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『普通』への変化

 朝ご飯は早起きする繊晦が用意してくれて、すっかり寝坊助になってしまった私を叩き起こしてリビングまで引っ張てくれる。


 「もう姉さんってばそろそろ自分で起きてよ」


 「ごめんってば、繊晦。あ、今日は私紫雲祭の係があるから帰る時間少し遅れるね。何かあったら連絡すること。分かった?」


 「分かってるよ。それより早く食べたら? このままのんびりしてたら遅刻確定だよ」

 

 「うぇ!? ヤバいヤバい!」


 バタバタと慌ただしく準備する私をよそ眼にさも何事もないかのように自分だけ家を出る繊晦。


 「うわぁあん、裏切り者ぉお」


 「僕は何回も起こしたよ。じゃあ行ってくるね、姉さん」


 「行ってらっしゃい、繊晦」


 日常的な体験を通して私達はもう一つ変化があった。


 それは私がより感情的になり、繊晦はずっと大人びるようになったことだ。


 あんなに泣き虫で怖がりだったのに、いざ知らない世界に飛び込むと私を守るために一皮むけてしまった。


 その成長が嬉しいような寂しいような…。


 それでもあの一件以来自分のスキルを恐れず上手く使いこなせるようになった点においては喜ぶほかない。


 あんなに小さかった子が私を叱れるまでに成長したのだ。


 時とは存外早く流れるものである。


 制服を着て、教科書を用意する。


 急いで歯磨きに手を付け、鍵を確認したら準備OK。


 バス停まで走りなんとか時刻に間に合う。

 

 バスの中は人で混雑しておりピークの時間帯は席に座れない。


 能力を使えば一瞬で学校につけるが、私と繊晦が約束した内容に、「スキルは戦闘時以外使用しない事」とある。


 これは私達の存在が異質であることを隠すためであり、いくらコントロールができるといって普通の基準が曖昧である私達が日常に同化するために必要なことである。


 それでもあまり不便はないし、色んなことを知れる点では返って良い方向に作用している。


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