3話:竜と人間
「リンは人の姿になれたりするの?」
ある日ミスティから尋ねられた。
「絵本や小説で読んだ事があるの。竜って人に化けることもできて、とっても美しい姿なのよね~」
私をなでなでしながら楽しそうに話す。
「人になる……」
人は見たことあるし目の前にいる二人も人だ。
今なら、日々二人から優しい気を貰って力は満たされている。スープでお腹もいっぱいだ。出来る気がする。
「やってみる」
どうすれば良いか分からないけど、目をつぶってみる。
『人、人……』と思って体中に力を回してみた。目を開ける。
「あれ?なんか見える感じがいつもと違う」
イーサとミスティがびっくりした顔でこちらを見ている。いつもより顔が近い気がする。
「幼女だわ!子供で女の子だったのね。かわいい!!髪が素敵!晴れた日の水面みたい、でも瞳には雨の日の夜の森のような青!ほっぺすべすべ~」いろいろ言いながらすりすりしてくる。
「でも裸だわ。兄さん明日町に行きましょう、いろいろ買わないと」
ということで明日は町へ行くことになった。
その日はもう遅かったので、ミスティと一緒に寝ようとベットに入ったら竜に戻ってしまった。
「ふふっ。夜はそのままで寝ましょう」とミスティが言ってくれたのでそのまま一緒に寝た。
次の日の朝、試してみたらまた人間の姿になることができた。
「人は服を着て、身支度を整えること、裸で出かけないこと!」
「??」
ミスティの被せてくれたシャツは少し丈が足りなかったので一旦脱がされてから、今度はイーサのシャツを着せられて腰を布で縛られて髪を梳いてくれた。
それからイーサが私の髪を編んでくれてた。頭がなんだかボコボコになった。手触りが楽しい。
「兄さん、私も~」
ミスティが言うと器用な手つきで彼女の頭も編み上げていく。
「兄さん上手でしょ。子供のころからよくやってもらったわ。私もリンにしてあげたいけど全然上手にできないのよね」
雑談してる間にミスティの髪も編みあがった。
「よしっ。おそろいね、行きましょう」
「リンは俺が担ぐからミスティは籠を持ってくれ」
「そっか、靴がないから歩けないのね。それも買わないと……。ま、なんとかなるわよ」
ミスティは鈍く光る金属を数えながら少し難しい顔をする。
そしてイーサに担がれて山を下った。
町に着いたらイーサは私と籠を交換して言った。
「気をつけろよ。俺は薬屋にいるから、なにかありそうだったらすぐ来てくれ」
「わかったわ、兄さんも気を付けて。靴や服を見てから薬屋の方に行くわ。終わったらご飯を食べましょう」