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雨降り竜との物語  作者: おみ
1章:雨降り竜リン
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5話:サニー

 次の日、イーサは少し様子がおかしかった。

 薬草を無駄に揉み揉みしたり、ぼーっと上を見て唸ったりしていた。


「どうしたの?大丈夫?」

 と聞くと、少し考えたあと

「町で買い忘れたものはないか?欲しかったものとかでも」

 小声で聞いてきた。

「シュワシュワ!!シュワシュワ飲みたい」

「そうか、欲しかったものがあったのか、しょうがないなリンは」

 と今度は声を大きくして言った。

「リンが欲しいものあるって言うし、俺も少し用事があるから街に行ってくるな」

 いそいそと支度を始めた。

 ミスティは心配そうな複雑そうな顔をしてるけど、私はあのシュワシュワしたお水をまた飲めるのが楽しみだ。


 足早に山を下るとまずは薬屋に向かうと、探してる昨日の人サニーはすぐ見つかった。

「時間あるか?」

 イーサが聞くと、うなずき昨日と同じお店に行くことになった。

 シュワシュワしたお水が運ばれてくると、二人は昨日と違う雰囲気で話しを始めた。


「それで、どうして俺たちを探していたのか聞いて良いか?」

「俺、なにも知らなくて、二人とも急にいなくなって吃驚したし、心配だったんだ」

「……黙って出て行ってすまなかった」

「その理由を聞きにきたわけじゃないんだ。ただ会いたかったんだ。二人とも元気そうで良かったよ」


「俺は気づかなかったんだ。あいつは俺にも愛想良く声をかけてくれて、ミスティに気があるだろうが良い友達だと思っていた。付きまとわれていたのも分からず、ミスティの様子がおかしいと気づいた時は、もう迷っている時間が無いような気がして、お前に相談しても迷惑がかかるってことにして、早く町を出ることだけ考えたんだ」

 サニーは聞きながら「うん」と言って鼻をすすった。


「でも、もしかしたらお前はミスティを迎えに来てくれたのかと思ったんだけど、ミスティはそんな仲じゃないと言うから、疑心暗鬼になって話を聞きに来たんだ。疑って悪かった」

「そうだけど……そうじゃなくて、ちょっと……」

 サニーは顔を赤くして、いろいろ言っていたけれど、私はシュワシュワが美味しくてあまり聞いていなかった。二人は薬草のことや薬屋の師匠のこと、元いた町の人達の話を長く話していた。


「俺達は元の町には帰らないし、ミスティも落ち着いた。リンもいてくれるし大丈夫だ。今度は遊びに来てくれ」

 と言って別れた。


 ふと、帰り道に思うところがあって聞いてみた。

「ミスティも夜は悲しくて怖いの?」

「夜はみんな怖いよな。ミスティも怖い時があるかもしれないから、助けてやってくれ」

「うん」

 ミスティとイーサが悲しい夜は一緒に寝てあげようと思った。


 帰り道は月が出ていて、昨日より明るかった。

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