回想 〈二葉〉その2
そう、その時まで流河くんは、知らなかったんだ。ロメルちゃんは沙入くんには男子避けのため、彼氏の振りをしてもらっていただけだってこと。
そうなんだよ。
その時まで流河くんは、ロメルちゃんは本当に沙入くんの彼女だと思っていたんだよ。
そん時までは完全そう思い込んでいたから、ロメルちゃんにベタつく沙入くんに対しなんら言うことは出来なかったみたい。
あー、流河くんもさ、それ事前に知ってたらさ、もしかしたらもしかしてロメルちゃん彼女に出来てた可能性あったのにね。
でもさ、今さらタラレバしたってさ、仕方ない。
私だって、ロメルちゃんがお兄ちゃんの嫁、って夢見てたわけだからもち、流河くんの妨害してただろうしね。
「ただいまー。」
あっ。お兄ちゃん帰ってきた。
「おかえりー!お兄ちゃん。」
「俺、腹へったなぁー、飯ぃー。‥‥‥二葉、用意出来てんのか?」
「うん、お菓子とジュースもバッグにまとめてあるよ。この玄関に置いてあるバッグお兄ちゃん持ってね。予約したケーキはもうとってきて冷蔵庫に入れといた。」
「さんきゅー、二葉。2時に出ようぜ。」
「はーい!」
私とお兄ちゃんはマナカさんのおうちに招待されてんの。
クリスマスパーティーするんだ。
お邪魔虫って思うけど、マナカさんが私に会いたいから是非ともって言ってるってお兄ちゃんが言うし、弟の流河くんも、来ればって言うから行くことにした。
どうせ私に彼氏なんていないし、ロメルちゃんも誘えないし、お兄ちゃんまでマナカさんのおうちに行っちゃったら私、つまんないじゃん。
お母さんはなんとかっていうご当地アイドルのディナーショーにお友だちと行くって前々から予約してて、それって夕方からなのに午前中から早々出かけっちゃってる。
だからマナカさんが誘ってくれなかたら危うくクリスマスイブの夜にお父さんの凍えるギャグを一人で一身に浴びてしまうところだったよ。
文化祭以来、マナカさんに会うのは今日で2回目になる。
あの時はマナカさんとお話したわけじゃない。流河くんと口喧嘩して、マナカさんにはなだめられてただけ。
どんな人なんだろう?
マナカさんは私を邪魔にしてお兄ちゃんをひとりじめなんかにはしなかった。
お兄ちゃんによれば、かわいくて優しくて明るくて勇気があって、運動神経抜群の理系女子なんだって。後、ヘアメイクが上手いらしい。
同じ部活にいる美少年を美少女にミラクルチェンジさせたりして遊んでるらしい。
錦鯉研究部ってそういうゆるい部活なんだね。
私も、もし同じ高校に入ったら入ろう。
私は流河くんとラインでつながってる。
何でかって言うと、一重にロメルちゃんのせい。
あの日、ロメルちゃんと沙入くんが行っちゃった後、流河くんとベンチに座って話してた時、発覚したロメルちゃんと沙入くんの真実。
『ロメルちゃんは沙入くんの彼女じゃない』
「それ、ほんとかよ?ほんとはロメルは沙入の彼女じゃねーのか!」
「そうだよ。ロメルちゃんはガチの美少女だからね、クラスの複数の人気男子から狙われて、それに伴って大半の女子の反感を買っててさ、妬まれて悩んでんの。だから彼氏がいたら男子たちが諦めてくれて、なんとかこの状態が収まるんじゃないかって思ったらしいよ。」
「その役が沙入ってわけ?何で沙入が?」
「先週の土曜日、なんでも沙入くんがロメルちゃんをクラスの男子の雪村くんを撃退してくれたんだって。ロメルちゃんが私だけに教えてくれたんだ。」
「じゃあ、その情報間違いねーんだな!ロメルはフリーだって。ふふん‥‥‥‥‥沙入の魂胆が見えたな。」
ふっと気がつくともう、10時40分過ぎてたんだ。
「沙入とロメル、いつまで経っても戻って来ねーじゃん。探しに行こうぜ。」
流河くんが腹立たしそうな顔をしている。
「やみくもに探したってしょうがないじゃん。私がロメルちゃんに電話してみるよ。」
私は早速ロメルちゃんにかけてみた。
10回以上鳴らしてみたけど出なかった。
「ダメみたい。文字で送ってみる。」
私はロメルちゃんにメッセージを送りながら流河くんを見ると、流河くんは沙入くんに電話してた。
「くっそ、こっちも出ねーじゃん!」
流河くんの行動は早かった。
「おい、手分けして探そうぜ!公園のどっかにはいるんだろ。ほら、二葉さん、俺のライン登録して。早く。見つけたら教えろよ!」
「じゃあさ、見つかんなかったら今から30分たったらここに集合だよ。」
「了解。」
私は未来に我が家の嫁になる予定のロメルちゃん捜索に出発した。
ロメルちゃんたちが行った方に流河くんと途中まで行ってから、遊歩道の右回りコースの芝生広場を見渡す方に私、左回りの四季の森林コースには流河くんが進んだ。
私は、芝生広場にて、キャメルのダッフルコートの長くて薄い髪色の女の子と黒いパーカーと黒いダメージジーンズの男の子を求めてさっと見回したけど、らしき人はいなかった。
ここに来て、すぐに思った。
こんな人が多いとこにあの沙入くんが向かうわけないじゃん。
私は無駄な体力を使う気はなかった。だって私、へなちょこだもん。
さっさと来た道を戻ったのだった。




