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課題

 あの後、武器の特訓が終了してクラスの全員が王宮に戻っていく中アレクと駿だけはその場に残り、対面している状態でその場に立っていた。だが、本堂だけは息を切らしながら額に汗をかいており、手にはナイフを持って構えている。逆にアレクは余裕そうな笑みを浮かべながら片手を腰に当てて立ち尽くしていた。


 しばらくして本堂はナイフをアレクに突き立てるように挿し込むが、アレクはそれを難なく躱しナイフを持って方の腕掴み引っ張るように体を回す。本堂はそれに引っ張られるように体制が崩れ、その後背中を押さえ付けられその場に倒れ伏した。


 本堂は抵抗するも背中を押さえ付けられている為身動きを取ることができず、しばらくの間そのままだった。


「・・・っと。これぐらいできるようになれば、盗賊なんかの相手にはどうにかなるだろう」


 しばらく押さえ付けられた後、本堂から手を離し立ち上がりながらそう教えてくるが「それが簡単に出たら苦労しない」と意味を込めた視線を送るが、それを軽々と流し本堂の手に持っていたナイフを回収する。


「それじゃあ、次は魔法の訓練に移ろうか」



 *



 少し休憩を取った後、魔法の訓練を始めることにした。


「それじゃ手始めに俺が手本を見せるぞ」


 そう言いながらアレクは右手を前に突き出しながら詠唱を始めた。


「我が身に宿る力よ 燃ゆる炎となりて 今ここに放て!“火球(フレイム)”!」


 アレクが詠唱を終えると右手から火球が現れ、それが手の前でメラメラと燃えている。

 本堂はそれを真っ直ぐに見ていた。


「それじゃあ、やってみろ」


 火球を消し駿にやって見せる様に言う。駿もそれに答える様に詠唱を開始する。


「我が身に宿る力よ 燃ゆる炎となりて 今ここに放て!」


 本堂は詠唱しながら体全体に魔力が行き渡るのを感じ取り、ここだ!というタイミングで魔法を発動させる。


「“火球”!」


 アレクと同じ様に魔法を発動するとアレクと比べられないほど小さな火球が現れる。

 本堂は如何にも微妙そうな表情を浮かべ、アレクは今にも吹き出してしまいそうにぷるぷると震え、笑うのを堪えている。


「・・・まるでゴミムシみたいな火力だ」

「ま、まあ。魔力も人それぞれだから…」

「こんなチンケな火力でも?」

「あ、ああ…」


 あまりの弱さにアレク耐え切れず笑い出し、本堂は自分の魔力に呆れて言葉も出ない。

 その後、どうにかもう少し火力が高い火球を出そうと頑張るが、すぐに魔力切れとなりばたりと倒れた。


「とりあえず、ホンドウ君の課題はこの2つをさっきの俺の様にできる様になることだな」

「・・・わかりました」


 アレクの言葉に立ち上がりながら答えると、アレクは「今日はここまでにしよう」といい騎士の宿舎に戻っていった。

 本堂もお礼を言って宮廷の方へ戻っていった。



 *



 部屋に着いた本堂は時間外の為軽い湯浴びだけで済ませ、ベットに倒れ伏した。

 枕に顔を伏せながら今日の反省を行う。1日の反省は元の世界でも毎日行なっており、()()()()()()()()()に欠かさなかったが、最近は少しそれが緩くなっていた。


(気を引き締めないとな…。()()()みたいなことはもうゴメンだしな)


 しっかりと気を引き締めながら、襲いかかってくる睡魔に抗うことが出来ず、重たくなった瞼を閉じ、すぐに寝息を立てるのだった。

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