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術後から一度目の退院まで

 夜が明けて、主治医が回診に来てくれる。

「おはよう! 夜はどうだった? 寝られた?」と訊かれて「めちゃくちゃ痛くて、局所麻酔が効いてる時間だけ寝られました」と伝える。

「あぁ、筋中までいったかぁ……。でもそれが効いて少しでも寝られたなら良かった! この後は元の3人部屋の方に戻ってもらって、経過観察やね。動けそうなら出来るだけ動くようにしてね」とのことだった。


 しかし尿道カテーテルを留置されてるからトイレに行くこともないので手術翌日に動くことは殆どなかった。3人部屋だから歩き回るのも気が引けたというのもある。


 その日に食事があったかどうかはよく覚えてない。手術後最初の食事が三分粥だか五分粥だったことは覚えている。その後七部粥、全粥を経て常食にという感じだった。3日目か4日目くらいで常食だったかな? いや、5日目だったか?? とにかくそんな感じ。


 術後2日目と3日目あたりに尿道カテーテルと硬膜外カテーテルが抜かれる。

 正直尿道カテーテルは手術当日の夜から1日でも早く抜いて欲しいと思うくらい痛かった。裏側から傷を圧迫するからかな。とにかく尿道カテーテルは痛くて不快で仕方なかった。

 逆に硬膜外麻酔のカテーテルは、背中から滲出液のようなものが漏れていたにも拘らず、痛いとか不快感はなかった。むしろ抜かれてから傷の痛みが増して、それこそ手術直後から「この硬膜外麻酔意味あるか?」とずっと思ってたけど十分役割を果たしてくれていたんだと思い知らされた。


 手術から5日目か6日目あたりの午後に発熱する。

 お昼ご飯を食べた後どうにも体がだるくて熱がある感じがするので体温を測ると38.2度ほどあった。どうしたものかと思い、すこし時間を置いてもう一度検温してみると38.6度に上がっていた。

 さすがにマズいかと思いナースコールして看護師に報告。

 季節が冬だったということもあり、当直医がインフルエンザを疑い「風邪症状がある人と会わなかった? 面談室とか売店に行ったりしてた?」とわりと強めに詰問してきた。隣のベッドの人が化学療法中だったのも看護師や当直医を緊張させた理由の一つだと思う。


 私はお茶汲みとトイレ以外でベッドから出てない、風邪っぽい人には会ってないと釈明。それでも一応インフルエンザの簡易検査はさせてくれと言われ、検査を受ける。ちなみにこれが人生で最初のインフルエンザの簡易検査だった。

 30分ほどして検査結果は陰性だったと伝られる。ただインフルエンザは熱が出始めてすぐは陽性が出難いので夕方もう一度検査したいと言われる。断る理由もないので了承する。


 他にも膀胱炎の症状はないかと訊かれる。膀胱炎にはなったことないから判らないと答えると、排尿時に痛みがないか訊かれる。手術でお臍の下10センチくらいの位置から10センチほど(まさに膀胱がある位置)を切られているので、もちろん排尿時は痛い、でもそれが膀胱炎のせいか手術の傷のせいかは判別できないと答える。

 そして私はもともと原因不明の高熱が出て、何もしなくても半日〜1日で下がることが年一くらいの頻度で起こることを伝えておく。それでも何らかの感染症の疑いがある以上、他の患者への感染リスクがあるためベッドから極力出ないよう申し渡される。


 同日、母が叔母を伴って面会に来る。

 熱があってしんどいと言ってるのに「せっかく来たんやから」と2〜30分くらい滞在していただろうか……。2人の滞在中に体か楽になってきたなと自覚して体温を計測すると36度台まで下がっていた。


 夕方、主治医が回診に来る。インフルエンザ検査もそのとき再度される。人生2度目のインフルエンザ検査。とはいえ熱はすでに下がったといちおう伝える。

 2度目の検査の結果も陰性だった。

 結局、原因不明のままこの発熱騒ぎは終わりを迎える。


 ちなみに手術後に痛み止めとしてロキソニンを処方されていたが、この発熱時は飲んでなかったし飲まなくても熱は引いた。


 18日の朝。主治医が回診に来て「あした退院前診察をして問題なかったら20日以降で退院する日を決めようか」と言う。……ん? 11日に手術してその後8日間入院だと19日に退院では? 困惑した私は「……20日以降、ですか?」と思わず問いかけてしまう。

 主治医は私が時期尚早と心配していると思ったのか「ん? なにか心配?」と訊いてくれた。

「いえ、入院8日って聞いてたから勝手にあした退院できるって思ってました」と正直に答える。


 しかし話を聞くにどうやら手術後、最低8日は経過観察をし、問題なさそうであれば8日目()()に退院前診察をしてその後退院という運びが正しい日程らしい。


 まじかぁ……と呆然としてると主治医が今日の午後に診察しようか? と言ってくれた。なんと! いや、でもわがままを言ってしまったようで何だか申し訳ないという気持ちになる。

 それでも主治医のその言葉に甘え、その日の夕方に診察を受ける。そのとき病理検査の結果が出て、検査の結果はクロであったと話をされる。もう何度もその可能性について考え腹を括っていたので「あ、そうですか」とだけ返す。

「大丈夫?」ととても心配げに訊いてくれたので「それなりに覚悟してたので大丈夫ですよ」と答える。


「これからの治療方針についてはまた改めて決めていくとして、とりあえずこれで一旦退院して大丈夫だよ」ということで本来の日程より1日早い? 私の勝手な思い込みによる心づもりを叶えてくれる形で翌19日での退院が決まった。

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