第八話 来訪者
ピンーポン♩
もう一度インターフォンが鳴る。
「はい、はい。今いきますよー。」
(もう夜も七時半を回ったというのに宅配便だろうか?)
訝しく思いながらドアのロックを外すと、
そこには秋山がいた。
「あ、秋山さんですよね。」
「こんばんは。秋山と申します。先ほどはどうも。突然お邪魔してすみません。」
言っていることとは裏腹に秋山は遠慮なく、ドアを押して土間に上がろうとしてくる。
「ちょ、ちょっと。」
待って、と言いそうになるのを、秋山を刺激させていけないという恐怖からグッと抑える。
「今日は満月ですね。あ、もう夕飯は食べられましたか?よかったらお土産が御座いまして。」
「いえ、ちょうどコンビニに買いに行こうと思っていたところですが。」
「では、失礼しますね。」
秋山はもう靴を脱いでズカズカと居間に進んでいく。
「あ、いや。晩ご飯の前に、ニュ、ニュースで。」
「ん?ニュースがどうかしましたか?」
「いや、その、あの。」
一家惨殺事件の指名手配でニュースに流れてますよ、とはとても言える雰囲気ではない。
(これは、どうしたものか。)
「そういえば、お互い自己紹介をしていませんでしたね。先ほどもお伝えしたとおり、私の名前は秋山と申します。今年、47歳になる老いぼれですよ。仕事は、不動産の営業をしております。」
「は、はあ。私は田中と申します。今日は助けて頂いて有り難う御座いました。」
田中にとって、言いたいことや聞きたいことは山ほどあるが、精一杯言葉に出来たのは、この程度のことだった。
秋山はもう居間の座布団に勝手に座って、お土産だと言っていた弁当を広げている。
「田中さんは、肉はお好きですか?」
「肉ですか。ええ。肉なら大好きですが。」
何を悠長なことをしているのだろう。今、目の前に一家惨殺事件を起こし、昼間自分の目の前で3人の若者を斬り殺した連続殺人犯がいるのだ。
「お、これはハンドガンじゃないですか。」
「いや、あの、ちょっと危ないから触らないでください。」
「なるほど。田中さんの能力は銃ですか。」
(え?能力?」
「いやいや、今更隠そうとされなくても。私の能力は既に昼間ご覧になって頂きました通り、刀です。」
「あのー。能力って、一体何のことなんでしょうか?話がさっぱり掴めなくて。」
「あれ、田中さんはもしかして能力の話や我々のような異能力者の話をまだお聞きではないのですかね?」
「異能力者ですか。」
「あー。まだ手紙をご覧になっておられないんですね。」
「手紙、ですか。」
「そうです。」
といって秋山はポケットから黒い一枚のプラスチック製のカードのようなものを机の上に置いた。
「この手紙、きっと田中さんにも届いているかと思いますが、暫く郵便受けはご覧になっておりませんか?」
(郵便受け?)
確かに、田中はポストは暫く確認していなかった。新聞を取っていない田中には、どうせどこかのDMか、チラシぐらいしか入っていないからだ。
「まあ、ご覧になってください。」
秋山は黒いカードを田中の方に寄せる。
「はあ。どれどれ。」
-貴方様には、特別な能力をお渡し致しました。先日ご説明させて頂きました通り、貴方様の特別な能力は、村雨のマスターです。村雨とは、江戸時代後期の『南総里見八犬伝』に登場する伝説の刀です。六尺一寸(2㍍31.8㌢)の刀身は常に結露し、振れば霧風を呼ぶとされる妖刀で、この刀に切れぬものはこの世に存在しません。貴方様は、この特別な能力をお使いになり、貴方様と同じく特殊な能力を持った者、それを異能力者と呼びます。その者達と戦い抜いて生き残ってくださいませ。-
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