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悪ぁ  作者: 10777
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: コルネ_20213610_1_v2

アイリス : いらっしゃい、コルネちゃん。

コルネ : うむ、メリークリスマス。

ミギノス : とっくに過ぎとるわ!季節感くらいは合わせて!

ヒダリノス : おたくらもつっこんだ方がええで!このままやと、しまいにお年玉せびりに来かねへんからな。

アイリス : い、いえ。私たちは別に……それより……

キャトラ : 眼鏡かけようかしら。ルグノスが二重に見えるわ。

ミギノス : いや、それ視力の問題とちゃうんや。

ヒダリノス : 二人になっとんねん、呪いのせいで。

コルネ : ルグノSになったのは呪いじゃないでしょ。

キャトラ : どういうこと?

なるほど。呪いで脆くなったルグノスが二つに折れて、ディアイゼの融結呪言で直したら二人になった、ねえ。ふむふむ……

――んなわけあるかーーー!

コルネ : まことにもっとも。

ミギノス : コルネは見てたやろ!

ヒダリノス : 冗談みたいな話やけどホンマなんやて。俺ッチもミギッチも縮んどるし、ちょっと若いまであるやろ?

ミギノス : 男前が台無しやで、ホンマ……

コルネ : まあ小さくなったのは本当だから、包丁として売ろうと思う。ミギノスヒダリノスの二本セットでお得。

ヒダリノス : すぐそういうこと言う!

ミギノス : それに前から言うてるけど、俺ッチたちは仮にも剛剣やで?包丁なんかちゃんちゃらおかしくてヘソで茶ぁ沸くわ。

コルネ : ヘソで茶が沸く機能搭載……20ゴールドかな。

ミギノス : 慣用表現わかって!

ヒダリノス : しかも安い!

キャトラ : 元に戻れないわけ?

コルネ : うむ。

ヒダリノス&ミギノス : いや、戻れるやろ!

コルネ : 両耳からうるさい……

ミギノス : そもそもダンジョンではガラティナに直してもらったんや。せやから今回も飛行島で待ち合わせしてるんやけど……

コルネ : あ。

――伝えるのを忘れておった。

ヒダリノス : またまたひねくれて、そんなこと言う。

コルネ : いや、ちょっと最近風邪気味で、ぼーっとしていて本当に忘れておった……

まあ迷惑かけたのがルグノSで不幸中の幸いであろう。

ミギノス : 幸いで片付けんとって!!

: コルネ_20213610_2_v2

ミギノス : なあ、ホンマに風邪は大丈夫なんか? 部屋に戻った方がええんちゃう?

コルネ : いや、あえて外気に当たり、風邪のやつに私は健康体だと知らしめねばならぬ。

ヒダリノス : またひねくれてからに……

キャトラ : あ、アンタたち。ガラティナたちと連絡がついたわ。

アイリス : 近いうちにこちらへ寄ってくれるそうです。それまでは飛行島で待機になりますが……

ミギノス : よかった~。一安心や。

ヒダリノス : ミギッチは心配性やからな。

コルネ : セット販売の機を逸したか。

ヒダリノス : すぐそういうこと言う~。

ミギノス : ダンジョンでは素直な瞬間もあったのに。

コルネ : ほら、早くいこうみんな?私の大切な仲間のルグノスを早く元通りにしなくっちゃっ!

ヒダリノス : あんときは可愛げがあったのになぁ。

ミギノス : せやせや。ちょっとはあん時の自分、見習ってみーな。

コルネ : あ、あれは呪いのせいで……

ヒダリノス : あれー? あべこべになる呪いで、素直な気持ちが出てたんとちゃうの~?

コルネ : そ、それは……

むうう……

: …………

……

コルネ : さあお立会い、お立会い。包丁の大安売りだよ。ただ安いだけの包丁だよ~!

ミギノス : 実演販売すな!

ヒダリノス : しかも安いだけてなに?

コルネ : この包丁ならトマトを切るときも力いらず。おいしい料理に磨きがかかります。

さあ、切れ味抜群のこの包丁、定価の10億ゴールドにお喋り機能が付いて……

――20ゴールド!

ヒダリノス : なんで安なんねん!

コルネ : 逃げられてしまった……お喋り機能は隠すべきだったか。

ミギノス : ショック死するわ!

ヒダリノス : 存在の否定やん!ちょっとひどいんとちゃう――

ミギノス : どないしたん?

コルネ : ……ちょっと悪寒が……

: コルネ_20213610_3_v2

コルネ : きゅう……

ミギノス : せやから部屋に戻ろう言うたやん。自業自得やで。

アイリス : はい、コルネちゃん。冷えたタオルと氷枕だよ。薬もあるからね。

ヒダリノス : お、すまんな、アイリス。タオル、ちょっとコルネのおでこにのせたって。

ミギノス : おでこあっつ! 卵焼き焼けるで!大丈夫かいな、ほんま。

ヒダリノス : そんなら薬も飲んどかなあかんで。すまんけどアイリス、薬も頼むわ。

コルネ : 両方からうるさい……

アイリス : ミギノスさんもヒダリノスさんも、心からコルネちゃんのことが心配なんだよ。

ミギノス : べ、別にそんなんちゃうけど?

ヒダリノス : 相棒がこんな状態やったら、俺ッチたちなんもできへんしな。仕方なくや。

アイリス : でも、まるで弟がお姉ちゃんを心配してるみたいでした。

キャトラ : そうね。ミギノスが心配性で、ヒダリノスがお世話焼きな感じかしら。

コルネ : …………

アイリス : だから、心配させたくないからって、無理はダメだよ、コルネちゃん。

キャトラ : アゾートもさっきの診察で、栄養を取って休めって言ってたでしょ?

コルネ : むう……

ヒダリノス : コルネ……俺ッチたちに気ぃ使ってたんか……?

キャトラ : でも、確かに大人数が部屋にいても落ち着かないわね。アタシたちとなりの部屋にいるわ。

アイリス : なにかあったら呼んでください。

ミギノス : ……いきなり寂しゅうなったな。俺ッチらだけで看病できるやろか。

ヒダリノス : 大丈夫やって。俺ッチたちは看病も最強――

ミギノス : ! おい、コルネの顔色……

コルネ : ……うぅ……

ミギノス : ……さっきよりだいぶ悪いで……

: コルネ_20213610_4_v2

コルネ : ……うぅ……

ミギノス : 無理すんなや、コルネ。もう起きんでええから寝ときって。

アイリス : ミギノスさんもヒダリノスさんも、心からコルネちゃんのことが心配なんだよ。

でも、まるで弟がお姉ちゃんを心配してるみたいでした。

ヒダリノス : なんや? なんか欲しいんか?いまはひねくれは要らんねんで!

コルネ : そうじゃない……

――看病は頼んでないけど、礼は言っておこう……

…………

NONE : ――寝たんか……?

ヒダリノス : どないする? コルネがホンマにひねくれてへんなんてキャラブレやで。

ミギノス : ああ。いよいよおかしくなりよった……!

ヒダリノス&ミギノス : …………

ミギノス : ――それやったら、あれしかないな。

ヒダリノス : さすがに俺ッチなだけあって、考えることは一緒みたいやな。

ミギノス : せや。俺ッチたちの絆の前に、剛剣のプライドなんか屁みたいなもんや。

: ミギノスは壁の向こうの部屋に呼びかけた。

ミギノス : ――アイリスおるか? ちょっと手を貸してほしいんやけど!

: コルネ_20213610_5_v2

コルネ : ……あれ……?

……む。ルグノS? どこだ?

――勝手に移動はできないはずだ。もしや……

ミギノス : 俺ッチたち盗んでも安モンやてーーーー!

ヒダリノス : コルネさまーー! 助けてーーー!

コルネ : ひょ、ひょええええ……

とにかくキャトラたちに知らせねば……

――倒れぬ。風邪ごときの思い通りにはさせん……

??? : おう、どんとやってくれ!

ヒダリノス : コルネは寝てるからな。いまの内や。

コルネ : ――なんだ。人の気も知らず……

アイリス : 本当にいいんですか?ルグノスさんを包丁にしても……

ミギノス : おう。アイリスやったら扱いも丁寧やろうし。

ヒダリノス : そうそう。コルネなんか、前のダンジョンでも俺ッチたち捨てようとしたんやで。

コルネ : …………

アイリス : コルネちゃん、きっと本心じゃないと思いますけど……

ミギノス : 知ってるわ。あんときも俺ッチたちのことを考えてって後から聞いてん。

ヒダリノス : なんだかんだで相棒やしな。風邪なんかこの剛剣が追い払ったらな!

コルネ : 包丁、嫌がってたくせに……

…………

――誰?

――わ、私が? ち、違う、落ち込んでなどおらぬ。

いまは風邪気味で……

そう、風邪気味だから気分が優れぬだけだ……

: コルネ_20213610_6_v2

コルネ : 私の武器は、武器だけじゃない……

<武器を信じる己の心>が――私の最大の<[絆:ぶき]>なんだっ!!!

――これ、あのときの私……

……案ずるには及ばぬ。ちょっとダンジョンのことを思い出しただけだ。

――でも、大事なことだった。

……風邪で起きてからいろいろ変な風に考えてしまう。もう一度寝てたら、奴らもそのうちに帰って――

ミギノス : お、コルネ。起きてきたんか。

ヒダリノス : ちょうどええわ。アイリス、見せたって。

: アイリスは湯気立ち上る料理をテーブルに置いた。

コルネ : ――これって……

ミギノス : 俺ッチたちが包丁になって、アイリスにつくってもろたんや。

ヒダリノス : アゾートも栄養が大事言うてたし。俺ッチたちの切れ味やったら、素材の栄養素を逃がさんからな。

コルネ : じゃあさっきの……

……あれだけ嫌がってた包丁になるなんて、ひねくれ者め。

ミギノス : おたくと一緒にせんといて!

ヒダリノス : 素直になれん奴やで。ダンジョンではあーんなこと、言うとったのになあ?

コルネ : ――い、言っておらぬ。

ヒダリノス : 何のことか言うてないのに、既に心当たりあるやん。

コルネ : そのようなものはない!

ミギノス : ま、いつものひねくれが戻って一安心やな。

アイリス : さ、コルネちゃん。熱いうちに食べて。二人ともがんばって協力してくれたんだよ。

コルネ : う、うむ……

……では喜ばぬと思われているところを、あえて喜んで食べる高度なひねくれを発揮してやろう。

キャトラ : どうしても素直にはならないのね……

: コルネは料理をスプーンですくった。

ヒダリノス : ふーふーしたろか?コルネちゃーん。

コルネ : いらぬ。わ、私に注目するな……

: そう言いながら料理を食べたコルネの頬は――

――ほんのりと赤みを帯びて緩んでいた。


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