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第二十四章 ユウナの取り合い

「ユウナをおいて帰れ、ゼロ!」

ロイはゼロに向かって怒鳴った。

「おいてかえる、だ!?何のために来たんだと思ってるんだよ、ロイ!」


「僕にはユウナが必要なんだ!!」


ゼロはロイに言い返した。

ロイはユウナが必要だと叫ぶ。


ユウナはロイが視界に入ってすぐに気を失った。


「必要??必要だからってこんな扱いしていいと思ってんのか??

お前ならもっと丁寧に扱うと思っていたが。

まるでユウナは人形みたいなありさまじゃないか!?

お前一体何をユウナに言い聞かしたんだ?」


ゼロが叫ぶ。


「お前じゃユウナを守り通すことなんかできない。

お前は魔の国の王子なんだからな。

そのことをユウナには理解してもらっただけだよ。

いつ利用されるかわからないって。

そういっただけさ。だってそうだろ?

魔の国は大きな力を欲している。そのための婚約だという情報が入ってきた。

ユウナがこのまま利用されるよりここで暮らしてもらうほうが幸せだよ。」


ロイが説明する。


「利用?そんなことのために魔の国の王は婚約を光の国に取り付けたわけじゃない。

戦争をやめたかっただけなんだ。」


ゼロが言う。


「表ではそうなっているけど、どうやら本当のことは王子ですら知らないようだね。」


「どういうことだ?」


「知っているかい?今まで魔の国が神の国であるここを攻め入ってこなかった理由を。」


「は?それとこれが関係あるのかよ?」


「関係おおありさ。魔の国は神の国を攻めて勝つ力はないに等しいのだから。

そのために光の国を攻めて自分のものにしようとしたんだ。

でもそんなことしなくても大きな力を手に入れられることを見つけてしまった。」


「それがユウナだといいたいのか?」


「そうだよ。魔の国は、三つの国全てを自分のものにしたいと考えているんだ。

でも神の国には到底勝てない。光の国と争えば犠牲者が出る。

そこで平和条約という名の婚約を見出したんだ。

婚約相手は光の国の王女であるユウナ。

ユウナの力は魔の国にとってこれ以上にない大きな希望。

この力を利用するほか神の国を侵略なんて不可能なんだ。」


「嘘だろ。そのための婚約だなんて。」


「嘘と言い切れる?言い切れられるはずなんてないだろ?光の国との戦争中、そっちの王は生き生きとしてたもんね。」


「ぐっ」


「何もいえないだろ。そりぁそうだ。ゼロはその王を直接見てるもんな。だったら分かるだろ?

ユウナを連れて行けばユウナを不幸にあわせるのを手伝っているようなものだと。

だからユウナをおいていけよ。

僕なら絶対ユウナを守ることができる。

魔の国は神の国をユウナなしじゃ侵略は不可能なんだからな。」


「俺は魔の国の王子だ。俺が王になればユウナを戦争のための道具になどしない!」


「王になる??君が、かい?無理だろ?次男だろ?ゼロは。」


「俺は確かに次男だ。王になるまでの間かなり時間がかかる。だが、王は俺の行動しだいで決めてくれる。 王は兄上より俺を選んでくれたからな。」


「ゼロの行動しだい?その中にユウナの利用が含まれていたらゼロはどうするんだ?」


「含まれはしないだろう。今、王は病で伏せている。先ほど復帰したがまた病に伏せるだろう。

王の体は毒には弱い。」


「毒だと?」


「そうだ。王というのは他人に疎まれやすい。そいつらが仕込んでいるそうだ。

他の者はそれに手助けしているようだからな。

少しでも俺が王の助けとなれば王は俺を選ぶ。

兄上は王位を拒絶しているからな。」


「魔の国の王は戦争好きといっているが本当なんだな。

それなら誰が王を恨んでもおかしくない。

分かった。とりあえず、ユウナをお前に託すとしよう。

もし、ユウナを危ない目にあわせでもしたら僕は国を動かすことになってもユウナを連れ帰るからな。」


ロイはゼロに悔しそうに言った。


「あぁ。だが、ユウナをまた連れて行こうなんて簡単できるなんて思うなよ。」


「はは。分かってるよ。そんなこと。

そうと決まればお前は早くユウナをつれて出て行くがいい。

城の者には僕が言っとくから。」


「あぁ。よろしく頼む。」


ゼロはユウナをつれて神の城から出て行った。

ロイはそれを見ながら

『ユウナ、次に会ったときに何を言うだろうか?』

と、思いながら苦笑した。










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