プロローグ
6年前のことだった、僕の故郷の村は魔族の襲撃を受けて、僕の両親は僕のために目の前で死んだ、その時に僕はショックで気を失ってしまった。
目を覚ましたのはいつかわからない、日の光が届かない地下だったからだ。
「おはよう、君は長く眠っていたんだ、気分どうかな。」
優しい眼を持ったおじさんがそう僕に言っていた、でもその時の僕は目が覚めたばかりで何も考えれなくなっており、その言葉は脳にまで届かなかったが、何か言わなきゃと思った。
「何も言わなくて良いよ、って私が気分がどうか聞いたんだもんね、ごめんごめん。」
おじさんはそう囁くように言うと僕が寝ていたベッドの隣に置かれていた椅子からゆっくり立ち上がり口らに手を差し伸ばしてきた。
「まだ体が回復しきっていないから、もう少し寝ておきなさい。」
おじさんの手が僕の頭をさすった時、意識が遠くなっていった。
次に目を覚ましたのはおそらく夜が明けた後だと思う、気持ち太陽光が差し込んでいるような気がしていた。
(お腹が減ったな。)
そう思い隣を見ると、椅子の上に雑炊のような黄色味がかった白いスープの中に穀物の入ったものがあり、隣にあったスプーンでそれを掻き込んだ。
それは見た目以上に腹持ちが良く、一瞬にして体が生き返るような気がした。
「おはよう、どうだい美味しかっただろう、私が作った食事だまずいわけがないだろう。」
なんだか少し嬉しそうだった。
おじさんは椅子の上にあった食器を退けると、話し出した。
「私の名前はデンス・マンダス、君が良ければなんだけどこれから君と一緒に暮らすことになる人だよ。えっとね、一応血縁的には君の叔父になるんだけどね、君のいた集落は僕がいた町とかなり離れていたからね、君と会うことはなかなか叶わなかったんだけど、こう言う出会い方になるとは思わなかったよ。」
デンスはあまりにも悲しそうだった。
「パパとママがさっき夢に出てきてくれました、ちゃんとお別れ出来なかったから今お別れをしにきたって、僕はもうそれで十分です。」
「その、君はすごくすっごく、強いね。」
「はい。」
その日の降水量は大粒だった。