ロメルのココロ
土曜日の午前中、ロメルが勉強会を終え、二葉の家から自宅へ戻った時点からの話。
私は、正午前ごろに二葉ちゃんの家から自宅に戻った。
二葉ちゃんにはラブコメディのコミック全12巻完結の内の3冊だけ貸して貰った。本当は続きが気になってもっと借りたかったけど、重たいし。
これ、お兄さんのだって言ってた。
うふふっ。これ、この本を‥‥‥‥お兄さんが読んだんだ。
なぜか、さっきから口元が勝手に微笑んでしまうの。
楽しみだな。お兄さんが読んだページを私もめくって、そして同じ物語を共有するの。これって素敵なことだと思わない?今夜早速ベッドの中で読んでみよう。
家に帰るとお母さんは出掛けていなかった。
カイルは午前中私がやるべきだったお手伝いを交代してくれていて、部屋の掃除や片付けをやっておいてくれた。カイルには感謝だわ。
カイルには私が今ご機嫌なのがわかったみたい。私の顔を見て、すぐに言い当てた。そんなところはさすがに双子かもね。
あー、お腹すいちゃった。もう、お昼ね。
昨日お母さんが明日のお昼用にってデラックスサンドイッチボックスっていうのを買って来てくれてあるの。カイルと一緒に早速いただこうっと。
私はキッチンでお湯を沸かして熱い紅茶を入れた。
薄切りレモンを浮かべてレモンティ。
カイルの分と私の分。二人とも好みはノンシュガー。
ティーポットとともにお揃いのカップがキッチンカウンターに二つ並んだ。
私はキッチンから向こう側に回り、カイルの横の背の高いスツールに並んで座った。
私は自分の紅茶を手に取り手のひらを暖めた。
‥‥‥‥‥‥いい香り。
私はティカップの中に浮かぶレモンを見つめる。生まれては消えていく白い湯気をぼーっと見つめる。
‥‥‥‥‥‥ふぅ。こういうひと時っていいよね。落ち着く。
さっそくサンドイッチボックスを開ける。
わー、美味しそう!あの玉子サンド。ふふん、こういうのは兄妹間でも早い者勝ちなのよ。
あ、そういえば二葉ちゃんのお兄さんはこういう時、いつも二葉ちゃんに先に選ばせてくれるって言ってたっけ‥‥‥‥‥‥‥
二葉ちゃんのお兄さん、子どもの時からジェントルだったのね。
でも、私は‥‥‥‥‥‥うふふん。
「私、玉子サンドもーらいっ!ぱくっ。」
私はボックスに一つしか入っていない玉子サンドを取って隅っこを一口かじった。
「うえっ!俺も狙ってたのに!玉子サンド!」
カイルが悔しそう!うふふ、家では私とカイルは対等なの。だってほぼ同時に産まれたんだもん。
「ふふーん。もうちょっと食べちゃったもん。私のよ!ふふん。カイルは他のハム野菜サンドかツナサンドかアボカドローストビーフ、ほらこれ、カツサンドみたいなのもあるじゃない。」
私はカイルに他のを勧めた。
「いいからそれよこせよ!」
カイルも玉子サンドを狙っていたのね!でも無駄よ。私、一口たべちゃったもん。
‥‥‥‥‥‥って思ったらカイルが私の手を掴んでそのままパクりって‥‥‥!
ええー!カイルったらー!
「きゃー!私の玉子サンドがっ!」
カイルは私の手に半分残った玉子サンドも一口でパクり。
「ふっふーん!隙あり。俺の勝ち!」
うっわ!このしたり顔。
二葉ちゃんのお兄さんを見習って欲しいところだけど、私たちは対等。そんな気遣いは無用なの。
ならアボカドローストビーフは絶対私がいただくわ!
私がむくれてそう宣言するとカイルはあはは、と笑った。
カイルと私には上下関係はない。
‥‥‥‥‥でも、カイルは私が、幼い少女から大人への入口へ入った事を知った時から変わった。
あれからカイルは私にかまいすぎることがしばしば起こるようになった。
時にお兄様ぶったり、私の人間関係に干渉しようとしたり。
私が男子と関わることに関しては特に。
家族として私を守ろうとしているの?それとも‥‥‥‥‥‥‥?
そんなことまさかありえない。
私はカイルが好きだけど、それは家族愛。
きっとそれはカイルも同じなの。
私たちは今まで助け合って生活してきた。これからだって。
それはきっと、私たちが自立するまで続いて行くの。
私たち、未来はどうなっているのかな?
そんな事を考えると漠然とした不安が胸に押し寄せるの‥‥‥‥‥




