検査アンド検査
予約していた日がやってきたので婦人科医院へ。
と、その前に問題が発生。なんと前日に月経が始まったのある。筆者のそれまでの月経周期は大体30日〜35日。たとえ30日だとしてもまだ2、3日早い開始である。タイミング悪っ。
多少悩んだ末、「ま、ええか。エコーぐらい撮ってくれるやろ」と完全に開き直り診察が始まってから「じつは昨日から月経が始まってしまって……」とか申し訳なさそうな素振りで伝える。
実際エコーは問題なく撮ってくれて、エコー写真見せてもらいながら診察結果を聞くことに。
曰く、「卵巣腫瘍の9割は良性腫瘍で問題ないです。ただ良性の腫瘍っていうのは割と綺麗な形をしてるんですよ。円形の……。で、あなたの腫瘍は後ろの方にちょっと歪な部分があるでしょ? いくつかの塊が連なってるみたいになってて……。だからこれが絶対に良性、とは言えないです。……ただ、さっきも言ったように卵巣腫瘍は9割が良性なので--云々」
いやぁ、医者って大変なんだなって話を聞きながら思いました。いかに患者にショックを与えないかということにここまで腐心するんだな、と。
あまりに気遣わしげだから「あ、はい分りました。(そんなに気を遣わなくても)大丈夫ですよ?」ってこっちまで気を遣ってしまった。
実際のところはMRIとかで見てみないと正確なことは判らないと言われ、MRI検査はこの産婦人科医院でもできるけど悪性ってなったらどうせ大きい病院に行かなきゃいけないし、もうそっちで検査してもらうでしょ? と2つの病院を示される。
A病院とB病院。
個人的にはA病院なら診察券持ってるし、なんなら母親が乳がんの手術したのがA病院、叔母が乳がんの手術したのもA病院だったので「A病院で」とA病院への紹介状を書いてくれるようお願いすると、「A病院は手術待ちが半年くらいあるから、ちょっと……」と言われる。「別に半年後で構いませんよ」と言うと「いやいや、半年後とか駄目ですよ。できるだけ早く手術したほうがいいし、たとえ腫瘍が良性でも茎捻転とか起こったりしますから」と畳み掛けられる。
……はぁ? じゃあ、はじめからA病院は選択肢に入れるなやボケぇ!
と心の中に棲まう輩が声を上げそうになったけど、ぐっと押し込めて「じゃあB病院へ紹介状お願いします」と言えた私。えらいね。えらいよ。
帰りの受付で「(B病院の)どの医師を希望されますか? 予約はどの日で取ります?」と訊かれるもB病院のことなんて1ミリも知らないんだから、「医師の希望はありません。行ける日は現時点ではまだ分かりません」と答え、紹介状だけをもらう。
ところが実は翌日も仕事が休みだったので、予約なしでB病院に突撃。
紹介状はあれど、予約はしなかったので1〜2時間くらいは待ったと思う。でも別にそういうのは気にしない性格なので自分の順番まであと何人診察待ちか窓口に訊ねて売店に足を伸ばしつつ時間をつぶす。
そして診察。
紹介状に確かにエコー写真が同封されていたはずなのに、改めてエコーを撮られる。これ必要か?? 診察点数稼ごうとしてない??? という言葉はぐっと飲み込んで診察結果を聞く。
驚いたことについ前日に撮ったエコー写真より腫瘍が大きい事実! 前日の医院では腫瘍の大きさは約9センチと言われていたが、B病院では11センチと2センチも違うやんけ状態。ま、角度のせいだろうけど。
でも、それ以外は同じことしてるだけなんだから同じこと言われるのよね当然。昨日全く同じこと聞いたんやけど……と思いつつ真剣さを装って話に聞き入る素振りをする。
エコーでは判別できない腫瘍を癌かどうかをチェックするために腫瘍マーカーで検査したいけど、月経中は腫瘍マーカーの数値が正しく出ないから、日を改めて採血しましょうと言われこの日は帰る。
後日、月経が終わった頃に採血を受け、ついでに手術に必要な検査も受ける。胸部X線、心電図、肺活量とかそういうやつ。肺活量以外はつい1〜2ヶ月前に健康診断で受けたんやけどなぁ……。その結果じゃだめなの? と思ったのは秘密だ。
さらに後日、腫瘍マーカーの数値を見せてもらう。とはいえ見せられてもよく判らんのだが? 確か3つくらい項目があって、どれも1桁か2桁だった。正確な数値は覚えてないけど高くて50前後くらいでした。主治医が言うにはこれでも良性か悪性かは確定できない、とのこと。
ちなみに乳がんになったことのある母が言うには悪性腫瘍だと腫瘍マーカーは3桁の数値を示すものだということでした。お陰でこのとき初めて、良性の可能性あるのでは? と希望を持ちました。主に母のせい。
次にMRIを撮ることに。
MRIは大変うるさく時間がかかるものという知識はありましたが、本当にうるさかった。滅茶苦茶うるさかった。ヘッドフォンから流れるクラシックな音楽になんの意味があるのかと思うくらいうるさかった。--のに、撮影中ウトウトできてしまった私は本当に呆れるほど図太いなと感心した。
造影剤の投与もしたのでおそらく40分くらいかかった。
MRIの結果の説明がある日、家族を連れて来るように言われていたのですが、私は独身なので家族となれば母か父、あるいは兄ですが、本来は母が来てくれる予定だったんだけど外せない用事が出来たらしく、叔母が来てくれることになった。なぜ叔母? 両親他界してると思われるだろ?
ともあれ叔母とともに説明を受けるため病院へ。
MRI検査の結果、私の腫瘍は嚢胞性腫瘍ではなく充実性腫瘍であるということ、嚢胞性腫瘍とは腫瘍の中身が液体で満たされている腫瘍のこと、充実性腫瘍とは腫瘍の中身が固形物(例えば毛や歯のようなもの)であると説明された。
そしてMRIの結果、腫瘍の最大径は12センチとのこと。
MRI検査の結果を聞いたその日、そのまま手術の日程についても相談する。
主治医の予定と病院のオペ室が空いている日から決めるんですが、月末の28日が空いてるからどうかと訊かれ、月末と月初めは仕事が立て込むから長期に休むのは難しいと伝えると、では翌週の4日は? 4日はまだ立て込んでるから……とさらに翌週の11日にしてもらう。
「それじゃあ前日の10日から入院して、11日に手術して……開腹手術だから、大体8日間の入院だよ」と伝えられ、まじで? お腹切ってたった8日で退院するの? と戦慄する。
ちなみにもし良性腫瘍と確定できていれば腹腔鏡手術だそうで。入院日数も短く5日だとか?
その後同じ日に麻酔科の医師から全身麻酔と硬膜外麻酔の説明を受ける。
どうやら全身麻酔と硬膜外麻酔どちらもするらしい。全身麻酔は手術中のみ、硬膜外麻酔は手術後3日間入れたままになるとのこと。
3日間も背中に管通したままとか怖いな。
ところでMRIの診断結果を説明するとき先生は言いませんでしたが、卵巣腫瘍のうち充実性腫瘍の実に7割が悪性腫瘍である。
う〜ん、これはやっぱり悪性よな。と再度覚悟を決めつつ病院をあとにする。