魔王:フランカ・シフタ
ー何だこの状況…
「何でこんな奴を召喚したのよ!もっと賢そうな奴とか選べなかったの!?」
てか酷い言われようだなちきしょう。…事実バカだけど。言い方ってのg
「そ、そう言われましてもフランカ様、召喚には贄が必要でしてその贄に使ったのがオーク族の中でもトップクラスの実力を誇るバーガン様でして…」ちらっ
おい何だよその目は、何でそんなゴミを見るような目で見てるんだよ。
「だから!何でそんな知能指数の低いトップレベルのバカを使ったのって言ってるの!私しか使えない召喚術式の再構成は1万年かかるのよ!?もー、バカバカバカァ!」
おいおい、その言い方だと知能指数低いトップレベルが私みたいに聞こえるのですがそれはどういうことでしょうなー!?
「おい、そこの人間!お前は何ができる?」
…ま、まぁ?人?は見かけによらないんだなぁ…紅い髪を腰まで伸ばして顔も3次元…いや、2次元でさえあり得ないほど綺麗な顔立ち、そして透き通るとても可愛らしい声。だけど…
「聞いているのか人間!この私がお前の命の恩人だぞ!」
性格、無いわー。と、自分にも飛び火がかかるのは嫌なのでスルーして目の前の 自称 命の恩人に評価を付けていたら肉の焼ける良い匂いが…って熱い熱い熱い熱い!!?
「あっつあっつあっつ熱ううううう!!?」
その命の恩人様に足を焼かれていた。
「あんたが私を無視するからよ!このバカ!」
そう言いながら足に付いた火を消した。
「おいおい、そんな酷ぇことを言わないで欲しいなー。無視したことは謝るが、俺は近所の人に近所一のフヌケという称号を貰ってるんだぜ?」
どうだ、これで俺のバカさが伝わっ…ちゃあまずく無いか?あいつがバカバカ言うから対抗しちまったじゃねえか!
後悔先に立たず、先祖様のお作りになられたお言葉は重たいぜ…。心の中で嘆いていると、
「ふぬけ…?って何なの?ねぇセデン知ってる?」
あれ?
殺されるかと思って身構えていた俺が頭を上げると
「さ、さぁ?異世界の住人ですので異世界では有名…称号を得る程の実力者では?」
あの、役立たずって意味なのですが…
そう思いながらもフランカという紅い髪の女の子に目を向けると視線が合った…
「あんた、名前は?」
「藤堂、勇也だよ」
そう名乗ると訝げな顔で
「変な名前。本当に異世界人なのね、じゃあ1つ質問。そのふぬけという称号を持っていてあんたは近所じゃ有名だったのね?」
「ま、まぁあながち間違っては無い…」
「ふーん、まぁ良いわ。過ぎたことを今更言っても仕方無いし…あんたが気絶するまでの経緯を知らないでしょ?何故助けられたのか、何故あんなオーク達の居るくっさい場所に召喚されたのか、今から教えてあげるわ。」
いうが先か俺を縛っていた鎖が一瞬にして燃やされて炭になっていた。
ー説明途中で話が脱線したり燃やされたりしたので割愛して大雑把に説明すると、助けられた理由は召喚されたから。これは誰でも予想出来る。しかし、オークの場所に召喚された理由は予想を出来るわけが無かった。
それは…異世界の住人はオークなんじゃね?という勝手なご先祖の憶測からきたものだった。イラっとした。
しかし、召喚には贄が必要で、その贄の実力と同等の実力者を喚べるらしい。が、フランカと名乗る女の子は初めての召喚だったようで、部下に曖昧な指示をしてしまい「ある程度の実力者を贄に」とだけで、フランカの欲しがってた〝頭のキレる、賢い異世界人〝とまでは指示されていないようだった。=俺、な訳で…
だが、おかしい点は幾つかあるが一番気になったのは俺は成年の平均レベルよりも下の人間だ。それがオークのトップレベルの実力者と対等とみなされ召喚された。ということだ。その点は召喚した本人達も不可解な点らしい。
もう一つ気になった点がある。
それは
「フランカ…だっけ?お前、年幾つなの?」
そう、この子の年齢だ。いや、別にそういう意味で聞いてるんじゃ無いよ?え?どういう意味だって?知らないなら良いの!
その発言に対し、フランカは
「ん〜たぶん、あんたと同じぐらいだと思うわよ?セゲン合ってる?」
自分で覚えとけよ…
と、心の中で呟いているとセゲンは
「いえいえフランカ様、この方より1つ程下でございます。16歳ですよ。」
その発言に俺は色々思うことがあったが吞み込み気になったもう一つの点を聞いた。
「その召喚するための術式?それを再構築するのに1万年掛かるんだろう?じゃあ何で16歳でできんの?」
そう言った俺に対しフランカとセゲンは顔を見合わせ疑問の顔を浮かべた。
「あ、あれ?何でだろう…そう言われると確かにそうね…」
「ふむ、確かに勇也様の仰る通りですな…」
成る程、この人(魔族)達はバカみたいだったらしい。
あと言い忘れていたが、フランカはこれでも魔族の王、いわゆる魔王らしい。先代の魔王は「遊びに出かけるー!」とか言って1万年前から行方不明らしい。自由だな魔王!
セゲンさんは魔族の知識担当的なあやふやな立ち位置らしい。不安定な奴め…
とフランカが「まぁそれはいずれ調べるわ。そんなことよりあんたはこれから私の側近になりなさい。というかそれ以外許さないし断ったら燃やすから。」
と、ある意味脅迫され強制的に魔王の側近にされた。
しかし、これから側近生活をして行くごとにフランカの秘密を知り、〇〇〇〇ことをまだ俺は知らない。