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雨降り竜との物語  作者: おみ
2章:少年アーク
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13話:帰りを待つ

 イーサが突然いなくなってから、リンは目に見えて憔悴していた。

 あの日からずっと人のま姿のままだ。夜眠る時も人の姿のままで寝ることなんて今まで一度もなかった。

 普段通りの生活をしているつもりなのだろうが、真っ白な顔で虚ろな目にはなにも映っていないかのようにぼんやりしていた。


 そんなリンが「少し散歩してくる」と言って外に出た。

 リンが一人で外に出るなんて初めてのことで、みんな心配したけれど、リンが少し吹っ切れたような顔で笑うから、帰って来たらスープを作ると言うから、心配だったけど皆で笑って送り出した。


 僕は心配だから一緒に行こうと思って、こっそり後ろをつけて行った。

 そうしたら急に、着ていた服だけがその場にパサっと落ちてリンは消えた。

 びっくりして確認しようと、隠れていた茂みから飛び出したらリンは人型を解いて竜の姿に戻っていた。


「アーク、ついて来たのね」

「ごめん、心配で……その姿で散歩に行くの?」

「そうよ。久しぶりに少し飛んでみようと思って」

「えっ。飛べるの?空を??」


 リンが空を飛べることにびっくりした。他の皆は知っているのかな。心配と戸惑いで家族に一旦知らせに行った方がいいか迷っていたら

「帰って来たら、空からなにが見えたかお話をしてあげるわ」

 と言うから好奇心の方が勝って、そのまま送り出してしまった。

 リンは高く飛び上がり、あっという間に空に溶けていった。


 ***


 リンが帰って来なくて一日目、婆ちゃんは「気分転換が長引いているのかしら?」と心配しながらも一旦様子を見た。


 二日目はそわそわして、家の周りをうろうろ散歩したり、町に探しにいった。


 三日目、本格的に心配して家族で手分けして探したが、どうしたら良いかわからなかった。婆ちゃんは木彫りの竜に祈っていた。


 本当にどうしたら良いかわからない。

 リンはこの山の中と麓の町しか行ったことが無いはずだ。町でリンの目撃情報は無く、皆で心当たりは探し尽くしたけど見つからなかった。

 クタクタに探し回って帰ると、部屋の片隅には荷造りがしてあった。誰かがリンを遠くまで探しにいく準備を始めたみたいだ。


 四日目の朝、早くに目が覚めた。

 ベットを出て食卓に行くと薄暗い中で母さんがテーブルに座っていた。父さんも夜勤明けで街から戻ってきていたようで、お茶を入れてくれたので僕も席に座った。

 母さんが口を開く。

「昨日父さんと話し合ったのだけど、リンを探しに行こうと思うの」

 仕事のお休みを貰ってきたことや、爺ちゃんや婆ちゃんには伝えてあるみたいで、留守にする間のあれこれを話している。

 話を聞いている途中で寝室の扉が勢いよく開いた。妹のリリスがまっすぐに飛び出してきて母さんにしがみつく。

「嫌だ。母さんもいなくなっちゃう。嫌だ」

 それっきり何も言わずにずっとしがみついていた。


 そうしているうちに皆が起きてきた。いつもの朝食の時間までには大分早い。みんな眠れなかったのかもしれない。


 フィフィ叔母さんが声をかける。

「アメリア、やっぱり考えなおした方がいいわ。もうすぐ帰ってくるかもしれないし、もし長く見つからなかったら……アークとリリスにはあなたが必要よ」

「でもリンが帰ってこないのはおかしいわ、なにかあったのかもしれない。困っているかもしれない」

 母さんはリリスをぎゅっと抱きしめてから目を合わせて、再び口を開いた。

「母さんリンを探してくる。でも今日と明日だけ探して夜には帰ってくるから。ね?一晩帰って来ないのは仕事の時もあることでしょ?」


 母さんは父さんを見つめる。父さんが母さんの肩に手を置く。

「父さんも一緒に行くから危ないところは行かないし、大丈夫だ」

「本当?明日には帰ってくる?絶対?リン婆ちゃんも一緒に帰ってくる?」

「絶対、明日には帰ってくるわ。周りを探してくるだけよ」


「アークとリリスはその間は私達と過ごしましょう。そして、まずは朝ごはんを食べましょうか」

 婆ちゃんがいつの間にか朝ごはんを用意をしてくれていて皆で食べた。


 結局、父さんと母さんは2日間だけ探しに出ることになったので皆で送り出した。

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