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買取中は大人しくワインでも

 

 町に戻り、冒険者ギルドへ再度訪れた。

 目的は薬草とゴブリンの買取をしてもらうためだ。


 正直な話、これが仕事として成り立つとはこの世界大丈夫だろうか……

 魔物とやらの素材がそれほどまでに優れた物なのか俺にはよくわからなかった。

 こんな全身が緑色をした生き物をどう使うのだろう。

 肉にする? いやいやこんな生き物食べる気になれない。

 なら皮を取って使う? 皮を何に使うんだ? 毛も生えていない皮なんぞ防寒具にもならない。かといって別段硬いわけでもない。

 ほんとうに謎だ……この世界の常識に慣れる日はくるのだろうか。


 とりあえず先ほど受付したカウンターまで行くと、受付嬢が少しビクついた。

 あのまま放置して出ていいたからな。

 俺は受付嬢に薬草とゴブリンの買取をしてほしいと伝えた。


「か、買い取りですね? でしたらあちらの受付からお願いします」


 ああ、なるほど。こっち側は依頼の受理や完了を報告する受付だったのか。


 俺たちは指示された受付に行き、買い取りを申し出た。


「買い取りだな。見たところ手ぶらのようだが……」

「ハクア頼む」


 ハクアは《収納》からゴブリンとデカいゴブリンを雑に放出した。


 もうちょっと丁寧に扱ってほしいな……


 受付の男は、デカいゴブリンを見て声をあげた。


「ジェネラルゴブリンじゃないか!!」


 その声に周囲の視線が集中すると、一気に騒ぎに発展した。


「おいおいおい、マジかよ」

「何でジェネラルゴブリンがいんだよ」

「もしかしてあの三人が倒したのか? 嘘だろ?」

「あの三人さっき騒ぎ起こしてた奴らだろ……登録したてのGランクがジェネラルゴブリンを?」


 何やら騒がしくなってきた。

 俺はハクアに小声で確認をとった。


「なあ、ジェネラルゴブリンってのは、その……すごいのか?」

「ゴブリンの上位種ですね。えーっと、上から数えて三番目くらいの階級だったかと」

「上から三番目……他には何がいるんだ?」

「そうですね……一番上に君臨する『ロード』、群れを統べる『キング』、そして軍団を率いる今回の『ジェネラル』……といった感じでしょうか。一応まだ下にいくつか階級はありますが、ジェネラルから上はそれ以下とは別格とお考えください」

「つまりクロエが倒したゴブリンって――」

「この町くらいなら滅ぼせますね。もっとも、抵抗しなかった場合ですが」


 この町くらいなら滅ぼせる。

 そんなセリフをハクアは微塵も興味がない様にタバコを吹かせながら告げた。


 そんな魔物がゴロゴロいるような世界なのか……ヤバいな。俺はとんでもない世界で第二の人生を送らなきゃいけないのか。恨むぞクソ神。


「ねー、結局そのゴブリンはいくらになるの? 僕は早く飲み放題したいんだけど~」

「え……あ、ああ、ちょっと待ってくれ。何しろこの町では初めて見るからな……おい! マスター呼んできてくれ」


 マスター。マスター? バーのマスターなわけないよな。


「各冒険者ギルドを運営している者です……主様の世界でいえば、支店長が一番近い表現ですね」

「あー、そういうやつか。てことは他の町にも冒険者ギルドがあってそれぞれにマスターがいるんだな」

「ご名答」

「ねー主様ー、僕もう限界なんだけど」

「わかったわかった。とりあえず今はこれで我慢してくれ、な?」


 俺は《無限嗜好品供給むげんしこうひんきょうきゅう》を発動し、適当に頭の中に浮かんだ赤ワインを一本出した。


「ふ~! さっすが主様! 大好き!」


 クロエはワインを俺から奪い取ると、指でコルクを引っこ抜いた。


 じ、地味に凄いな今の……そうか、俺の《無限嗜好品供給むげんしこうひんきょうきゅう》はコルクを抜く道具が出せないか。そう考えると、今後出す酒はその辺も考慮しないといけないな。


 するとハクアが無言で手を差し出してきた。

 顔を見ると、タバコの箱を逆さまにして空であることを主張する。


「今は何の気分だ?」

「主様が吸ってるやつでお願いします」

「はいはい」


 ウィンストンを出し、ハクアに手渡す。


 俺も一本吸おうかな……


 そう思っていると、一人の人物が俺たちに声をかけた。


「君たちか、ジェネラルゴブリンを倒したというのは」

「そうだけど……おたくは?」

「俺はこの町の冒険者ギルドを任されている者だ」

「ああ、マスターって人ですね。初めまして長岡と言います」

「うむ。早速で悪いが、何処で遭遇したのかを詳しく教えてもらいたい」


 ……面倒事になりそうな気配だな。とはいえ仕方がない。


 俺は薬草採取中にゴブリンの群れに遭遇したことを告げた。


「なるほど……わかった。君たちの言った周辺を捜索させよう。ジェネラルゴブリンはこちらで全て買い取りたいのだがいいだろうか?」

「ええいいですよ」

「ありがとう。金はすぐに持ってこさせるからここで待っていてくれ」


 そう言ってマスターと名乗る人物は去っていった。

 それから少しして、別の人物がハンドボールサイズの袋を持ってやってきた。


「お待たせしました。コチラが買い取り金になります」

「どうもどうも、確認しますね」


 袋の中を開けると、銀のコインと、銅のコインが入っていた。


 銀が二割で銅が八割ってとこか……どうなんだ? この世界の貨幣価値がわからないから、これが正解なのかわからない。


 ハクアが横から袋の中を確認し――


「……少し色は付けられる感じですね。妥当かと」

「そうなのか、じゃあ預かっててくれ」


 ハクアに袋を渡すと《収納》を発動し、異空間に袋を仕舞った。


 よし、これでもうここに用はなくなった。

 さっさと宿を探して、ゆっくりしたい……腹も減って来たしな。


 俺たちは冒険者ギルドを出て、宿を探すことにした。

ジェネラルゴブリン:手下のゴブリンを数十体引き連れて行動することが出来る。実際ヤバイ級エネミー。アイエエエ

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― 新着の感想 ―
こっちの世界の文明度はだいぶ低そうだけど 酒の味はどんなもんなんやろなー
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