短編集④大学デビュー
僕は佐藤規夫。自分で言うのもなんだけどなかなか顔は悪くないし、ファッションセンスもそこそこだと思う。でも残念なのは少し太っていることだ。そんな僕は今、高校三年生の大学受験シーズン真っ只中だ。僕の周りの奴らは必死で勉強している。えっ?僕は勉強しなくていいのかって?僕には勉強なんて必要ない。じゃあそんなに頭がいいのかって?それも違う。僕の成績はハッキリ言って平均以下だ。何故僕が余裕なのか。このことは他の誰にも言わないで欲しい。実は僕はずっと前からこの町のどこかで、ある「取引」が行われているということ噂を調べていた。その「取引」現場がついに発見されたのだ。その取引相手は・・・・
三日後
「さて、おぬしは何が望みかね・・?」
薄暗い部屋の中、数百歳と言われてもおかしくない痩せた老婆と太った高校生がいた。
「A大学に合格させて欲しいんです!」
高校生、規夫が真剣な目で言った。
「ほほう。あの有名大学にわしの秘術で合格させよと・・・・」
老婆がしゃがれ声で言った。
「はい。そのとおりです。17世紀ヨーロッパの魔女狩りから逃げ延び、ここ日本に漂着したあなたなら出来るはずです!!」
高校生が熱をもって言った。
「まあ・・できないこともないが・・・それに見合う報酬をもらわんとなぁ・・・」
「お金ならあります!」
「いやいや。金などいらぬ。わしが欲しいのは・・・・・・」
魔女が金歯をみせにやりと笑った。
「お主の体の一部じゃよ」
「えっ!?」
規夫は目を丸くして驚いた。
「人魚姫に出てくる魔女は人魚姫の声を奪った。さて、おぬしは何を払うのか・・・・・・?」
規夫は最初、恐怖と困惑に顔を染めていたが少し目をつぶって考え、言った。
「よし。決まりました」
一ヶ月後
規夫はA大学の入学式にいた。余分な脂肪がとれてスマートになった規夫は今日、華麗に大学デビューを果たした。