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天の才  作者: 凡陽白雪
5/12

凪咲と愉快な…?(修正後)

余りにも納得がいかない文章だった為、大きく修正を行いました。

図書室から凪咲が帰還し、ガラスの区切りへ戻ってきた。少しの間休憩していると、スピーカー越しに休み時間終了の前触れを告げる音が聞こえる。


「……ふぁあ」


子供達が一斉に動き出し、少し早くはあるが次の時間に備えて移動し始める者も出ていた。

凪咲はそんな子供達を一瞥すらしないまま、興味など少しも感じられない様子でベッドの上で寝転がる。


「ん〜、眠い。昼寝したかったんだがねぇ…」


休み時間が終了し、運動の時間がやってくる。運動の時間は脳の発達や単純な体力作り、身体能力向上には欠かせない時間であり、第一、第二、第三の園関係なく合同で行われる珍しい時間でもある。休み時間外で自身の所属している園以外の人間と関われる為、一部の人間からは好まれている時間だ。


「私にそれはあまり関係ないからね〜…正直面倒としか思えないのさ…」


凪咲が思案していると、思考を切り裂くように淡々とした口調の無機質な放送が鳴り響く。


『第四層にいる観察対象は第三層の園へ向かえ』


聞き飽きた放送を聞き流し、凪咲はベッドに未練がましい視線を送りつつ起き上がる。体温の馴染んだ暖かい布団から段々と熱を奪われていき、外気と同化してしまうであろう布団を置いて行った。


「さらばだ、相棒よ。…フフフ、安心したまえ、後で再び暖めてあげるさ…」


独り言を呟いた凪咲を監視役が奇怪な物を見る目で視線を向ける。凪咲は慣れ親しんだその視線を無視しながら、第三層へ向かった。


「ああ、お布団…お布団…」


恨めしそうな声を発しながら、多くの子供達と共に階段を上ろうと踏み出す。すると、凪咲よりも僅かに早く踊り場にいた、一人の少年が凪咲に気がつき話しかけた。


「…えっと、どうかしたのかな。その…No.1」


「No.1、じゃなくて凪咲さ。まったく」


「え?ご、ごめん。つい癖で…」


名前に相応しい橙色__いや、赤色とも言える瞳がこちらへ視線を向けており、薄浅葱色の髪がフワッと振り向いた瞬間に靡いて可憐さを感じる。

そこにいたのは、No.5からNo.3へと変更された楓だ。


楓が頭を傾げながら、周囲の人間の邪魔にならないよう気を配って端を歩く。


「どうかしたの…?恨めしそうな声というか、目というか…なんというか…」


「いやね〜…布団が恋しくてね…」


「……あはは…そっか、そうだね。それはボクも思うよ」


頬を軽く掻きながら微笑む。優しく安心する笑み、というよりは人畜無害という言葉が一番似合いそうな笑顔だ。見る人の主観によっては、不安になりそうなものを感じる。


「ボク、運動そこまで得意じゃないから…ちょっと嫌だなぁ、なんて思うし…布団に帰りたいなあ…って」


「む、それくらい別にいいんじゃないかい?この世に完璧な人間などいないさ」


「そう言ってもらえると、助かるかな…あはは……」


楓は前回の試験で活躍とまではいかなくとも、冷静に分析をして見抜くまではできていた。その肩書きに相応しい一歩引いた観点、冷静さを持っている。

 その上、頼りなさを纏う雰囲気から初戦の人間に毎度なめられるが、相手からなめられるというのはNo.5内に入る人間にとっては珍しい、ある意味唯一無二の武器だ。相手の懐に入り込み油断を突く、正々堂々よりも狡猾な手段が似合うであろう楓の武器そのもの。


それを楓が理解しているかは凪咲にとって些細なことであり、話す事はない。


「力になれたようで何よりさ」


ふふんと左手を胸に当て、自慢する子供のような無邪気さを表す仕草を見せる。楓は凪咲の無邪気な仕草に対して微笑するが、素か演技か見極められず苦笑にも近い表情だった。


「ところで、なんで頭を触られているのかな…」


「ん?あぁ、フワフワだと思ってね?」


光に照らされてフワフワの髪が透き通り、誘惑しているような動きで左右に揺れていて耐えられず触っていた。布団が恋しい凪咲にとって、フワフワの暖かい髪が何よりも魅力的に見える。

楓は少しの間キョトンとした気の抜ける表情を見せた後、眉を吊り上げて呆れと可愛らしい怒りを含んだ表情へと変化する。


「……ボクの髪、羽毛布団にはならないからね」


「ギクッ」


どうやら、凪咲が何を考えて髪を触っていたのかは楓にバレていたようだった。


「もう…」


「許してくれたまえ、布団に恋する乙女なのさ…」


何処か幼さを漂わせる楓の頭を、謝罪の意味も込めてポンポンと触る。何処か不服そうな表情だったが、凪咲は笑みを浮かべて受け流した。


「布団に恋する乙女って…なんだか、夢がないなあ…」


そんな会話をしているといつの間にか二人が園へたどり着く。

 凪咲が一歩前へ進み出てスチールドアを開けると、そこには普段よりも三倍広い空間が広がっていた。


「こうして改めて見ると、広いねー」


普段よりも三倍広くなっているのは、防音の可動式間仕切り壁が退いて第二、第三の園と部屋が統合されているためだ。見渡すと第二、第三の園へ所属する多くの子供達が確認でき、その多くの子供達の中に結衣を発見する。試しに手を振ってみたが、呆れた目で見られた後目を逸らされた。


「…ここまで嫌われるのも、いっそ清々しいねー?」


「何かしたの…?」


「いいや?な〜んにもしてないさ」


楓に若干怪訝な表情をされながらも、聞き飽きた声がスピーカー越しに再び聞こえる為、子供達が耳を傾ける。


『観察対象、確認した。指南役の指示に従い、課題をこなせ』


典型文だけを伝え、スピーカーからはうんともすんとも言わなくなった。スピーカー通りに指南役からの指示を仰ぐ為、子供達が一斉に指南役へ視線を向けた。


「ルール説明だ。難易度は選択制、二人組で同じ課題をこなしてもらう。こちら側から競い合うことを強制することは無い為、能力値を気にせずとも問題ない。二人組を作れ」


指南役から指示が来た直後、会話や無言のサインで二人組がすぐさま組まれていく。凪咲はポツンと一人哀愁漂う雰囲気で呟いた。


「二人組ねぇ〜…」


この空間を見れば誰でも洞察できることだが、狭すぎるこの世界で競い合う中友を作る、もしくはもう作り終えた人間は少なからずいる。普通の人間であれば、二人組を作ることは造作もないことだ。


「普通の人間であれば、ね。…今回は、単純な力そのものを高めるというよりは、人間としてのコミュニケーションを図る良い機会といったところかな……」


ギリギリの課題を選び、お互いを高め合う為に組む人間。難易度を低くしてサボる為に組む人間。運動が苦手な者同士で組み、友情や共感を生み出したい人間。どちらにせよ、コミュニケーションを試されていることは目に見えている。


「参ったね〜」


 凪咲には友と明確に口に出せる存在はおらず、コミュニケーション能力はそこまで高くない。正確には、凪咲がもし誰かを演じてコミュニケーションを試みるのなら、擬似的に求心力を発揮できない訳ではない。が、凪咲が急にこの場面、この状況で演技をしたとしても周囲に冷たい目で見られてお終いだ。

 その上、この課題内容でNo.1と共にやりたがる人間はいないだろう。好き好んで己よりも上の存在と二人組を作り、共に同じ課題をこなしたがる訳もない。人によっては劣等感を刺激されたり、そもそも課題の難易度選択制の影響で恐れて近づけない場合もある。


「これは圧倒的に不利だね…しかし、私には結衣が!」


結衣がいる方向へ勢いよく頭を振ると、結衣は既に二人組を作り終わっていた。


「浮気者〜…私とは遊びだったんだね…!あんなに優しくしてあげたのにー…」


結衣が凪咲からの視線に気づき、凪咲へ振り向く。何かを言いたげな表情をしており、恐らくは「ご自身でなんとか二人組を作れませんか…?ぼっちなんですか…?」辺りだろう。そんな憐れむような目で見ないでくれたまえ…と凪咲は目を細めた。


「う〜ん…どうするかな」


凪咲が苦悩を滲ませながら思わず少し歩いてキョロキョロと周囲を見渡す。すると、一際目立つ人だかりがあった。人でごった返す程の人気者だ。


「こういう時、やっぱり香奈は強いねー…」


もはや人で中心にいる人物がよく見えないが、十中八九香奈であることが予測できる。凪咲の分析力は関係無く、香奈の求心力を考えれば誰でも辿り着く結論だ。

 周囲から凪咲と同様に優秀な者として認識されていながら、それでも皆に望まれ続ける。香奈の強みそのものを表した空間だろう。


「結局私が余ってしまったねー、シクシク」


No.60が第五層へ行き、子供は全員で59名。二人組を作ると29組と一人余る計算になる。そして凪咲は見事に言うまでもなく察していた事だが、一人余ってしまったようだった。


「誰かに入れてもらうしか無いのだが…いやあ〜視線が痛い痛い…」


先程から周囲の凪咲へ送る視線で漠然と感情が伝わってくる。嫉妬、嫌悪、恐怖といった負の感情だ。無論全ての子供が凪咲を嫌っている訳ではないが、凪咲を嫌っていない無関心な子供達はそもそも視線すら送っていない。自然と負の感情ばかりの視線が集まるのは仕方のないことと言える。


「えっと、No.1…じゃなくて、凪咲」


「む?」


一時的に凪咲の隣を離れ、何処かへ行っていた楓が凪咲の元へ帰ってきた。肩にポン、と手を乗せて話しかけてくる。


「ボク達と組まない…?良ければ、なんだけどね…」


凪咲に対して向けられていた視線をものともせず、楓は人畜無害な笑みを向けてそんな提案を出してきた。

しかし、一時的に凪咲から離れている間作ったペア____楓の隣にいる少年は楓の提案に不服そうな表情をしている。


「私は歓迎、大歓迎さ!寧ろありがたいね〜。……しかし、そちらは良いのかな?」


凪咲の言うそちらというのは、凪咲と目を合わせようとしない無口な少年のことを示していた。ネモフィラを想起させる青色の瞳と、シルクのような艶のある金髪。No.2からNo.4へ変更になった、瑠衣だ。


「………」


「相変わらずの無言かい?君は。そんなに私と会話をすることが嫌なのかな?」


「……アンタと話す事はない」


「釣れないねー?」


瑠衣は前回の試験で、楓程の活躍は見せていない。しかし凪咲を最初に疑ったのは瑠衣であり、着眼点も鋭い行動が目立った。瑠衣を一言で表すのなら秀才の天才。瑠衣自身の中にある経験を必ず適した場面で適した物に使う事ができること、努力をするべきものと努力をする方法への挑戦が上手なこと。 

 完全な天才ではない分できないを理解している為、人へ教えることではNo.5内で圧倒的なトップを勝ち取る教え上手。個人よりも団体戦の方が本領を発揮することができる力の持ち主だ。


「……はぁ」


瑠衣は流し目で睨み、それに対して凪咲は投げキッスで返答する。心底呆れを抱いている様子の目で凪咲を無視、楓へ視線を戻した。


「その、我儘言ってごめんね。N…瑠衣」


犬を連想させる落ち込んだ表情を目にして瑠衣はハッと目を少し見開いた後、自分への戒めのように頭を軽く振って目を細める。


「…別に気にする必要はない。…俺とあれが会話をすることはないだろうしな」


瑠衣は楓を弟のように扱い、慈愛に満ちた目で微笑みながら頭を撫でる。楓も落ち込んでいた表情から一転、笑って受け入れている様子だった。

瑠衣と楓は良好な友人?関係を築いていることを、誰が見ても一目でわかる雰囲気だ。


「えーっと、私に頭を撫でてもいいんだよ?」


「断る」


「うーん即答」


がっくし、とわざとらしく落胆の態度を取った所で指南役の声が響き渡る。子供達の少し浮かれた雰囲気が一気に張り詰め、指南役へと視線を移した。


「課題内容を発表する。それぞれの能力に似合った課題を各自選べ」


指南役がプロジェクターを投影し、何もない筈の壁に課題を表示する。凪咲が簡単に噛み砕いて頭の中で整理しながら分析を行った。


表示されている難易度は松竹梅の三つ。梅はここにいる下位の人間でも問題のないレベルの簡単。竹は下位の人間でも無ければこなせるレベルの普通。松は必死にNo.5へ近づく下の人間が喰らいついた所で、できるかできないか瀬戸際レベルの難しい…といった所だ。


「ふむ。難しくないね」


凪咲が悠然と佇んでいる内に子供達が目を通し終えたようで、どの課題を行うのか話し合い始めた声がザワザワと聞こえ始める。楓と瑠衣も課題に目を通し終え、騒がしくなり始めた空間の中で凪咲と共に話し合う姿勢を取った。


「えっと、どうする?松竹梅……松も、できなくはないんだけど…その、ボクはちょっと、確実じゃないかなって…」


運動に自信のない楓が真っ先に話を広げようと先陣を切る。普段そこまで積極的に話を広げようとする性格ではないが、自信がない分積極的にアピールしたいのだろう。瑠衣もそれをわかっていたのか、優先的に発言は楓へと譲っている様子_____いや、元々沈黙が多い人間で偶然の産物である可能性も否定できない、と凪咲は自己完結していた。


「俺はどれでも問題ない。楓の好きにしてくれ」


「私も問題ないね〜。好きにしてくれて構わないとも」


「うう……ごめんね…」


楓が申し訳ないと断りを入れ、三人で難易度竹へ挑むことを決定。さっそく動き始めようと瑠衣が声を掛けようとすると、三人で難易度竹をこなすことに決めた直後話しかけられる。偶然というには都合の良いタイミングだった為、話しかけてきた二人組はタイミングを見計らっていたことを容易に想像できる。


「……勝負しない?」


「…む?誰だい?君は。二人の知り合い?」


凪咲が二人に対して聞いてみたが、二人から肯定するような反応は返ってこない。寧ろ困惑や疑念の目を向けていることから、三人とも接点がある訳ではないことを察する。


「勝負…って…何を?」


「決まってる。難易度竹でどちらが早く終わるか、だよ」


「………そんなくだらない勝負、受ける訳がないだろ「いいよ〜」


瑠衣が断ろうと腕を組み、威圧し始めた所で凪咲が割って入る。凪咲の強引さに瑠衣と楓が瞠目した。楓が凪咲に距離を詰めようとした所、凪咲が楓の側頭部を軽く掴んで引き寄せる。


「….凪咲?どうして勝負を…?」


「ま、暇つぶしさ。好きに争おうじゃないか」


凪咲が了承すると、二人組の片方がぱあっと明るい表情へ変化した。もう片方は能天気な相方の左腕を引っ張って、納得がいかないとでも言うように警戒の表情を見せている。少しの間小声で話し合い、この場を去ろうと背中を向けて歩いて行った。


「……行っちゃった」


「………」


「怪我をしないように多少体を動かそうね〜」


凪咲と瑠衣、楓の三人でローテーションしながらストレッチをしようと凪咲が提案する。

しかし、瑠衣と楓にとってそれは今どうでもいいことだ。


「どういうつもりだ」


「…なんで勝負のお誘いを受けたのか、聞いてもいいかな?凪咲」


特にお互い何かを賭けている訳でもない、ただ単純な比べあいの勝負。何か困り事がある訳でもないにも関わらず、それでも二人に疑念が湧くのは勝負を凪咲が受けることに驚いたからだ。


「凪咲って、いつもこういう勝負は断るイメージがあったんだけど…」


「うん、全くそのイメージ通りだね〜。いつもなら断ってるさ。まあ、今回は香奈に頼み事もしていることだし、このくらいは付き合ってあげようと思ってね?」


「…香奈?頼み事?」


疑問に答えると、楓の表情が困惑に満ちる。楓が凪咲に探りを入れるが、相変わらず何を考えているかわからない妖しい笑みを浮かべており、心理戦で勝ち目はないと悟った。


「あの二人組が勝てるとは到底思えない力量の差だ。メリットもデメリットも何も無いのに、何故挑んだのだろうか」


「香奈からの指示だろうねー」


「こんなことをして何の意味がある」


「私へのただの嫌がらせで、なんの意味もないって言ったら君達はどう思うんだい?」


楓と瑠衣が顔を見合わせる。お互いがそれぞれ下を向いたり上を向いたり、様々な姿勢で考え込む。そして、それほど時間を掛けずにお互いが全く同じ答えを導き出した。


「……やりそう」 

「……やってもおかしくないな」


「ここまで嫌われるのももはや才能だよね〜じゃなくて、……まあ、香奈らしいちゃんとした理由もあると思うよー」


「……理由?」


凪咲が香奈と香奈の近辺にいる人間へ視線を向ける。香奈は自信の無さが滲み出た弱々しい雰囲気を纏っている下位の少年少女達と会話しており、相手を上手く諭しているようだ。下位の少年少女達の表情が何処か柔らかい。


「恐らく香奈は、あの二人組の成績を少し上げておきたいんじゃないかな?」


「….?成績をあげる…?今回の勝負でそんなことができるのか?」


「こちら側から競い合うことを強制することはない、と指南役は言っていたね。ということは、競い合うこと自体は計算にいれているはずなのさ。主体的に取り組む態度、性格…なんらかの評価に影響してもおかしくはないだろう?」


第五層へ送られた人間達は性格や能力面に問題を抱えた問題児達。つまり、性格もこの施設にとって一つの評価基準に入ることが誰にでも理解できる。子供で何かを企んでいるであろうこの施設で、できるだけ高い評価を得ようと積極的に競い合うという姿勢を見せつけるのは悪くない判断だ。

 瑠衣は顎に手を当て、考え込むような姿勢を見せてから香奈の会話をしている姿をじっと見つめている。楓は納得がいかず、凪咲に疑問をぶつけた。


「………それはそうかもしれないけど、なんで相手にボク達を選んだの…?力量が近い相手の方がいいんじゃ…?」


「ま〜、今回の課題完全にお遊びでやってる子達多いしー….あの二人と同じレベルの子達、応じてくれないだろうね〜。借りもあるし、これは私から香奈にお返しする恩って奴さ」


それに、恐らく香奈も貸しについて考えてからあの二人組を送っているだろう、と凪咲が考えて頷く。しかし、それでも楓は納得がいかずに純粋な疑問をぶつけ続けた。


「だとしても、凪咲のいるグループを選ぶのはちょっとやりすぎ…なんじゃないかな?指南役と研究員達がそれに気づいて、評価を上げる時に本来よりも多少下方修正をしたっておかしくないし…」


「まあそれは……目の付け所を評価されて、上がる…だろう?」


「それは二人組じゃなくて、香奈の評価が上がるだけなんじゃないかな…?」


「あー…うーん…それは、多分あれだね〜………」


凪咲が楓の鋭い追及に目を逸らし、楓が首を傾げる。瑠衣が嘆息し、凪咲が何に躊躇って苦しんでいるのかを察して呆れた声でポツリと呟いた。


「………嫌がらせ、か。香奈も大概、幼稚だな」

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