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箱と勇者と世紀末  作者: Sary
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初食事

ライカとその親を探す旅に出ることになった。


目的もなくただ歩いていただけの僕にはちょうど良かった。

ライカと出会うまで僕は自分に疑問を持っていなかったが、

今思うと何故僕があの場所に立っていて

なぜ記憶が無いのか、この箱は何なのか。


それに対しての根本的な疑問というのを感じていなかった。

それが当たり前かの様な、そんな概念が心の奥に染みついていた。

ライカと出会ったことによっていろいろなことを聞かれて

それにほとんど答えることができないということに気づき疑問が生まれた。


僕は何者なのか。


僕の持っている記憶を探っても何も思い出すことができない。

だからこそライカの親探しは僕には丁度いい。

旅をすることによって自分の記憶を思い出すことができれば

今後の目的も僕自身の事もわかっていくだろう。

言ってしまえばついでだ。


僕の記憶探し。ライカの親探し。あとは食料探し。

三つも目的を手に入れたんだ。

目的を探すことは目的だった僕には大収穫といってもいいだろう。


まずは、ライカもおなかが減っているようだから食料を探すことにしよう。

ライカと出会って歩いてから数時間が経っていた。


白銀の粉末はもう無くなっていて赤茶色の地面や岩場、砂場などが広がっている。

サボテンのような針のないがちょっと刺々しい多肉植物が砂場に所々みえる。

食べられそうな気もする。


そしてライカの言う動くおうちが鎮座している。だが人影は見えない。

誰かが見ているわけでもないのでサボテンを食べてみてもいいだろう。

サボテンは水分を含んでるっていうしね。

ん?何で知ってるんだ?


「ライカちゃんこの植物を食べてみようか!」

「植物?え…。これ…??食べられるの?」

「勘だけど食べられそうな気がするんだ!こうしてもいでっと…」

中は薄緑色で半透明のみずみずしい果肉があった。

「お、結構おいしそうだよ!食べようか!」

「え…これ気持ち悪いよぉ…」

普通においしそうに見えるんだけどなぁ。認識が違うのかな?

「そう、かな…。試しに食べてみるよ」

表面の皮をむいて中の半透明な果肉にかぶりついた。

「んっ!おっ!これは普通においしいぞ?ジューシーでちょっと独特な癖があるけどこれはこれで!」

「えぇ…、そうなの?ライカ頑張って食べてみる…。」

そういうと恐る恐る中の半透明な身を口に入れた。

「んー!ぷるぷるしてて美味しい!こんなの初めて食べたぁ!」

ライカはそう言うと恐る恐る口に入れていたのが嘘のように頬張り始めた。

「結構美味しいね!まだあるからそんなに焦らないで!」


結構な大きさのあったサボテンの様なものを半分まで平らげた。

「結構食べたねー。おなかいっぱいだ!持てるだけ持っていこうか!」

「うん!いつもは固形食糧だから最初は怖かったけどおいしかった!」

「固形食糧?どんな奴なの?」

「手のひら位の四角い奴だよ!おうちが作ってくれるんだよ!おうちが移動しなくなってから少しの間は作ってくれてたんだけどもう全く動かないの。」

「なるほど、固形食糧か…。」


今の話を聞いて前に食べたことがあるような…。

物に関する記憶はあるようだ。

ただどこで食べたとかいつ食べたっていうのはわからない。

このサボテンもそうだ。あれが食べられるものっていう認識はできた。

記憶がないが知識は残ってるみたいだな。


「食べ物に関する知識は少し思い出せたみたいなんだ。なんでもいいからほかに食べ物の事教えてくれない?」

「ほかの食べ物?戦争が始まってからは食べてないけど前は野菜とかお魚もあったよ!お母さんは今は食べちゃダメって言ってたけど」

「戦争…。野菜とか野菜とか魚は食べちゃダメってなんで?」

「なんか汚れてるから食べちゃだめなんだってー」

「え…。それってこれも食べて良かったのかな…。」

手に持っているサボテンに目を落とした。よく見ると半透明な果肉が動いてる。

「うわっ!」

慌ててサボテンを地面に捨てる。

「えっ!どうしたの!?」

「いや、いまこれが動いてたよ!?今こんなもの食べてたの!?おえっ」

「え?モンスターだよ?動くでしょ?」


モンスター?なにそれ?知らずに食べてた。

何で僕はこれを食べれるものとして認識してたんだ?


「ライカちゃんは知ってて食べたの?」

「アロテンっていうモンスターだよ!無害でめったに動かないモンスターだよ!まさか美味しいとは思わなかったぁ!」

「わかってて食べるってすごい子だな…。」

「最初は気持ちわるかったけど初めて食べてすごい美味しかったから平気!」


それにしても半分まで食べられてるのに動かないって生物としてどうなんだ?


「モンスターは食べれるのは聞いた事あるけどここらへんじゃあまり見かけないし凶暴なモンスターはなかなか倒せないから食べる機会はないなぁー」

「モンスターって食べれるんだね…。いやぁビビった…。」


少し抵抗があるがサボテン改めアロテンを拾った。


「貴重な食料だしモンスターだからって毛嫌いするのもだめだね。持っていこうか」

「うん!おいしいからまた食べたい!」

「食料は確保したしライカちゃんの親を探しに行くとしようか」

「うん!食べたから元気出たよ!」

「探すには情報を集めないとね。お母さんは仕事とか何をしてたの?」

「えっとね、お父さんお母さんはエバ帝国軍で働いてたよ!」

「軍か、さっきも戦争とかって言ってたし戦ってるのかな。」

「うん!バフアから領土を取り戻しに行くんだって!」

「なるほど、じゃあバフアって所にいるのかな?」

「お父さんはエバ帝国軍の基地に居ると思う。お母さんはバフアの悪魔って呼ばれてた人を倒しにいくって言ってたよ。」

「探すために地図を手に入れなくちゃね。」

「この先に集落があった気がする!」

「それじゃあ集落に向かおう」



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