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悪ぁ  作者: 10777
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: 1

アステリア : あけましておめでとうございます。

――で、合っていたでしょうか?この世界での新年のあいさつは。

キャトラ : あけおめ~~~!!!

アイリス : あけましておめでとうございます。あらためて、今年もよろしくお願いします♪

アステリア : <新春飛行島歌合戦>もお疲れさまでした。

六悶着ほどありましたが、無事にライブを乗り切れて何よりです。

キャトラ : 六悶着どころじゃなかったでしょ。

アイリス : でも、歌も演奏もかっこよかったですよ。

アステリア : ありがとうございます。個人的にも実りの多い一時でした。

せっかくの貴重な休日ですし……残りはのんびりとギターを爪弾きながら過ごそうと思います。

キャトラ : こっちは全然大歓迎だけど、おやすみしてて大丈夫?

一応アステリア、あっちで一番偉いひとでしょ?

アステリア : 余も部下たちに何度も念を押しました。余がいなくては何かと困るでしょう、と。

でもなんか、いなくてもいいそうなので大丈夫です。

キャトラ : いなくてもいい偉いひとってなに?

アイリス : きっとみんなアステリアさんに休んでほしかっただけですよ……!

アステリア : 本当にそれだけだと、余の目を見て言えますか?

アイリス : 休んでほしかった……だけですよ……

アステリア : なぜ微妙に目を逸らすのですか?

確かに、現実はどうあれ……事実として認めざるを得ません。

余は部下たちから極度の不器用だと思われていると。

アイリス : ……えぇと、はい……

キャトラ : まあ、うん……思われてるっていうか……

アステリア : ですが心機一転!!こうして素敵な新年の幕開けを迎えられましたし、今年は何事にも、よりいっそうの気合と勇気をもって全力で挑み、部下も民も見返してみせますっ!

アイリス : はい。ほどほどに……

キャトラ : 新年といえば、アステリアはもう初夢ってみた?

アステリア : ……初夢?

キャトラ : あ、そっちの世界ではそういう文化ないんだ?

アイリス : 新年初めて見る夢のことですよ。大晦日の夜とか、元日の夜とかタイミングは諸説ありますけど。

縁起のいい初夢を見られれば、その年は素敵な一年になるって言われてるんです。

アステリア : ……なるほど、興味深いですね。

つまり<破壊の神域>の神である余が縁起のいい初夢を見られれば、それは民や部下たちの幸福にも繋がるということ……

……わかりました。幸い、まだ夢は見ていません。

――余は必ず!!<破壊の神>として!!素敵な初夢を見てみせますっ!!

キャトラ : 目ぇぎんぎんにしながら夢の話しないでよ……

: 2

アステリア : すぅ……すぅ……

: 初夢一日目――

アステリア : はぁ、はぁ、はぁ……

近所の森で遭難してからもうすでに五兆日……飲まず食わずのまま彷徨い歩いている余……

ごめんなさい……みんな……余の生命もお腹も……もうここまでのようです……

……? くんくん……何か香ばしい匂いが……

なっ……!? まさかあれは……野生の焼きナス!?

ああ、神よ、感謝します!いや神は余なんですよ!!

ともあれ、なんという僥倖……久方ぶりの食事です……

この幸運と焼きナスの生命に感謝しまして、いただきま――

ヘスティ : まてアステリア!!実は俺ももう百兆日くらい何も食っていない!!

アステリア : へスティ!?そなたも遭難を!?

ヘスティ : そうなんだよ。

アステリア : ふふっ。

ヘスティ : なに笑ってんだ!?まあいい、その野生の焼きナスは俺がぜんぶもらう。

アステリア : いや、せめて半分こでしょう!?見つけたのは余が先ですっ!

ヘスティ : お前にはほら、俺の大切なこれ、分けてやるから……

: へスティは美髪を一本抜いてアステリアに渡した。

アステリア : は?

ヘスティ : 今朝、鏡の前で丹精込めてセットした俺の美髪だ。大切にしろよ。

アステリア : いや知りませんし、いりませんし、今朝セットしたなら遭難百兆日目は嘘じゃないですか。

ヘスティ : じゃあなー!!

アステリア : あっ、待ちなさい!!ナスを置いていきなさーーい!!

ナーーーーーーーース!!!

キャトラ : あ、おはよアステリア。初夢みれた?

アステリア : アレですね……アレはノーカンですね。

キャトラ : は?

アステリア : 昨日まで初夢の概念を知らなかった余にとって、昨夜は予行練習のようなもの。

つまり今夜が初夢本番です。いいですね?

キャトラ : よくわかんないけど好きにすれば。

アステリア : 今夜こそ……今夜こそ素敵な初夢を見てみせます……!!

: 3

アステリア : すやすや……

: 初夢二日目――

アステリア : はぁ……空を飛びたい……

エルテア : いきなり何言ってんだてめぇ。

アステリア : 人には、無性に飛びたくなる日があるものでしょう。

例えば嫌なことがあった日、それに嫌なことがあった日、そして嫌なことがあった日……

エルテア : バリエーション思いつかねえのになんでわざわざ三つ言ったんだよ。

アステリア : はふぅ……飛びたい……

エルテア : まあいい、渡りに船ってやつだな。

ついてこいよ。俺がてめぇの願いを叶えてやる。

アステリア : はいっ、ついていきますっ!

タカマシーン1号 : ギャーーーーーース!!!

アステリア : いやーーーーーーー!!!

なぜ!! 余は!!巨大な!! 鳥に!!縛り!! 付けられて!!いるのですかーーー!!?

エルテア : ハハハハハハハッ!!俺の新発明<タカマシーン1号>の乗り心地はどうだ!?

感謝してやるよ!!こうして親切に飛行試験に付き合ってくれてなァ!!

アステリア : 余が括り付けられてる必要性がなにひとつ見当たりませんが!?

エルテア : よーし、もっと高度上げるぞ!!いけタカマシーン!!

タカマシーン1号 : おっぴー。

アステリア : おっぴーじゃないんですよ!!

エルテア : ハハハハ!!凧揚げならぬタカ揚げだァーー!!

アステリア : きゃーーーーーー!?高い高い高い高い~~~~~!!!

たーーすーーけーーてーーー!!

アイリス : あ、おはようございます。なんだか顔色悪いですけど……

アステリア : ……アイリス。たしか初夢と呼べるタイミングについては諸説あるんでしたよね?

アイリス : え? あ、はい、まあ……

アステリア : よし、ではアレもノーカンですね。ふう、危なかった。

キャトラ : ……よくわかんないけど、ちゃんと夢見たんならそれがアンタの初夢じゃないの?

アステリア : ふふ、キャトラ?常識にばかりとらわれていてはいけませんよ?

柔軟性。動乱の世を導くには、より多角的に物事をとらえる考え方を持たなくては。

キャトラ : まあ、じゃあ、いいんじゃない。

: 4

アステリア : すやぁ……

: 初夢三日目――

アイレ : ほらアステリア、早く早くっ!山頂までもう少しよ♪

アステリア : もう、アイレ……あまりはしゃぎすぎると転げ落ちてしまいますよ?

アイレ : 大丈夫だってば。それを言うならアステリアの方が、ここに来るまで五億回以上落ちそうになってるじゃない。

アステリア : す、すみません……せっかくの登山旅行なのに、余が頼りなくて……

アイレ : ふふふ、冗談♪フジ山ってすっごく綺麗だねぇ。

アステリア : ええ。ですが、山頂からの景色はもっともっと美しいそうです。

あなたと……その……ふたりでそれを眺めたいと……ずっと思っていたんです……

アイレ : もう、アステリアったら。じゃあほら、急ごうっ!

――きゃっ!?石をふんづけて転んじゃった~!

アステリア : アイレーーー!!!

??? : ――おっと危ない。キミ大丈夫~?

アイレ : きゅん……

アステリア : きゅん!?

イレトゥーサ : あはっ、危ないな~。ほら、手を貸してよ?

アステリア : いや、ちょ……

イレトゥーサ : ――綺麗な手だね。もう二度と離したくないなぁ?

ね、このままふたりで山頂行って、最高のロケーションで結婚しよ?

アイレ : きゅんきゅーん♡

アステリア : きゅんきゅーん!?

イレトゥーサ : じゃ、いこっか♪ふたりのバージン[山道:ロード]を、ね?

アステリア : だめですアイレ!!出会ってから三秒で求婚するような不埒者は非常に高確率でろくでなし間違いなしです!!

アイレーーーーーー!!!

なぜっ!?

キャトラ : なぜって言われても……

アステリア : うぅ……なぜか変な夢しか見ることができないんです……ナスとタカとフジ山の……

キャトラ : それだけ聞いたら普通に縁起のいい夢なんだけど……

アイリス : あの、アステリアさん……初夢なんて必要以上に気にすることありませんよ……

アステリア : いえ、ここまで来て諦めるわけにはいきません……!今夜こそは……!!

: 5

アステリア : 今夜こそ、今夜こそ……!!素敵な初夢を……!!すやぁ……!!

: 初夢四日目――

アステリア : ――はっ!? ここは……

これは……夢の中?明晰夢というやつですね……

どうかいい夢を……!!余を慕ってくれる部下のためにも、余を信じてくれる民のためにも、どうか素敵な初夢を……!!

ナス神 : よっしゃいくぞお前ら!!

タカ神 : マジ、アレだわ。いくしかねぇわマジで。

フジ神 : 正月にしか注目されない我らの恨みと底力、とくと思い知るがいい!!

初夢合体大魔神 : スペェェェェエエエエス!!!

アステリア : 嫌な夢と嫌な夢と嫌な夢が合体しちゃいましたーー!?

うぅ……余自身はどうなっても構わない……

ですが、このままでは……このままでは……余の守るべき大切な人たちまで不幸に……!!

うぅ~ん……うぅぅ~……ナスとタカとフジが合体したぁ……

キャトラ : 気になったから来てみたけど、案の定、変な夢見てるわね……

アイリス : (情景に既視感がありすぎる……!)

キャトラ : ふんとにもう!!主人公、新年そうそう悪いけども――

ぴかっとやっちゃってーー!!

: 6

アステリア : ふぅぅう~……あったかいですぅぅ……

キャトラ : しっかりおしアステリア!!アンタの強みは――

初夢合体大魔神 : スペェェェェェェェェェェス!!ドリィィィィィィム!!ふぅーーはははぁーーーー!!!

アステリア : くっ……このままでは素敵な初夢を見ることなど叶わない――!!

アイレ : ――しっかりしてアステリア!!あなたの強みは――

あなたの強みは、どんな障害だって一歩も退かず力尽くで斬り倒す――

――[脳筋っぷり:ま よ い の な さ]でしょっ!!!

アステリア : ……っ!! そうだ、今の余は……幾多の戦いを生き抜いてきた余は、迷信などに囚われるほど弱くない!

初夢合体大魔神 : ふはははははははーーー!!!初夢にへいふくせよーーー!!!!

アステリア : そういう訳にはいかないのですよ。目には目を、合体には合体を――

さあ、いきますよみんな!!想いを一つにして――いざ!!

イレトゥーサ&エルテア&へスティ : おっけ~♡めんどくせぇ。なんでだよ!!

アステリア : 我ら<四壊衆>――初夢☆極限☆融合臨壊――!!

<破壊の神>[賀正新年装衣:にゅーいやーふぉーむ]――いざ参りますッッ!!!

初夢合体大魔神 : ドリィィィイイイイイイム!!!!

アステリア : いきますよ!――勇気と!!

ヘスティ : え、合わせ台詞とかあるのか!?えぇと、せ、正義と!!

イレトゥーサ : 愛と♡

エルテア : 俺パス。

アステリア : とくと浴びるがいい初夢――熱き音に宿した我が決意を――

<竜生九子>―――

初夢合体大魔神 : あけましておめでとォォォォ!!!

アステリア : ―――<[祝:ことほぎ]>ッッッ!!!

: …………

……

アステリア : ――という感じで、余たちは見事初夢を打ち倒したのです。

キャトラ : よかったね。

アイリス : よかったですね……

アステリア : 願掛けも大切ですが、願いに囚われすぎてしまえば人は身動きできなくなってしまう……

だから時には、ああして力尽くで道を斬り開くことも必要……

――ありがとうございます。そなたらのおかげで初心に帰ることができました。

キャトラ : まあうん。はい。

アステリア : なぜキャトラはここ最近ずっと塩対応なのですか!?

キャトラ : アンタは変わんないなぁ、って……


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