アルティシア
この世界は今危機に瀕している。
まず、この世界はアルティシアと呼ばれている。
アルティシアには大きく分けて3つの種族がいる。人間族・魔人族・亜人族の3種族である。人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は世界の所々に点々として生活をしている。
この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。魔人族は、数は人間に及ばないものの個人の持つ力が大きいらしく、その力の差を人間族は数で対抗していたそうだ。戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいが、最近、異常事態が多発しているという。それは魔人族の中に魔王を名乗る者が現れたのだ。
魔王とは魔人族の中でも遥かに優れた者にのみつけられる総称であり、現在この世界では5人の魔王が存在しているとのこと。
1人は灼熱の炎を司り全て焼き尽くす火の魔王。
1人は凍てつく氷を司り何もかも氷結させる氷の魔王。
1人は吹き荒ぶ風を司りあらゆる物を切り裂く風の魔王。
1人は荒々しく君臨する土を司りあるもの全てを飲み込む土の魔王。
その4人は魔王として君臨し、圧倒的な力を持ちながらも表立って現れることはなかった。
ある者は縄張りを作りそこに住み着き、またある者は深い深い眠りにつき、またある者は決して表舞台に現れることはなく、またある者はある日を姿を消した。
そのおかげもあってか、人間族は滅ぼされずに魔人族と渡り合っていたと言えよう。
しかし、ある日を境にそれは一変する。
それは新たに生まれた魔王の誕生である。その魔王は全てを包み込む闇を司り死をもたらす暗黒の魔王だったのだ。
魔王は誕生と同時に世界を支配することを宣言し、それと同時に人間族と亜人族を滅ぼすことを宣言した。
その宣言から魔人族の侵略が始まった。
魔人族の猛攻は凄まじく、一年足らずで人間族の領土の半分近くを侵略し、今もなお続いている。
「その為、私達は魔人族、そして魔王を倒し我ら人間族に平和をもたらして頂く為、勇者様を異世界から召喚いたしました」
ミスティーナ姫の説明が終わり、静まり返るがすぐに異世界ということに興奮する者と未だに現実と受け入れられず、言葉をなくす人たちに分かれる。
「そちらの事情はわかりました。しかし、私は彼らの教師です。彼らを危険な目に合わすわけにはいきません。故に元の世界に戻していただけることはできませんかな?」
金沢がそう聞くとミスティーナ姫は首を横に振り、
「申し訳ございません。私達もその方法はわかっておりません」
そう言うと、クラスの半数以上の人が絶望の声を上げる。
「し、しかし、魔王を倒していただいたあかつきには必ずや皆様を無事元の世界に送り届けることを約束します!お願いします。どうか…。どうかこの世界をお救いください!」
ミスティーナ姫は立ち上がりながらそう言って頭を下げる。一国のお姫様が、勇者とはいえ頭を下げると言うことはそれだけ必死であり、それだけこの世界のことを思っているのだろう。
そんなお姫様の姿に心打たれたように、1人の男がお姫様に近づいて話しかける。
「顔を上げてください、ミスティーナ姫」
そう言われ、顔を上げる。そして視線の先に1人の男が目に入り込んだ。その者は他の者達と違い整った容姿にサラサラとした茶色の髪。そしてその人に宿る強い意志を持つ瞳に驚きながらもお姫様は尋ねた。
「あ、あなたは…」
「俺は天野河 輝。魔王討伐。俺たちが引き受けます」
「!?・・・よろしいのですか?」
「はい。俺も魔王を許さないし、・・・それにあなたが悲しそうな姿は似合わない」
「アキラさん…」
アキラとお姫様がいい雰囲気で見つめ合っていると、俺も共に戦うと、他の奴声を上げると続々とそれは増えていき最終的にクラス全員参加で魔王を倒す事となり、クラスが一致団結していった。
(・・・マジで?)
ただ1人を除いて…。