第三章 毒を盛った犯人
ゼロが向かったのは、料理室だった。料理室のドアを開けた。
料理室には、王族の食事を作る長、料理長が、料理を作っている最中だった。
俺は、料理長に、
「料理長、忙しいところ悪いのだが、聞きたいことがある。」
と、声をかけた。 料理長は、作業の手を休め、
「殿下、なんでしょうか?」
と、聞いてきた。 俺は、
「俺がユウナの朝食を作ってくれと頼み、食事をここまで取りに来たまでの間、誰か来なかったか?」
と、たずねた。
・・毒を、長年仕えてきた料理長が盛るはずがない・だとしたら、俺がいない間に来た奴に可能性が、ある・・いったい誰が・・もし、そいつだったら、ユウナに顔向けができん・・
料理長が、
「え~と、来ましたよ。あなたの兄上の、ゼリム様の婚約者のユイ様が、・・。」
と、こたえた。
「!?」
俺は、声にならなかった。
「ありがとう。料理の邪魔をして悪かったな。」
と、一応、礼を、いい、その場から去った。
・・あいつが・・いや、まさかな・・だが・・あいつ・・ユウナが来てから機嫌が悪かったからな・・
俺は、戸惑った。ユイは、子供のころから知っている。俺は、信じられないでいた。
俺は、ユイに聞こうと思い、ユイの部屋を訪ねた。
部屋をノックする。そうすると、ユイが出てきた。ユイは、顔を輝かせて、
「ゼロ様、どうしたのですか?」
ときいてくる。俺は、早速、
「ユイがユウナの料理に毒を盛ったのか?」
ときいた。ユイは、顔色が、さぁーと変わり、引きつった笑みを浮かべ、
「さ、さあ、私には何のことだか、・・」
と、とぼけた。俺は、
「とぼけても無駄だ。料理長に聞いた。・・なぜそんなことをした?」
ユイは、はぁーとため息をつき、
「ごめんなさい。だって、あの子が来てから、ゼロ様は、私にかまってくれないから・・」
と、うつむいてしゃべりだす。俺は、
「かまってやれなかったのは、悪かった。だが、あいつはあれでも、俺の妻だ。だから、もう、こんなこと、するなよ。」
と、いった。ユイは、
「ごめんなさい。」
と、謝ってくれた。俺は、
「ならいい。じゃあ、またな。」
とユイと別れた。
これで、一つの謎は、解けた。
ゼロは、このあと、ユウナに料理とデザートを持っていこうと思った。ささやかなお詫びとして・・
だが、ゼロは、気づかなかった。ユイの恨みのこもったユウナへの復讐心に。




