第二章 ユウナへ、抱く想い
ユウナが、目を覚ましたときはすでに朝で、案内された自分の部屋に、寝かされていた。
私は、起き上がったけど、ふいにめまいがして、頭を抱えた。
そのとき、ガチャッと音がした。
「・・目が覚めたか・・おい、大丈夫か?」
と、部屋に入り、声をかけたのは、ゼロだった。
ゼロの手には、料理をのせたお盆があった。ゼロは、私のために運んできてくれたのだろうか。
ゼロは、テーブルの上に料理をおき、私に近づいてきた。ゼロは、
「料理食べれるか?」
と、心配しているような声で、聞いてきた。私は頷き、立ち上がろうとした。が、突然視界が歪んだ。
ゼロが、
「おいッ!」
と、さけび、体を支えてくれた。
「無理するなって。まだ寝ていたほうが・・・」
とゼロが言い終わる前に、私は、呪文を唱えだした。
ゼロは言葉を途中で飲み込み、こいつ、いったい何をする気だ?と、思い、ユウナのでかたを待った。
ユウナは、唱え終わった呪文を、解き放った。そして、
「毒。」
と一言、短く言った。ゼロは一瞬、何を言っているのか、分からなかった。
次の瞬間、ユウナは『毒』と自分で言った料理を、口にしようとした。
俺は、ユウナのやっていることが、わからなかった。
ユウナが口にしようとした瞬間、俺は、それを、叩き落とした。
なぜならば、本能が、
『食べさせるな!!』
と、強く主張したからだった。
ユウナが、
「何で?」
と、俺のした行為に平然と聞いてくるからつい、
「何でって・・お前、自分で毒物食べようと、自殺行為する奴を見てろって言いたいのか!!」
と、怒鳴っていってしまった。
ユウナは、わびれた風でもなく、
「あなただって、私の死を願っているんではないんですか?」
と、俺が、ユウナの死を願っていると疑わない、信じきった眼で聞いてきた。
死に急いでる風でもなかったが、何か、忽然とする物言いに引っかかった。 俺は、
「おれは、お前の死を・・ユウナの死など、願っていない!」
ときっぱり答えた。
ユウナは、
「本当?」
と、聞いてきたから、
「本当だ!」
と、剥きになっていってしまった。
ユウナは、
「そう・・。」
と、俺の言葉を信じていない様子で、答えた。
ユウナは、突然、
「昨日、私・・夕食会で倒れたんですよね・・」
と、いきなり、話題を変えるから、
「あ、ああ。」
と、驚き気味に答えた。 ユウナは、はぁーと、ため息をついて、
「また、倒れちゃったんだ・・・」
というので、
「また?」
と、聞き返した。
そのあと、答えが返ってくるかと、思いきや、ユウナは、
「う”ッ」
と、うめき、頭を抱えた。ユウナの表情が、さぁーと青くなる。 俺は、
「おいッ、大丈夫か?」
と、聞いたが、答えが、返ってこないので、ユウナを、ひょいっと、抱き上げた。
ユウナは、痛い、という表情を見せる。今ので、衝撃を、与えてしまったのだろうか。 俺は、
「無理するなよ、また来るからな。」
と、いいながら、ユウナを、ベットに寝かした。 ユウナは、
「・・ありがとう・・」
と、小さい声で言った。俺は、照れながら、
「たいしたことはしていない。・・ゆっくり、休めよ。」
と、いい、部屋から出た。
おれは、ユウナみたいな奴は、好きではない。
でも、言葉の物言いや、倒れた理由、ユウナのことがもっと知りたいと思う自分がいる。
この気持ちは、何なんだ?
ゼロは、心にある、さまざまな感情に、惑わされていた。
とりあえず、料理に毒を盛った犯人を捜すとしよう
と、思った、ゼロであった。




