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箱と勇者と世紀末  作者: Sary
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脱出をするためにはまずこの部屋から出なきゃいけない。

外には見張りが二人いる。何とか声を真似して逃れよう。

あの隊長とやらは気を失っているようだから少しはごまかせるだろう。


ここの軍の奴らは何かしらマスクを着けているようだ。

初遭遇の時複数人は各々マスクを着けていた。軍なのにデザインがバラバラなのはどうなのだろうか。

フルフェイスだったり口元だけのマスクだったり。

それほど大気が汚染されているということなのか?

隊長の腰にはガスマスクがぶら下げてあったし。

部屋の中ではつけないみたいだから誤魔化すのが少し出てからだな。

生憎顔が腫れてるし背丈も同じだ。なんとか誤魔化そう。

特に作戦もないが、さっそく出よう。


ライカはどうする。このままここにいた方が親に会えて辛い旅をするより幸せなんじゃないか?

設備はボロボロだがここなら食事にもありつけるだろうし。

もしあったらあいさつでもするが、そのまま出て行っても別にいだろう。

経った数日一緒に歩いただけだしな。

部屋の扉から少し怒りながら出て行った。


「おい!なんでしっかり縛っておかないんだ!!暴れだして大変だったぞ。」

「隊長!?顔大丈夫ですか!?早く医務室へ!」

「さすが勇者というところだな。記憶が無いらしいのにここまでやれるとは。」

「やっぱりアイツがあのバフアの悪魔だったんですね!」

「そのようだな。今気絶しているが、起きたら有無を言わさず殴って意識を飛ばすせ。

じゃないとぼーー俺だから抑えれたものの、お前らだと殺されかねん。しっかり頼むぞ。」

「了解しました!でも隊長声が少し・・・。」

「あ?あ、あ、喉をやられたんだ急所を的確に突いてくる。気をつけろよ。」

「了解しました。早めに医務室へ向かわれたほうが・・・。」

「ああ、そうだな。医務室な。どこだっけか?」

「隊長なにいってるんですか。ここを突きあたり左ですよ?入口の近くです。」

「ああ、そうだった…。打ちどころが悪かったみたいだな!ははは!この顔はさすがに恥だな・・・。マスクしていくか・・・。」

「そんなこといいんで早く行ってきてください!」

「ああ、後は頼んだ。」


なんとか、誤魔化せたな。

意外と簡単だったな。

医務室へ向かうべきか、そのまま脱出するべきか。

薬をもらって脱出するとしようか。

ここが医務室だな。


「あら、隊長さん。室内でガスマスクなんてつけてどうしたの?」


白衣というには汚れすぎたものを着た女性がいた。

女医と呼ぶか


「あの捕虜の拷問にてこずってな、さすがは悪魔だな。」

「大丈夫なの?みせてみて?」

「いや、大丈夫だ。これから続きもある。少々やりすぎて捕虜を軽く治療しようと思ってな薬やらを少し分けてくれ。」

「あらそう?丁度良かったわ。今手が離せないの。自分でやってくれるなら助かるわ」

「助かる。」

「ところで隊長さん?週末の予定は空いてるかしら?」


おっと、不味いぞ。下手なことを言うと疑われる。

いや、疑われてるからこんな質問しているのか?

なんとか誤魔化さないと。


「次の休みか?残念だが家族と食事する予定がある。」

「あらそう。覚えてたのね。ちょっと待ってて。薬を取ってくるから。」

「ああ。」


そういって女医は部屋から出て行った。

誤魔化せたのか?なんか質問には正解だったような気もするが。

覚えてたのね。その言葉に引っかかる。

もしかしてあの人が家族だったりするんじゃないか?

家族だとしたらバレるだろう、不味いな。助けを呼びに行ってる可能性がある。

薬だったら医務室の中にあるだろうに、外に行ったってことはその可能性が高い。

すぐにでも逃げないと。

医務室のドアノブに手をかけた。

「あら、隊長さんどこ行くの?」


後ろから声がかけられとっさに振り向く。

「びっくりさせるな。心臓が止まったかと思ったぞ。」

「倉庫と繋がっているから仕方ないじゃない。」

「まぁそうだが。」

「はい。とりあえず薬よ。」

「ああ、助かる。」

「ところであなたは誰なのかしら?」

「!?」



想像はしていたが誤魔化せていたと思っていただけに衝撃が走った。



「なにがだ?」

「いや、あなたの名前よ。」


名前・・・。確か見張りの奴が言ってたな。


「ドリエールだが。」

「ちゃんと調べてあるのね感心するわ」

「どうゆう意味だ?」

「もうごっこ遊びはやめましょう?勇者様。」

「・・・。やっぱりバレてたか。」

「そうね。バレバレよ。ほかの人は騙せても私は騙されないわ」

「バレたなら仕方ない。どうせ今兵に報告して時間稼ぎの為に話をしてるんだろう?」

「あら、そんなことしないわ」

「一人で十分だと?」

「勇者様なにか勘違いしてない?私は敵じゃないわ。」

「は?どうゆうことだ。」

「私はバフアのスパイよ。私、ルナイよ」

「スパイ??医務室でか?」

「あれ?ルナイよ??覚えてないの?」

「残念だが覚えてない。記憶が無いんだ。」

「そう…。やっぱりあの時…。いえ、なんでないわ。ある程度想定してた事だし。」

「信用していいのか?」

「そうね、私の話をきいて判断して」

「君は僕の事を知ってるんだな?教えてくれ」

「そうね。まずは覚えてる事を教えて。」

「何もない白銀の世界で気が付いて、ひたすら歩いていた。名前も覚えてない。」

「なるほどね。やっぱり使ったのね…。」

「早く教えてくれ。」

「あなたの名前はサトル。サトウサトルよ。」

「サトル・・・。割とぴったり来てる気がする。」

「ほかに質問は?教えることができるのは限られるけれど」

「じゃあ、この箱は?何に使う?」

「それはあなたの武器よ、代償を入れることでそれにあった武器に変化してくれる」

「代償ってどんな?」

「なんでもよ。例えばこの傷薬。これをその箱に入れてみて。」

「開ける所がないけど…。」

「穴に指を入れて開けてみて。集中しながら。」


言われた通り指を穴にいれ捻ってみた。

すると箱がスライドし中央から割れて中にパネルが出てきた。


「のびた!このパネルは?」

「今までしまっていたものの管理と入れたものの代償の選択ができるの。」

「中に収納できるってこと?」

「そうゆうこと。数に限りはあるけど。大きさじゃなく数の制限よ。そしてしまってからじゃないと代償に使えないわ。」

「中に何も入ってないけど…。」

「そう…。そうよね…。だからこの薬を入れてみて。」

「えーっと?パネルに押し付ければいいのかな」


すると傷薬の容器が吸い込まれていった。


「おお。」

「それから、その薬を代償に選んでみて。」


パネルを操作した。


―――――傷薬(下)を代償に選択しますか?―――――

      ▷Yes     No



Yesを選択した。


「これでいいかな?」


すると箱が蠢いて形が変わった。

刃物になった。青く光るラインが特徴的だ。


「おお。ナイフになった。」

「これが勇者様の武器。代償にする物の価値によって変化するものや効果が変わるわ。」

「傷薬はそんなに価値がないからナイフ程度ってことか?」

「そうゆうこと。実際渡したのは一番安いもので効果も薄い粗悪品よ」

「なるほど、だが戦闘中にいちいちパネル操作は面倒だな…。」

「そう…ね。もう一つ、変化は一定時間で切れるから気を付けて。色々試してみるといいわ。」

「そうだな。本当に味方の様だね。心強い。」

「残念ながら私は一緒に行けないわ。仕事が残ってるから。」

「そうか、残念。あと僕は今まで何をしてきたんだ?」

「その質問には答えられないわ。前のあなたから絶対に教えるなって言われてるの」

「てことは意図的に記憶を消したのか?」

「半分正解で半分不正解。とだけ教えてあげるわ。これ以上言えないの」

「しょうがないか自分で探すとするよ。」

「聞き分けがいいのね。」

「そういえばライカはどうしてる?」

「大尉の娘ね。元気みたいよ。食事もとってるみたいだし。」

「このまま預けてて大丈夫か?」

「そうね。大尉もそれを望んでるでしょうね。でも人質として連れ帰るのも手よ?」

「人質っていうのも気が進まないな・・・。」

「もうその子にはバフアの者っていうのはバレてるみたいだし。連れて行くのは難しいかな」

「そうだな…。じゃあライカの事は頼むよ。」

「ええ。もちろんよ。それも仕事のうちだしね。」

「それから俺はどこに向かえばいいんだ?」

「残念だけど勇者様の任務については知らされてないの。極秘事項だから。ただ、記憶を取り戻したいならバフアに戻るのも手ね。」

「そうだな。とりあえずそのほうがいいよな」

「そこであなたがここに来た理由などを聞くといいわ。」

「わかったありがとう。」

「バフアに戻るなら服は途中で着替えたほうがいいわね。この服を持っていきなさい。国境を超える前に着替えておけば大丈夫だと思うわ。それとこれは隊長のバイクのカギ。さっき持ってきたの。入口を出て左手に移動式住居があるからその奥にバイクが止まってるからそれを使うといいわ。」

「ありがとう、助かる。それじゃまたなルナイ。」

「またね。勇者様」


別れを告げて医務室からでた。

一見人は少なさそうだ。入口には二人見張り番がいる。


「ご苦労。俺は少し出かけてくる。あの勇者の証言を確かめてくる。」

「はっ!ご一緒します!」

「いや、大丈夫だ。一人じゃないと危険なんだ。」

「しかし・・・。」

「何かあったら頼むぞ。」

「はっ!了解いたしました。」


鍵を握りしめながらバイクに向かった。


「乗り方覚えてないんだけど・・・・。」







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