15
紫耀はスーリィの街に訪れていた。以前、防具を作ってもらった仕立て屋と待ち合わせしているからだ。
『(扇子と水晶玉だけのつもりだったけど、防具になりそうな素材も沢山集まったし、仕立て屋さんにたのんじゃお。…扇子作れる職人いるといいんだけど。)』
そんな事を考えながら歩いていると、待ち合わせ場所である仕立て屋の店についた。紫耀が扉を開けると、店内には老人と女性がいた。
「おぉ。いらっしゃい紫耀殿。すまんなぁ。水晶玉を作れる職人は見つかったんじゃが…扇子職人の方は見つからんかった。」
『そうですか…では水晶玉と狩衣の制作をお願いします。』
「狩衣…防具も新調するのかの?」
『良い素材が手に入りましたので。これなのですが…作れそうですか?』
紫耀は「禍津の森」のモンスターからドロップした〝禍蜘蛛の稀糸〝をどっさりとカウンターに置いた。
仕立て屋の老人は素材を「鑑定」スキルで調べて目を見開いた。
「なんじゃ…このとんでもない素材は。…ふむ。これだけあれば狩衣を作ってもお釣りが出るわい。代金から引くから残りを買い取らせてくれんか?」
『かまいません。お願いします。…水晶玉はこちらの女性が?』
「ん?あぁすまんすまん忘れとった。こっちのはラピダリーのマチルダさんじゃ。」
「はじめまして。マチルダです。水晶玉は私が作らせていただきます。」
『はじめまして。陰陽師の紫耀です。水晶玉になりそうな素材も持ってきました。確認をお願いします。』
紫耀はマチルダに〝禍々しき蛇の涙〝を渡した。
「これは…とても素晴らしい水晶です。少し研磨して形を整えれば水晶玉になりますね。…ところで水晶玉は何にお使いになるんですか?」
『…占い…ですね。』
「占い…水晶玉で占いが出来るのですか?」
『はい。我々陰陽師の占いは普通式紙を用いたものなのですが…結果が少々曖昧でして。水晶玉だとはっきりとした結果が見えるので、私は水晶玉を使います。』
「なるほど…。」
「……ん?紫耀殿。その左目はどうなされた?前に見た時と色が変わっとるように見えるんじゃが。」
『あぁこれは…特殊な目を授かったのです。目立ちますか?』
「顔を見たら目につくからのぅ。遠目ならわからんじゃろうが、近くだと目立つのぅ。」
『…そうですか。(呪いがかかる距離、後で確かめておこう。)』
「扇子の方はどうなさいます?」
『まずは八禍村の方で探してみます。』
「そうですか。水晶玉は任せてください。最高のデキに仕上げて見せます。」
「狩衣も儂に任せよ。なんせ素材が良いからの。良いものが出来上がるじゃろう。」
『お願いします。』
紫耀は職人二人に材料を預け、その日は拠点に帰り扇子職人探しは明日にまわす事にした。




