表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全然近くて全然遠い!  作者: メイズ
第1章
19/142

待ち合わせ〈ロメル編〉

 約束の駅前公園の噴水の前まで来た。


 ちょっと早く着きすぎちゃったな。まだいるわけないよね?


 私は辺りを見回した。すると、




「探してんの、俺だろ?」


 声がして振り返るとそこには‥‥‥‥‥


 水籠(みごもり)くんだわ!こんなに早めに来てくれていたの?


 よかった。私も早めに来て。待たせてしまう所だったわ。


 私が挨拶すると、


「俺の顔、覚えてたんだ?」


 ってニコッと笑った。


 水籠(みごもり)くんは随分かっこいいのね。文化祭の時もそうだったけど、まるでロックグループのメンバーみたい。

 何気無い仕草もクラスの男子たちとは違っていて、どきっとしてしまう。


 私とは違う世界の人みたい。


「はい。だって‥‥‥水籠(みごもり)くん目立ってるから。」


 私は言った。



 水籠(みごもり)くんはちょっと近づき難い見かけと違って、気さくな人で、自分のことは沙入(サイリ)と呼ぶように言ったので、私も自分のことはロメルと呼んでもらうことにした。



 私と沙入(サイリ)くんは公園のベンチに座って話すことになった。


 私、ちょっと緊張してる。でもここに来た目的を果たさなければならないの。


 それは二葉ちゃんとお兄さんの誤解を解くこと。


 マナカさんの弟さんとこの沙入(サイリ)くんはケンカになってしまった二葉ちゃんのことを良く思っていないだろうから、私が本当のすばらしい姿を教えてあげなくては!


 私は意を決して沙入(サイリ)くんに二葉ちゃんとお兄さんの良さを伝えた。話し始めたら私、感情が溢れてしまってついぺらぺらと‥‥‥‥‥‥


 ふっと気がつけば、沙入(サイリ)くんはあきれた顔で私を見ていた‥‥‥‥‥



 どうしよう!私ったら‥‥‥‥‥‥‥おかしな子だと思ったよね?

 一方的にしゃべたから怒らせてしまったかも‥‥‥‥‥‥



 私はどうしていいのかわからなくなって黙りこんだ。


 沙入(サイリ)くんと私の間に沈黙が続く。


 私、恐くて沙入(サイリ)くんの方、見られない‥‥‥‥‥




 その沈黙を破ったのは偶然通りかかった同じクラスの雪村くん。

 犬の散歩中だったらしい。


 偶然私を見かけて話しかけてきたの。


 雪村くんが私に聞いてきた。


蛇ノ目(じゃのめ)さん。この人がそう?」


 何?この質問?沙入(サイリ)くんがそうって?


 うっ、そういえば雪村くんは私のスマホを覗き見して今日の私と沙入(サイリ)くんの約束のこと知っていたんだっけ!


 ついでに、私は沙入(サイリ)くんのこと隣の中学の彼氏だと嘘をついていたんだっけ!



 ど、どうしよう!



 雪村くんはきっとわざとここに来て私と沙入(サイリ)くんの事を確かめにきたんだ!


 雪村くんのこの目付き‥‥‥‥私のこと疑ってる。やばしっ。


「違うの?隣の中学のなんとかってやつなんだろ?」


 きゃー!嘘がばれる!彼氏がいるなんて見栄をはったことがばれたらどうなるの?


 怒りを向けられる?嘲笑の対象になる?それともまた私に狙いを定めてくる?



 どれもこれも嫌っ!



「そっ、そうよ!わ、私たちデート中なのよ。さあ、行きましょう。沙入(サイリ)くん。」


 私は思わず言ってしまった!


 ど、どうしよう!こんなこと言ってしまって!沙入(サイリ)くんに否定されたらもう私の人生詰んでしまうのに。


 私は、窮地に立たされた。


 嘘をつき見栄をはったことを本当に後悔した。まさかここに雪村くんが来るなんて思ってもみなかったの!


 雪村くんから見て私はキョドっているに違いない。


 いっそのことここから走って逃げてしまおうか?


 そんなこと、頭にちらりとよぎった時、沙入(サイリ)くんが言った。


「ああ、行こうぜ!ロメル。」


 沙入(サイリ)くんはスッと立ち上がりちょっと肘をつき出すと目を一瞬すがめて合図してきた。


 これって、彼氏の振りをしてくれるってこと?掴まっていいの?


 沙入(サイリ)くんは私の目を見ながらわずかに顎をあげて掴まるように促してきた。


 沙入(サイリ)くんって空気読む達人。


 私は沙入(サイリ)くんの腕にすがった。


 まさしく救いの神様‥‥‥‥


 私が助かったのと、沙入(サイリ)くんに申し訳ないのと、ほぼ初対面の男の子にくっついている恥ずかしさで私は目の奥が熱くなって来た。



「じゃあな!雪村くーん!」



 沙入(サイリ)くんがせせら笑いながら手を振った。


 沙入(サイリ)くんはこの状況を半分面白がり半分は呆れているみたい。


 私が沙入(サイリ)くんと歩きながら後ろをちらりとみると雪村くんは犬とともに立ち尽くして私たちを見送っていた。



「あの‥‥ごめんなさい‥‥‥」


 私は沙入(サイリ)くんの顔を見ることが出来ず、うつむき加減のままで謝った。


「気にすんな。」


 沙入(サイリ)くんは私の耳元に顔を寄せて言った。



 沙入(サイリ)くんが、私と同じ中2だなんて。



 オトナ過ぎる。



 こんなのカッコ良すぎない?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ