代償:文字の解読
前に何となく描いたものです。二話だけです。
私達の住むこの世界には魔法があります。
魔法という『奇跡』を起こすためには、代償を支払わなければなりません。
私は魔法で、声を持つ生物となら何とでも会話が出来ます。
「アリス、朝だ。起きないとてめぇの羽毛布団引き裂くからな」
……彼は飼い猫のヤコ。元々私の祖母の使い魔だったのですが、何故か寿命が異様に長い黒猫なのです。
私にはあまり懐いていません。
「……解りました。起きて着替えますから出てって下さい……」
「二度寝したら殺すからな」
そう言ってヤコは部屋を出て行きました。あの猫は冗談というものを言わないので、殺すと言ったら本気で私の喉笛を掻き切るでしょう。
彼が部屋を出て行ったのを確認し、ローブへと着替えます。これは私が通う魔法学園の制服なのですが、学園が注文したローブを生徒が購入するのではなく、別にローブだったら何でもいいのです。テキトーです、魔法学園。
着替えて台所へ行くと、バターロールに何も付けず牛乳で流し込みます。
ヤコは勝手にネズミや魚を取って食うので放っといて大丈夫でしょう。
私は魔法のおかげで、動物と会話出来ます。
しかしその代償で、文字を読んだり書いたりする事が出来なくなりました。
†††
……この世界には、魔法があります。
それは、とてもとても残酷で無慈悲な奇跡だと、わたしは思います。




