6話:暮らし
次の日、早速サニーが訪ねて来た。
家に来るなり唐突に「俺、ミスティが好きだ。ずっと会いたかった」
真っ赤な顔で言い出した。
ミスティはサニーに続いて顔が真っ赤になり、イーサはカップを落とした。
しばらく沈黙が続く中、イーサは「二人でやってくれ……」とサニーとミスティを家から追い出した。
しばらくして戻ってきた二人の顔は、まだ赤いままだった。
赤い顔の二人にお水を汲んであげるとサニーが白い粉をくれた。
「お土産のシュワシュワ」と言うので水に溶かしてみたらシュワっと水が泡立った。
期待を高めてゴクゴク飲んだ。
「苦くてしょっぱい……」
全然違った。シュワシュワもしていなかった。すると、ミスティは家の裏になっている果実を採ってきて、それに粉をかけてくれた。
「シュワシュワ!!お水じゃないけどシュワシュワしてすごい美味しい」
いつもは酸っぱくてあまり食べない果実に粉をかけるとシュワシュワして魔法のように甘くなった。
みんなで山ほど食べているうちに二人の顔は赤くなくなっていた。
それからイーサとサニーと一緒に畑に出た。二人の薬師の師匠がサニーに持たせてくれた種を植える為に畑を耕した。
「雨いる?」
と聞くと、種の種類によって雨が必要だったり、乾燥した方が良い場合もあるから一旦調べようと、植物図鑑を見せてもらいながら、植えてある野菜やこれから植える種の話をいろいろ教えてもらった。
そうして新しい薬草を育てたり、イーサに美味しいスープの作り方を教えてもらったり、いつの間にか倉庫にしていた部屋が片付き、庭に新しく小屋を建てたりして過ごす間に季節が変わった。
ある日サニーは大きな荷物を持って遊びに来た。結婚すると言う。
「結婚ってなに?」
「ミスティが大好きだから、今日から一緒に暮らすんだ」
サニーがミスティに大きな花束を、私に小さな花束を渡してくれた。
ミスティを見上げると嬉しそうに照れくさそうに微笑んでいた。
「お祝いの準備をしよう」
イーサと部屋を綺麗に掃除して、ご飯をたくさん作って酸っぱい実にシュワシュワの粉をかけてテーブルに置いた。
それからお水を組んで家に戻ると、いつもより綺麗な服を着たミスティが戸口に立っていた。
頭には花が飾られている。
「ミスティ綺麗。私、雨を降らせて良い?」と聞くと笑ってうなずいてくれた。
外に出て小さく雨を降らせると、空がキラキラ輝いて大きな虹になった。その日の夕飯はとても美味しくて賑やかで楽しくて、ワクワクして幸せな力をいっぱい貰った。
子供の頃は夏みかんに重曹をかけて食べてました。