第六章 ロイとの再会
ユウナは婚姻の儀がひと段落してから、すぐにロイのいる部屋へと足を運んだ。
部屋をノックしようとしたら、
「ユウナ、待っていたよ。さあ、入って、話をしよう。」
と、ロイが私を部屋へ入るよう促した。
私はロイの部屋に入り、ロイに抱きついた。ロイも私の背中に手を回し抱きしめてくれた。
ロイが手を離すから私も離した。 ロイが、
「ユウナ、久しぶりだね。あれから会えなくてさびしかったよ。この国はどう?」
と、早速聞いてきた。私は、
「ええ、久しぶり。あれからね、・・・」
私はロイに会えなくなってから、ここまで大まかに話した。そして、
「私、この国は好きじゃないわ。だって、私の髪を珍しがって、笑うんだもの。」
あまり実例がないが、私が、歩くたびに周囲から、この白髪は蔑まれてきた。
「私の髪を唯一きれいだといってくれたのはロイだけよ。」
・・そう、ロイだけ・・今まで生きてきた中で私の髪をほめてくれたのは・・
「ロイの髪もきれいだわ。神のように神々しくて・・うっとりするわ。」
ロイの髪は金髪・・ブロンド・・まるで、世界を統べる王のよう・・
「ありがとう。ユウナにそういってもらえるとうれしいよ。」
といい、ロイは笑った。
ロイと話が盛り上がっていたころ、ドアのノックが聞こえた。ロイが、
「どうぞ。」
と、入ることを許した。 ガチャッと音をたてて入ってきたのはゼロだった。 ゼロは、
「ロイ殿、これからの滞在について話したいことが・・・って、なんでここにユウナが!?」
入ってきて突然しゃべり出したゼロだが、すぐに私の存在に気づいた。私は、
「話したいことがあったから・・・それよりゼロは何で?」
自分が来た理由を話しからそらしてゼロに来た理由を聞いた。 ゼロは、
「ロイ殿が、長期滞在することになって、その間、俺がこの国を案内する旨を伝えたかったからだが」
と不思議そうに、部屋に訪れた理由を淡々と述べる。
「そう。」
私がつぶやく。ゼロがいまだに私に何か言おうとしそうだからなのか、ロイが
「ゼロ殿、滞在は母からお聞きしていますが・・して、その案内とは・・?」
と、横から助け舟をだしてくれた。 ゼロが
「ロイ殿はこの国のことはまだご存知ではないでしょう。父が案内して差し上げろとの御命令で、早速、明日、この城の城下町・・マゼロンリーダという街の端から端までの御案内というのは、いかがかと。」
と、一気に説明した。ロイは、
「気遣い感謝いたしますと、伝えておいていただきたい。」
といった。ゼロは
「では・・」
と、ロイは笑って、
「ええ。喜んで、お受けします。」
と、案内を受けた。
私は、・・いいなぁ・・と思いながらゼロとロイの対話を聞いていた。 すると、
「ユウナもそのときご一緒してもよろしいでしょうか?友人がいればにぎわいますし、いいよね?」
とロイが聞いてきた。私の答えは、
「ぜひ、喜んで。ご一緒できるなんて光栄です。」
と、誘いを受けた。ゼロは驚いていたが、
「では、また明日に・・ユウナ、行くぞ。」
とわたしの腕を引っ張ってつれていこうとした。私は、少しためらって、
「えぇ、ロイ、また明日。」
と、ロイに聞こえるよう、ゼロに聞こえないよう言って部屋から出た。
部屋から出てなお、ゼロはまだ私を放さない。そのまま歩き出す。 私は、
「ちょ、ちょっと放してよ。」
と言った。
・・私を何で連れてきたの・・?・・もっとロイと一緒にいたかったのに・・
ゼロは、
「ユウナ、あいつとどういう関係なんだ?」
と、私の腕を強くつかんで聞いてきた。
「え?」
いきなり聞いてくるから理解できなかった。 ゼロは、
「だから、あいつとどういう関係なんだ?」
と、同じ言葉を繰り返す。私は、
「ど、どうって聞かれても・・友人ですよ。前に知り合った・・」
ゼロがあまりにも真剣に聞いてきたから、驚いた。
「本当か?」
と聞いてくる。 私は頷いた。
嘘はついていない。ただ、一部分しか言っていないことも事実。
友人は友人だが、ただの友人ではない。と・く・べ・つ・な・友人なのだ。
ゼロは、
「そうか。」
と言って、私の腕を放した。ゼロは、
・・怪しい・・ユウナがあいつ(ロイ)に向ける表情は俺には向けられたことがない。引っかかる・・
とか思ってる。
これからどうなるでしょうか




