『お仕事』
放課後、紫雲祭の係でパネルなどを作っているとスマホからピロンと音が鳴る。
『明沼市 南区 水鏡 2丁目 10❘73』
宛名不明のラインは、依頼の証。次に贈られた熊のスタンプで殺しの依頼であることを確認する。
「纏?」
「あ、なんでもないよ。ごめん、弟からの帰還命令。明日変わるからお願いしてもいい?」
「なんだ、いいよいいよ。行っておいで」
「ありがと。大好き波留」
軽くハグをして学校を出ると物陰に隠れたところで「転移」を発動させる。
座標なら画像付きで送ってくれたため十分だ。
転移が成功すると中には蜂の巣にされた暴力組織団。
数で言うと百はいるだろか。
突然現れた私を警戒している。
「座標指定、歪曲」
私がスキルを発動させた瞬間、人の形『だった』ものが辺りを霧散する。
内臓も全てはち切れたように引き千切られた形をしている。
空間座標で座標を指定した後、千変万華で捩じる。
私の十八番技と言っても過言ではない。
その分正体が割れてしまうには十分な証拠なため吹き飛んだ血の一滴でさえ亜空間にいれて証拠を隠滅する。
これも私が重宝された理由。
完全に証拠を隠滅し、他のスキルの介入を許さないため完全犯罪を成せる優れものだ。
だけどこんな些事で私を呼び出した訳はない。
奥に歩いていくと、見つけた。
「A級ゲート確認」
端的な報告だけ済ませてゲートに足を踏み入れる。
ゲート内は広い草原。
繊晦に帰りが遅れると連絡しておいてよかった。
捜索系のダンジョンなら、三時間は掛かってしまうのだから。
現れたモンスターを討伐し、洞窟のような場所を見つける。
中から溢れ出る濃密なオーラ。
間違いなくボスがいる。
愛剣を左右に握り、気配を殺してボスへと近づく。
一撃目は完全な不意打ち、千年鳥の機動力となる右翼を捥ぎ取る。
怒り狂った千年鳥が奇声を上げ殺気剥き出しで口から炎を噴き出す。
炎については良く見慣れているため一端距離を取った後固定した空間、つまり口ばしを捻じ曲げる。
思いのほかあっさりと地面に突っ伏せた千年鳥の心臓から核を取り出す。
素材は亜空間に収納して、ゲートのコアを捥ぎ取る。
バチバチッと火花が散り多少の火傷は負ったものの千変万華で身体の内側から治せば跡形もない。
ゲートを出ると夕焼けが眩しかった。
『任務完了』
と報告を打って急いで家に帰る。




