大声だしたから一杯飲みたい
ハクアと無事仲直りしたので、早速Gランク用の掲示板を眺めていた。
掲示板を眺めていて気づいたことがある。
この世界の文字はアルファベットに似ている感じはするが、微妙に違う形をしている。
なのに読める。
文字の内容が理解できてしまう。
こういう時は、物知りなハクアさんに聞いてみるのが一番だ。
「なあハクア。この世界の文字がちゃんと読めるんだけど、そういうもんなのか?」
「文字? ああ、転生する際に身体を作り直しましたからね。この世界の言語パックも一緒にインストールされたと思ってください」
「そんなパソコンみたいな……」
「現に主様の身体は若返っていますよね?」
「まあ、そうだな。そういうものなのか……」
「魔法のある世界ですから、そういうものです。主様の元いた世界が割と特殊なだけですよ」
魔法ねえ……それを言われるとなんでもありな気がしてしまう。
「なんで俺のいた世界が特殊なんだ?」
「魔法よりも科学が発展しているからです。科学の力を行使するには、何かしらの道具が必要ですよね? その点魔法は自分自身さえいれば使えますから。便利さという点では魔法の方が上です。だから魔法ルートに分岐する世界が多いんです」
そう言ってハクアは指先に火を灯し、タバコに火をつけた。
「ほら、ライターという道具を使わなくても、魔法なら火をつけられるんです」
「なるほどな……あと室内だからな」
「いいじゃないですか、登録は終わったんですから」
やれやれ。
あんまり深く考えても仕方のない問題な気がするので、気にしないでおこう。
俺は再び掲示板に目を移す。
とりあえず、今日の食事と宿代は手に入れたい。
あの二人はまだ金があるからいいとして、このままでは俺だけ野宿になってしまう。
また借金するわけにはいかない。
張り出されている依頼を見てもどれが割のいい依頼か見当もつかない。
どれも雑用みたいな内容ばかり――おっ? これは。
目が留まったのは『薬草採取』と書かれた紙。
しかも報酬は納品した分だけ貰える。
この薬草を大量に採ってくれば、それだけ多くの金が手に入るのか。
こちらは三人もいるんだ、手分けして探せばそれなりに採れるだろう。
二人にはタバコと酒を渡せばいいかな……うーん、なんというか完全にこのスキルありきの関係になってしまっている。
まあいいか。
振り返り、二人に声をかけようとした――
「よお姉ちゃんたち、俺らと組まないか?」
「そっちの男より俺らの方が頼りになるぜ~」
あからさまな輩に絡まれていた。
早速面倒事か……しかたない。
「はいはい、悪いな。その二人は俺の連れなんだ」
「あ? すっこんでろボケ」
「そうそう、痛い目にあいたくないだろ~」
「……いいから失せろ。こっちはお前らに構ってる暇はないんだよ」
俺の言葉に輩の一人が胸倉に手を伸ばす。
ジュッ
「アッツ――!?!?」
ハクアが男のこめかみに根性焼きをいれた。
「おい、貴様のせいで一本無駄になったのだけれど、どう落とし前つけてくれるの?」
ハクアはドスの効いた声で男に詰め寄る。
「こ、この、クソアマ――」
「ハーちゃん、主様の耳塞いで~」
クロエの言葉にハクアはギョッとし、俺の背後に一瞬で移動すると耳を塞いだ。
え、なに、なにするの!?
「んんっ――あ゛!!!!!!!!!!!!」
クロエの口から、爆弾が爆発したような音の衝撃が炸裂した。
ハクアが耳を塞いでくれていたお陰で、俺は耳が少しキーンとなる程度ですんだ。
だが、クロエのそばに居た男たちは、衝撃をもろに受けたのか、耳や鼻から血を流し――床に倒れた。
遠巻きに俺らの様子を眺めていた連中も、皆一様に耳を押さえ悶絶している。
ハクアが俺の耳から手を離すと、クロエに詰め寄る。
「――――――――!!」
「――――」
何か言っているが耳がキーンとなっているので全然聞こえない。
ハクアの様子からして、多分怒っている。
俺は床に転がる男たちを見つめながら、こいつらは放置でいいかな。
そんなことを考えていた。
HUNTER × HUNTERのウヴォーギンのアレ。
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