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第八章 ユウナの能力

ユウナは夢を見ていた。

ゼロが管理地の視察で馬車に乗って向かっていて、崖道を通る道を通っていた。

そこで何者かに馬車ごと崖に落とされる夢であった。

「・・ナ、・・ウナ、・・ユウナ!」

自分を呼ぶ声に反応し、目をうっすら開けた。視界に一番最初に入ってきたのは、ゼロだった。

「大丈夫か?熱はなかったが、ずいぶん、うなされていたぞ。」

と心配している声で言った。私は起き上がった。

「まだよせ、顔が真っ青だぞ。」

私を寝かせようとするゼロ。私は

「大丈夫。・・・これで倒れたの何回目だろうか・・・今回もまた・・・」

半ば独り言のようにつぶやく私。ゼロは、

「今回も、とはどういうことだ?以前も同じようなことを言っていたが・・」

と聞きたがる。それを予想した上で、

「その答えを言う前に説明しなければならないことがあって・・・」

という。

「説明?」

「はい。私に国では能力者の中でもっとも貴重な能力を持つ者が代々王位を継ぎでます。どうやって決めるかと言うと、能力者の能力の階級で決めるんです。」

「階級?」

「そうです。階級には、上から、Sランク、Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、という順に五つ並んでいて、目安をいうと、Dランクは物を動かす程度で、cランクは遠くのものを操れる程度、Bランクは、攻撃専用能力で強いものから弱いものまでで、Aランクは魔法と能力の両方を兼ね備えている者で、Sランクは、過去と未来を見ることができる能力と非常に稀な魔力波動の持ち主というような感じです。」

「じゃあ、ユウナはSランクなのか・・」

「はい、私の先祖は代々、Sランクの能力者で私も能力と共に魔力も受け継いではいるのですが・・私の能力は、先祖の持っていた能力のほかにもあるんです。そのせいで魔力と精神力が激しく消耗し、耐えれなくなって、それで気絶するんです。私の予知能力は自分の意思ではなかなか見れなくて、突然見えるので体が耐えられないんです。」

「そうか。」

「この国に来てからは私の国にいたとき以上に、夢のような感覚でしょっちゅう見るんです。その度に気絶するんです。きっと魔力と精神力が不足しているからだと思うのですが・・」

「だから『今回も』なんだな。」

「えぇ。それとこれをお話したのには理由があるんです。」

・・私は、ゼロの好奇心を利用し、さっき見た未来を告げようとゼロが聞くような言い方で話した。

「理由?」

「はい、私、夢を見たんです。これからどこか行く予定はありませんか?」

「あるぞ、馬車で行く予定になっている。」

「馬車で行くのをやめてはくださいませんか?」

「なぜだ?」

「この際、はっきりいいます。あなたは何者かに襲われます。だからやめてくださいと言ったのです。」

「襲われる!?」

「はい。信じないならそれでもいいですが・・どうしてもというならこれを・・」

言いながら、私はポケットから十字架のペンダントをゼロに差し出した。

ゼロは受け取り、

「分かった。俺はユウナを信じる。馬車ではなく徒歩で行くとしよう。警戒していくようにする。

じゃあ、俺は行く。忠告ありがとな。」

そういって、私の部屋から去っていった。

残された私は

・・まさか信じてくれるとは思っても見なかった・・

と驚いていた。


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