苛立ち〈流河〉
そうだった‥‥‥‥
ロメルは沙入の彼女じゃん。何忘れてんの?俺。ばっかじゃん。
沙入がロメルの肩を抱き寄せ耳元で何かささやいている。
ロメルは顔、赤くして。
なんだよ?ついさっきは俺の腕に抱きついていたってのに。
俺と二人で手をつないで走って逃げてたくせに。
何だかくそ面白くねーじゃん。
「ねえ、あんた、ぼーっとしてんじゃないよ?当初の目的を果たしなさいよっ!私に謝罪すんじゃなかったの?」
ふと、気づくとマナカの彼氏の妹が俺の目の前で腰に手を当ててふんぞり返っている。
まったく。さっきからまるで態度が小学生みたいな子だな。
この間はセーラー服着てたからかろうじて中学生だってわかったけど。
ツインテールにボンボン、派手な濃いピンクのパーカーに黒タイツミニスカートのふわふわ付きショートブーツって‥‥‥まるで小学生の女の子。
俺、文化祭でこんなんと言い合いしてたのか?
超恥ずいじゃん!
こんなちっこいやつ相手にむきになってたなんて!
「ああ、わり。ちょい待って。」
どうするか?
沙入とロメルが見えない所に行くのは‥‥‥‥‥嫌だ。
俺は二人を見た。
ふと、座って斜めに俺を見上げる沙入と目が合う。
「早く行けよ、流河。俺らここにいるからさ。」
「あ‥‥‥‥そうだな。」
険のある目つき。明らかに俺を邪魔にしている。
そうだよな。
ロメルは沙入の。
「ほら、行くよっ!」
「いてっ!」
二葉という一深の妹は俺の耳たぶをひっぱった。
「おまえ‥‥‥‥‥いきなり何すんだよ!痛てーじゃねーか!」
俺は右耳押さえながら文句をたれるとロメルがふと、俺らを見上げた。
ベンチから立ち上がって俺の横に立った。
「二葉ちゃんたら。ダメよ、流河くんにそんなことしないで。流河くん、ごめんなさい。大丈夫?」
俺を気遣うロメル。
‥‥‥‥‥俺を見るその瞳。
さっき泣かせちまったからまだ充血が少し残ってる。
ごめんな、ロメル。
俺は心の中でロメルに謝った。
「ああ、別に。」
俺がロメルと目線を合わせていると、
二葉って子は調子よく口先だけで謝ってきた。
「はーい。ごめーん。てへっ。」
‥‥‥こいつ、絶対悪ガキだっただろ?
「‥‥‥‥‥‥ったく、おまえらうっせーぞ!ロメル、俺らがどっか行こうぜ。」
めちゃ不機嫌丸出しで沙入は立ち上がり、ロメルの腕を掴んで引き寄せた。
「きゃっ!」
俺と見つめあっていたロメルはよろめいて沙入の胸に入り込む形になった。
沙入のやつ、わざとだろ?
「ごっ、ごめんなさい。沙入くん。」
ロメルは焦ってすぐ離れたが、そのまま沙入に右腕を捕まれたまま俺たちから離れて行く。
「じゃあなっ!」
沙入はわずかに振り返って手を上げた。
なんだよ?まさか‥‥‥‥このまま行っちまうみてーな言い方じゃん。
「ちょっと、あんた!15分後には戻りなさーい!さもないとお仕置きだよっ!ロメルちゃんもわかったねー?」
まるでガチの小学生のように二葉がぴょんぴょん跳ねながら叫んだ。
沙入はシカトしていたけど、ロメルは振り返ってうなずいて手を振った。
沙入とロメルはどんな話を?
本当に戻って来んだろうな?
ああー!何だかイラつくぜっ、くっそ!




