闇夜之蛍
慎太郎という一人の侍が命を救われた
闇夜之蛍
厳島宗太郎
慎之介は、或る夜、煙草を吸ってゐた。
煙草の火は、彼を落ち着かせ、燈火のようで或る。
彼の目に、蛍が映ってゐる。
ちかちか、と迸る蛍の煌めきは、見るものを虜にする輝きが有る。
慎之介は独り身で候。
昨日、行われた戦にて、慎之介は命を落としたと思った。
慎之介は、ある部隊の特攻隊長で、敵の策士に嵌められて、軍は出鼻をくじく事と成る。
何万と云う兵士が、慎太郎の三百を味わうように、抹殺してゆく。
ジリジリ、とではなくガリガリと慎之介の隊の者は、命を削られる。
死んだ自分の兵士の甲冑を着て、慎之介は、生き残ったので或る。
我が軍は、見事勝利した。
あこから立て直した軍師の孔は、まず慎之介の生存を確認した。
その後、会合し
「すまなかった、俺のミスだ」
「よい。それよりもよくぞ勝利した」
「お主を失う所であった……。月影のよう。生きててくれてほっとしておる」
「月影の話は、よそう」
慎太郎と孔、月影は共に青春時代を謳歌した親友で在った。
三人が育つ街は、貧困な街で在った為、其れ等から抜け出すには、戦果を上げることが必要不可欠で或る。
武術の腕は、月影が滅法強く、孔は並で、慎太郎は雑魚で在った。
月影には、剣が向いていた。
孔は何をやっても並、まさに器用貧乏で在った。或る時、慎太郎が
「お前は、頭が良いのかもしれぬな」
すぐさま孔は、将棋道場へ行くと、途轍もない才能と出逢ったのだ。
問題の慎太郎だが、まあ、何をやっても綺麗さっぱりの出来だった。
その代わりといってはなんだが、饒舌で、人付き合いを良好に築くことが出来、面白い男子で在った。
三人が、巫女の所で行った時で或る。
まあこれは書き出しです!