いつもの風景、いつもの町。
勢いだけで書いてます。ノンプロットなので、矛盾点もあるでしょう。最後まで書き上げたら、辻褄合わせします。
2015.9.4
「どうしたんだよ、葉月?」
「葉月ちゃん?」
紅葉が吹き荒れる夕暮れの下校時、上から降ってくる二人の声で、私は我に返った。康史先輩と、弘幸先輩が私を見下ろしてる。今まで見ていた景色は何だったんだろう? 白昼夢? 唐津街道を徒歩で帰るいつもの道が、やけに静かに聞こえた。今まで私は、たしか……
「鬼の目にも涙、ってやつか?」
「いやいや、葉月ちゃんの場合は『悪魔の目にも涙』でしょ。どうかしたのかい? 不満が溜まってた?」
「……べつに。ただ、目にゴミが入っただけです」
「今時そんなベタな言い訳する奴、いると思ってんのか?」
「言い訳じゃありません。……不快です。先に帰ります」
一体どうして涙を流しているのか、その理由が分からなかった。不思議そうに私を見つめる二人に向かって鼻を鳴らし、視線を逸らす。
「……みんな、死ねばいいのに」
この時の私は、ものすごく言葉に優しさがあって自分でもビックリしてしまった。ちらっ、ちらっと二人の顔に視線を向け、軽く息をついた。なんだか少しだけ安心。今まできっと、夢を見ていたに違いない。
「いい加減、その口癖やめろよ。すっげー迷惑なんだけど」
悪夢。だけど、どんな夢だったのかは思い出せない。
「だよ? いい加減にしないと、その洗濯板揉むよ?」
セクハラ発言する弘幸先輩の背中を、交番の前でおまわりさんに向かって蹴飛ばして私は思う。
「おまわりさん、いつものこいつらです!」
こんな日常がずっと続けばいいのに。ずっとずっと。いつものように泣いて、いつものように笑って過ごせれば、私はそれでいい。
今の私がなぜこんな事を思っているのかも不明。だけど、なんだか大切な物を再確認させてもらった気分。
「ちょ、おま、葉月! こいつ『ら』ってなんだよ、『ら』って! 俺は弘幸先輩みたいな事言ってねぇだろうが!」
「先輩、さようならー!」
あっかんべーして、私は自宅へと足を向ける。今日も楽しい時間は終わってしまった。先輩たちともっと話したいのはヤマヤマだけど、ドラマの再放送がある。DVDレコーダーがほしい。足早に自宅へ帰りつくなり、私はテレビの前に座った。……テレビの電源が入らない。
「あれ?」
いや、ちがう。他のチャンネルは普通に映ってるのに、見たいチャンネルだけ真黒な画面。
「むー」
こうなったらもう、仕方ない。ワンセグで見よう。大きな画面で見たかったのに。一気に冷めた気がして、私は玄関まで行きカメに餌をあげる。
「ほーら、おユキちゃん、餌の時間ですよー」
ミドリガメのおユキちゃん。生きるも死ぬも、私の手の平。ふふ。今日も元気みたいだね。