表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨降り竜との物語  作者: おみ
1章:雨降り竜リン
7/90

7話:子供と大人

4人になった生活も楽しかった。

 サニーは話が上手でよく笑い、家の中はすごく賑やかになった。畑も広がり薬草の種類も増え、育て方や効能をたくさん教えてもらった。


 シュワシュワの粉をかけた酸っぱい実は私もミスティも大好きになり、いろんな種類の果実を採ってどれがシュワシュワに合うのかいろいろ試した。


 そうしたらいつの間にかミスティのお腹がどんどん大きくなって、これから赤ちゃんが生まれると言われた。


 その日、ミスティは苦しそうで、サニーはずっとミスティに付き添って二人で部屋に籠っていた。

 イーサはなんだかそわそわして様子がおかしい。いつも通り一緒にご飯を作って畑の世話をして、薬草を調合して片づけをしてる合間合間は無駄にうろうろしてして、外に行ったり家の中へ入ったりヘトヘトになった頃におかしな叫び声が聞こえてきた。


 サニーが笑いながら「産まれた」と言って部屋から出てきてイーサに抱き着いた。その後、泣きながら私の頭をワシワシした。


 私とイーサで用意したスープや薬湯、着替えなど全部持って部屋に入ると少しぐったりとしたミスティが薄く笑いながら

「女の子よ抱いてやって」

 小さくて赤くてぐにゃぐにゃしたのを渡してきた。

 小さいのに指がちゃんと5本あって温かくて、ミルクの匂いがして見た目通りのぐにゃぐにゃなのにずしりと重く、触っているのは少し怖かったけど、みんなが笑っていて不思議な時間が流れた。


 アメリアと名付けられた小さくてぐにゃぐにゃした赤ちゃんは少し経つとびっくりするくらい可愛くなった。肌はすべすべでモチモチ。フカフカして温かい。

 抱き方を教えてもらうと触っても恐くなくなった。

 目が合って笑うとその子も笑ってみんなも笑う。今まで3人から貰った精気と違う感じがする、すごい力が貰えた。


「赤ちゃんって不思議ね。どこから来るの?私にも赤ちゃん来たりする?」

「リンが大人になって、好きな人ができたら来るかどうかわかると思うわ」

 とミスティは言う。

 いつどうやったら大人になるんだろう……。考えながら、その夜はイーサの布団に潜り込んで眠りについた。


 明け方になった頃、イーサの叫び声が家中に響いた。

 イーサの大きな声は初めて聞いた……。でもまだ眠い。

「怖い夢見た?」

 頭をよしよしして抱きしめてあげた。いつもイーサとミスティがやってくれるやつだ。


 パタパタと音がしてミスティとサニーが部屋に飛び込んできたけど、まだ眠い。


「兄さん!どうした……」

 二人は「え?……」とか「な……?」とか謎の言葉を発している、だんだん目が覚めてきた。


「みんなどうしたの?」

「リン?」

「え?リン⁉」

「リンね。ちょっと立ってみて」

 ミスティに言われたので立ってみる。

 いつも寝るときは竜の姿で寝ているのに、今はいつの間にか人間の姿になっていた。

 でもなんか見え方が変だ、ミスティ達の顔がいつもより近い。なんか手足が長い気がする。


「……なんか私、大きい?」

 だって目の高さがミスティと変わらない。

「大人になった?大人よね!イーサが好きだしミスティもサニーも好き。大人になって好きな人がいる。私にも赤ちゃん来る?」

 急だけどびっくりだ。嬉しいワクワクが止まらない。


「……とりあえずリンは服を着てくれ」

 イーサに怒られてしまった。裸で踊るのは大人ではないんだって……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ