表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リミナス・フロンティア  作者: タコマル
第一部三章
PR
50/50

第四十八話

――美術回廊。

<カゲロウ、エリス、キアラ視点>


白を基調とした天井から下がる魔導灯が、磨かれた大理石の床にぼんやりと光を落としていた。

その光は、本来であれば来館者の足取りを導くためのものだ。

しかし今、その柔らかな光が照らし出しているのは――崩れ落ちる三人の姿だった。


エリスは膝をつき、肩で息をしていた。

全身に襲いかかる激痛は、傷一つない肌の下を駆け巡っていた。

骨を折られた感覚、皮膚を裂かれた感覚、神経を焼かれた感覚――そのすべてが、本来あり得ないはずの形で彼女の脳髄に直接叩き込まれている。

「く……っ、なんなんだよ、これ……っ!」

奥歯を噛みしめ、声を絞り出す。


その隣でキアラもまた、両手で短剣の柄を握りしめたまま、地面に膝を擦りつけていた。

全身の感覚がぐちゃぐちゃに混線している。腕が、自分の腕として認識できない。

「身体……動かない……っ。なんで……傷も、ないのに……っ!」

カゲロウは壁に片手をつき、辛うじて姿勢を保っていた。


影を纏う黒いコートが、わずかに揺れている。

常に冷静沈着な彼の額にも、油のような脂汗が滲んでいた。

「……痛覚情報を、強制的に流し込まれているのか」

低く、しかし確かな分析が口から漏れる。


その視線の先――。

展示ケースの間にゆったりと佇むのは、赤髪を無造作に束ねた青年だった。

ヴァレン=スカー。

軽薄な笑みを浮かべた口元は、まるで放課後の悪戯を楽しむ子供のようだった。

彼は自分の指先を舐め、淡く笑う。

「いやぁ、すごいねぇ君たち。

“リンク”乗せられても、まだ意識飛ばないんだ?★」


ヴァレンが指をくるりと回す。

その動きに合わせて、三人の身体を貫く激痛がさらに重く、深くなる。

「ぐ……ッッ!」

エリスが膝を折り、額が床に触れる寸前で踏みとどまる。

その太ももが小刻みに震えていた。


ヴァレンはくすくすと笑い、芝居がかった仕草で両手を広げた。

「あのねぇ、僕の能力――“リンク”って言うんだけどさ。

名前のまんま、繋いだ相手と僕とで“痛みの帳簿”を共有する力なの。

君たちが僕に与えた痛みを全部、利息つけて返しちゃうの。やばくない?」

ヴァレンは指先で自分のこめかみをトン、と叩く。

「リンクが乗るまでは、君たちの猛攻に耐えるしかなかった。

あれは正直しんどかったよ? 死ぬかと思ったもん。

……でもね、一度繋いじゃえば、こっちのもん。」

彼は楽しげに肩をすくめた。

「ここから先は――“消化試合”ってやつ?★」

その瞬間、ヴァレンの足元から黒紫の魔力が漏れ出した。

空気がねっとりと重くなる。

展示ケースのガラスが、一斉に細かなひびを走らせる。


エリスはその空気の質量に圧されながらも、強気な笑みを浮かべて見せた。

「上等、じゃねぇか……」

血の混じった唾を吐き捨て、震える脚を踏みしめる。

「大した痛みじゃねぇなぁ!」

強がりを見せるものの膝が、再び崩れた。

ヴァレンが指を弾くたび、増幅された痛みが三人を襲う。

立ち上がろうとする意思を、容赦なく根元から刈り取っていく。

キアラがふらりと前のめりに倒れ込み、額が床を打った。

「……っ、ぐ……」

唇が震え、声にならない呻きが漏れる。


ヴァレンは膝を曲げ、倒れ伏したキアラの顔を覗き込むようにしゃがんだ。

「あー、キアラちゃん、可愛いね。

もうダメ? ねぇ、もうダメ?」

「……うる、せ……」

「うんうん、強がりも可愛い★

でもね、これ以上痛み増やしたら、君の心、壊れちゃうよ?

壊れたら、僕のコレクションに入れてあげる。

それまでは、優しく、ね?」

ヴァレンの指先がキアラの頬に伸びる。


その動きを、空気を裂く影の刃が遮った。

ヒュッ、と鋭い音と共に、ヴァレンの指先が紙一重で逸らされる。

「……それ以上、触れるな」

声の主は、カゲロウだった。

壁から手を離し、ふらつきながらも、彼は確かに自分の足で立っていた。

その肩から、足元から、影が燃え上がるように立ち昇っている。

ヴァレンは立ち上がり、軽く首を傾けて笑った。

「おっ、まだ動けるんだ?

カゲロウさん、結構タフだねぇ★」

「……お前の能力は理解した」

カゲロウの声は低く、痛みに耐えるそれではなかった。

冷たく、研ぎ澄まされた刃のような声だった。

「だが、痛みを返すだけの能力なら――」

彼は一歩、前に出る。

「先に俺が、お前を仕留めればいい」

その瞬間、カゲロウの輪郭が、揺らいだ。

纏っていた黒のコートが、夜の海のように沸き立ち、彼の身体そのものへと溶けていく。

肌の白さが消える。

髪の質感が消える。

顔立ちすら、すべてが闇に塗り潰されていく。

残ったのは、人の形をした影。

深淵から切り出したような漆黒のシルエット。

その輪郭の中で、ただ二つだけが鮮やかに灯っていた。

左右の――赤い、双眸。

ヴァレンの笑みが、初めて、ほんのわずかに固まった。

「……何それ。

“黒い獣”って言われてたから、もっと毛むくじゃらかと思ってたんだけど?」

影と化したカゲロウが、静かに応じる。

「……あれは、比喩だ」

声が、二重に響いた。

一つは人の声、もう一つは深い洞のような共鳴。

「お前のような、虫けらに見せる姿ではないがな」

ヴァレンの口角が、一度引きつり、それから笑みを取り戻す。

しかしその笑みは、先ほどまでの軽薄なものとは、明らかに質が違っていた。

「ふぅん……いいねぇ。

本気の顔、もっと見せてよ★」

影が、滲んだ。


次の瞬間、その姿は美術回廊から消えていた。

ヴァレンの真後ろ――一切の予兆もなく、影の刃がその喉元に迫る。

「――ッ!」

ヴァレンは咄嗟に身を捻り、紙一重で躱した。

頬を浅く裂かれ、赤い線が一筋走る。

血が落ちる前に、影は再び消えていた。

今度は左手。手の甲を切り裂かれる。

次は背中。コートが裂かれる。

次は脚。膝の裏に影の棘が突き立てられる。

「あっ、ちょっ、ま――!」

ヴァレンが体勢を崩しながら飛び退く。

その動きを追いかけるように、回廊そのものから無数の影が伸びる。

壁の影。柱の影。倒れた展示物の影。

すべてがカゲロウの手足だった。

光の届かないあらゆる場所から、漆黒の刃が、棘が、鎖が伸びる。

空間そのものが、彼を狩る罠と化していた。

「うわ、これ、やば――」

ヴァレンの背後に、影の柱が立ち上がる。

その柱の中から、影と化したカゲロウが上半身を浮かび上がらせる。

赤い瞳が、間近で見据えていた。

「……死ね」

影の手が、ヴァレンの首に伸びる。

その瞬間――。

「危ねぇ、危ねぇ★」

ヴァレンの身体が、ぐにゃりと歪んだ。

まるで水面に映った像が揺らぐように、彼の輪郭が一度ぶれて、半歩横にずれた。

影の手が掴んだのは、何もない空間だった。

「あれっ?」

カゲロウの低い呟きと同時に、ヴァレンの掌が彼の腹部に叩き込まれていた。

パン。

軽い音。

しかし――その軽さに反して、影と化したカゲロウの身体が、後方の壁まで吹き飛ばされていた。

ドゴッ、と展示ケースを巻き込みながら、影が壁に叩きつけられる。

破片が飛び散る。

「がっ……は……」

影の口から、人の声が漏れた。

その瞬間だけ、影は薄れ、カゲロウの本来の肉体がわずかに垣間見えた。

「……っ、何を、した……」

ヴァレンは指先で頬の血を拭い、舐めた。

「カゲロウさんね、君、強いよ。マジで強い。

一秒もしないうちに僕、十か所くらい斬られたもん。

でもね?」

彼は自分の胸を、ぽん、と叩く。

「君が僕に与えた痛み――全部、リンクで僕の中で“一回分の借金”になってる。

それを、利息つけて返してるだけ。それだけ★」

「……っ」

「で、今のは、君がさっき僕に放った“最初の影の刃”の分。

まだまだ、貸しはたっぷりあるよ?」

影が壁から剥がれ落ちる。

カゲロウは膝をつき、片手で床を支えながら、それでも立ち上がろうとしていた。

「……まだ、だ……」

しかしその身体が、再び崩れ落ちる。

ヴァレンが指を弾く音と共に、十、二十、三十――累積された痛みが、一気に解放されていた。

「ぐ……あ……ッッ」

影の身体が、ばらばらに砕けるように地に伏す。

赤い瞳の輝きが、ゆっくりと弱まっていく。


「カゲロウ……ッ!」

エリスが叫ぶ。

しかし彼女もまた、その場から動けない。

立ち上がろうとするたび、ヴァレンが指先で空中を撫でるだけで、痛みが彼女を地に縫いつける。

ヴァレンは倒れたカゲロウの傍らに歩み寄り、しゃがみ込んだ。

影の輪郭が、ゆっくりと薄れていく。

もはや、人型を保つことすら難しくなっていた。

「あーあ、もったいないなぁ。

君、強かったのに。

でも、僕の方が“ちょっとだけ”上手だったってことで★」

彼は影に向かって指を弾く。

仕上げの一撃を、刻もうとした。


その手首を――。

震える小さな手が、掴んでいた。

「……ぁ?」

ヴァレンが視線を落とす。

倒れ伏したまま、片手だけを伸ばしていたキアラだった。

彼女の指先は血の気がなく、爪は割れていた。

それでも、その手は確かにヴァレンの足首を掴んでいた。

「……やめろ……ッ」

キアラの声は、もう声になっていなかった。

ただ、彼女の瞳だけは、まだ死んでいなかった。

「……まだ、終わって、ない……っ」

ヴァレンは小さく笑った。

憐れむような、それでいてどこか感心したような笑みだった。

「ねぇ、キアラちゃん。

君、ほんと根性あるねぇ。

でも、それ、もう意味ないよ?

離してくれない? 振りほどくの、めんどくさいから★」

彼は足を軽く振った。

しかしキアラの指は離れない。

ヴァレンは小さく舌打ちし、もう片方の足を上げた。

キアラの手を踏み潰そうとした、その瞬間――。


世界が、赤くなった。

いや、違う。

美術回廊の天井が、壁が、床が、展示物が――そのすべてが、赤い光に染め上げられたのだ。

「……は?」

ヴァレンが顔を上げる。

その視界の中心で、エリスが立っていた。

膝も腰も震えている。

全身に痛みの幻覚が走り続けている。

それでも――彼女は、立っていた。

両手を高く掲げ、その掌の間に、燃え盛る赤い球を抱えていた。

太陽だった。

いや、太陽そのものではない。

太陽を、彼女の魔力で擬似的に再現した、灼熱の塊だった。

その表面では小さなプロミネンスが揺らぎ、空気そのものを焦がしていた。

展示ケースのガラスが、熱で歪んでいく。

大理石の床が、彼女の足元から放射状に溶け始める。

エリスの金髪は、その赤い光を浴びて、黄金に燃え立っていた。

頬を伝うのは、汗か、涙か、それとも痛みからくる無意識の体液か。

彼女の口元は、笑っていた。

「……てめぇ……」

声はかすれていた。

しかしその目だけは、まっすぐにヴァレンを射抜いていた。

「キアラを、踏もうとしたよな……?

カゲロウを、殺そうとしたよな……?」

ヴァレンが、初めてその場から飛び退こうとした。

しかし、遅かった。

「ちょっと、待っ――」

「《ソル・インパクト》ッッ!!!」

咆哮と共に、エリスは擬似太陽を投擲した。

いや、投擲という言葉では足りない。

彼女自身がその擬似太陽の核となり、回廊そのものを灼熱の閃光で塗り潰した。

ヴァレンの視界が、白く焼かれる。

躱す余地は、なかった。

彼の真横、真上、真下――あらゆる方向から、赤い熱波が押し寄せていた。

爆発音は、聞こえなかった。

音より先に、衝撃が来た。

美術回廊の半分が、内側から弾け飛ぶ。

壁が崩れ、天井が落ち、展示ケースが粉々に砕け散る。

ヴァレンの身体は、その衝撃波の中心で吹き飛ばされていた。

壁を突き破り、その向こうの壁も突き破り、

さらにその向こうの柱を半ば折り曲げ、

ようやく、瓦礫の山の中に埋もれて停止した。

灼熱の風が収まり、回廊に静寂が戻る。

エリスは、太陽を消した両手を下ろし、よろよろと膝をついた。


「……はぁ、はぁ……はぁ、はぁ……」

息が荒い。

全身が痛みの幻覚で軋んでいる。

それでも、彼女は笑っていた。

「ど、どうだ……あたしの、根性……」

その傍らで、キアラが力なく笑った。

「……エリスさん……派手すぎ……」

「うっせ……これでも、加減した……」

「加減してその威力かよ……」

二人の笑いに、影が静かに溶け込むように形を取り戻す。

カゲロウが、影から人の姿に戻りつつあった。

ボロボロのスーツ、額に滴る血。

しかしその目に、まだ光は残っていた。

「……仕留めた、か?」

カゲロウの問いに、エリスは瓦礫の山を見やった。

崩れた壁の向こう、煤と粉塵が立ち昇る暗がりの中で、何かが動いていた。

「……ちっ、生きてやがる」

瓦礫を押しのけ、ヴァレンがゆっくりと身を起こしていた。

右腕は焼け爛れ、髪の半分が焦げ、片方の頬は皮膚が剥げて骨が覗いていた。

軽薄なスーツは、もはや原形を留めていない。

それでも、彼は立っていた。

咳き込み、口から血を吐き出しながら、それでも立っていた。

「……マジかぁ……」

ヴァレンの声は、笑っているのか泣いているのか、判別がつかなかった。

「……ねぇ、エリスちゃん。

君、ほんと、加減って言葉知らないよね★」

「……うるせぇ。死ね。」

「ひでぇ★」

ヴァレンは血を吐きながらも、肩を竦めて見せた。

その表情に、もはや戦意は残っていなかった。

残っていたのは、何か別のもの――敗北を受け入れた者だけが浮かべる、奇妙に穏やかな笑みだった。

彼は瓦礫に背を預け、ずるずると腰を下ろす。

「……あー、参った。

完全に、参った。」

血混じりの溜息と共に、ヴァレンは天井の崩れた跡を見上げた。

星が見えた。

崩れた天井の隙間から、エルセリア・ベイの夜空が、静かに広がっていた。

ヴァレンの笑みが、ふと、苦いものに変わる。


……ねぇ、リオナちゃん。

心の中で、彼は呟いた。

……僕、リオナちゃんのこと、好きだったんだよ。

最初に組織で会ったあの日からさ。

君が、僕の軽口にも怒らず、ただ静かに笑ってくれたあの日から、ずっと。

知ってた?

知らないよね、絶対。

僕、軽い男だったから。

いつも誰彼構わずナンパしてさ、

君に本気だなんて、絶対バレないようにしてた。

……今日の任務、嬉しかったんだよ。

君のために、何かできるって思ったから。

君が「お願い」って言ってくれたから。

ヴァレンの口の端から、また血が流れた。

……でもさ、リオナちゃん。

君、あの“レオン”って子に夢中だったよね。

どこの馬の骨だかもわかんないガキにさ。

ねぇ、僕の方が、ずっと前から君を見てたんだよ?

……なんで、あんなガキなのさ。

……ねぇ、僕、何のために、戦ってたんだろ。

ヴァレンの視界が、ぼんやりと滲んだ。

……いや。

彼は、片方だけ残った腕で、自分の頬を強く叩いた。

ぱしん、と血の混じった音が、瓦礫の上に響く。

……いや、ダセェな、それ。

……マジでダセェ。

好きな子のためにできること、最後までやり切らないでどうすんだよ、ヴァレン=スカー。

……たとえ、報われなくたってさ。

……好きな人のために、できること、しないと、ね。

彼は、ゆっくりと立ち上がった。

血が滴る。肉が裂ける。骨が軋む。

それでも、立ち上がった。


エリスが警戒して身構える。

「……まだ、やる気か?」

ヴァレンは、首を横に振った。

そして、軽く――本当に軽く、笑った。

いつもの軽薄な笑みではなく、年相応の青年の、ただの笑顔だった。

「……いやぁ、もう無理。マジ無理。

君ら、強すぎ★」

「……」

「……でもね、ごめん。

僕、まだ死ねないんだ。」

ヴァレンの足元に、黒紫の魔力が滲み始める。

歪門――ディストーション・ゲートの予兆だった。

「好きな子のためにさ、まだやることあるんだよね。

最後まで、できること、しないとさ。

……ダセェ男になりたくないし★」

エリスが眉をひそめた。

「……それ、リオナのことか」

ヴァレンの笑みが、一瞬だけ揺れた。

しかしすぐに、いつもの軽薄な笑みに戻る。

「さぁ、どうだろ?★

まあ、勝手に想像してよ。

……あー、それと、エリスちゃん。」

「あ?」

「君、ほんとに強かったよ。マジで。

最後の太陽、めちゃくちゃ綺麗だった★

……またどっかで、会おうね。」

歪門が、ヴァレンの全身を包み込む。

黒紫の渦の中に、赤髪の青年の姿が溶けていく。

最後の瞬間、彼は片手を軽く挙げて、指でピストルの形を作り、エリスたちに向けて撃つ仕草をした。

ばーん、と口だけで言って、それから――。

ヴァレン=スカーの姿は、夜の中に消えた。

歪門が閉じる。

美術回廊の崩れた残骸の上に、静寂が戻った。


「……逃げやがった……もう会いたかねぇよ色男。」

エリスがその場に座り込む。

全身の力が、ようやく抜けた。

ヴァレンが去ったことで、リンクによる痛みも、すうっと消えていく。

「ちっ……まあ、いい。あたしらの勝ちだ」

彼女は仰向けに転がり、崩れた天井から覗く星空を見上げた。

「……はぁ、疲れたぁ……」


その隣で、カゲロウが影を完全に解いて人の姿に戻る。

彼もまた、その場に膝をついた。

「……勝ったとは、言えん戦いだったな」

「いいんだよ、生きてんだから。それで十分だろ」

エリスはそう言って、ふっと笑った。

キアラがふらふらと身を起こしながら、力なく呟く。

「……あの人、最後、なんか、変だったね……」

エリスは星空を見つめたまま、ぽつりと答えた。

「……ああ。キモイ奴だったぜ....」

彼女は目を閉じ、深く息を吐いた。

長らく更新が出来ず、すみません。

48話のご愛読ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ