れた。小白&麻井ペアだ!


 何でこんなとこに?まさかルキアさんと待ち合わせ?


 俺の存在、バレてねーよな?


 ‥‥‥それにしても、こいつらがロメル推しなのは知っている。教室でも隙あらば話しかけて来てうざいと言ってロメルが愚痴っていた。


 それなのにこいつらに彼女がいたなんて驚きだ!


 しかも、一人はモデル並の美少女、そんでどちらかは二葉みたいな小学生もどきと付き合ってたのか?



「ねぇ、君たち女の子二人なの?良かったら俺らと来ない?」



 ‥‥‥‥って!なんだよ。ナンパしてるだけかよ?‥‥‥‥‥だよな。

 こいつらにルキアさんはないぜ。


 でも、なんで二葉をナンパしてんだ?


 あ‥‥‥‥‥二葉のやつ、下向いてる。ん?小さく船こいでる。

 遊び疲れておねむかよ?


 やっぱ、髪型変えても中身はかわんねーじゃん。

 ‥‥‥‥‥そうか、こいつらルキアさんばっか見てて、髪型が普段と違ってる二葉が二葉だって気付いてないんだ、きっと。


 おまえら二葉が寝ていてよかったな。


 もし、この事を二葉が知ったらおまえらはお笑い草にされちまうぜ?



「あ、あの‥‥‥‥無理です。」



 ルキアさんは意外と声がボソッとしてるんだな。


 顔と声が合わないな。まあ、これだけ美人なら一つ欠点くらいないと周りが困っちまうからいいんじゃね?うん。



「いいじゃん。暇なんだろ。」


「もう、おれ‥‥‥うちら帰るから。」


「まだ5時じゃん。早すぎだぜ?これからじゃん。」


 この、麻井くんはかなりルキアさんにご執心のようだ。

 なんてねちっこい男だよ!


 一回断られたらもうやめとけっての。


 恥かくだけだぜ?



「本当に‥‥‥困りますから。」



 ほら、ルキアさんがこまってんじゃねーか。

 この辺で引き下がれって。麻井!


「君、めっちゃかわいいじゃん。今日だけでもいいからさ、一緒に遊ぼうぜ!」


「でも‥‥‥‥他を誘ったら?」


「俺、絶対君がいい!」


「困ります!」


「君、背が高いんだね。俺と同じくらいあんじゃん。脚長いし細いしスタイルもいいじゃん。サイコー!」


 こいつ、ロメルが言ってた通り、なんてしつこい粘着性!


 立ち上がったルキアさんの腕を引っ張っている。



「やめろって!放してくださいっ!」


「いいじゃん。来いよ。」


「無理っ!」


「じゃあ、1時間でいいからさ。何でそんなに嫌がんの?」


「悪いけど‥‥‥‥‥その‥‥‥」



 俺が助けてあげたいけど‥‥‥‥‥‥


 今はタイミング悪すぎる。そろそろ水籠(みごもり)とロメルが来る時間。


 ここで俺が騒ぎを起こすわけには‥‥‥‥‥



 ‥‥‥‥‥‥おい、



 おまえは麻井に迫られて困っているルキアさんを黙って見ているのか?

 妹の親友の連れだぜ?全く関係ないってわけではない‥‥‥‥‥

 おまえが助けたとしてもおかしくはないだろ?そうは思わないのか?



 自問自答。



 俺は噴水池の縁から立ち上がった。


「やめ‥‥‥‥」


 俺が言いかけた時、いきなりあいつが現れた。



 水籠(みごもり)沙入!



「よお、ごめん。待った?」


 首を少し傾げ、口角だけ上げた笑みでルキアさんに声をかけた。



 どういうことだ?



 水籠(みごもり)はロメルと待ち合わせしてたんじゃないのか?


 今日はロメルは水籠(みごもり)とデートじゃなかったのかよ?


 まさか、他の誰かと?



 俺の脳内は大混乱に陥った。







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