第三十三話【武闘大会までの時間潰し】
掲示板を離れ、屋台の間を歩いて行き、角を曲がった。
そして建物の間を歩いて行き、角を曲がり、屋台の間を歩いて行き、角を曲がった。
そして屋台の間を歩いて行き、掲示板の前を通り、屋台の間を歩いて行き? ‥‥‥ん? 門の掲示板に来たの二回目なんだが‥‥‥。
「あめ、ここどこ?」
「‥‥‥掲示板を離れてすぐの所にある屋台の辺」
「あれ? さっき通ったよな? 何でまた同じとこを歩いているんだ?」
「五月雨くんが先頭を歩いているからよ」
屋台の間に立ち止まり疑問を浮かべている俺をよそに、鉄さんが眉間にしわを寄せてそう言った。
「なるほどな‥‥‥って! どういう理屈だよ!?」
「そのままよ! 五月雨くんが歩いているせいで道が逃げているのだと思うわ」
あー、そういう事か~。
「ふむふむ、一理あるかもな」
「‥‥‥あるんだ」
「まあそれは置いといて、さっきとは違う道を行ってみましょ?」
納得している俺に対し、鉄さんが切り替える様にして先頭を歩き始めた。
俺とあめは無言でついて行く。
鉄さんは屋台の間を歩いて行き、途中で裏道に入った。そして狭い道を抜けると、
「おぉ! すげぇ、新しい所に出た」
「でしょ? まあ私には超能力があるから分かって当然なんだけどね?」
口を開いてビックリしている俺の姿を見て、鉄さんは胸を張って物凄く自慢げに呟いた。
「そっか、あめ、じゃあ行こうぜ」
「‥‥‥う、‥‥‥うん」
俺はあめの方を向いてそう言うと、そのまま新しい街中を歩いて行く。
「ちょっと、なんで無視するのよ!?」
鉄さんは俺を追いかけて来る。
「逆に今の‥‥‥ツッコんだ方が良かったか?」
振り向いてかなり効くであろう事柄を聞いてみると、鉄さんはあっ、と言う表情をする。
「や、やっぱりいいわ。先を急ぎましょ」
「そうだな」
「‥‥‥」
何この空気。重いのか濁っているのかよく分からんな。
よし、しょうがないから忘れてやろう。
私には超能力があるのよ~?
‥‥‥忘れよう。
何か思い出すだけで、こっちが恥ずかしくなってくるわ。
再び前を向き、ふと目の前を見てみるとやっぱり凄い都会だ。
大通りが広がっていて、左右には大きい建物が少しの隙間も許さずに並んでいる。
建物の外見を見た感じで大体分かるのだが、カジノや教会、道具屋等がある。
「なあ、ちょっとカジノに寄ってみないか?」
めちゃくちゃ行ってみたいわ。
「ダメよ、先に受付を済ませないと出られなくなるかもしれないし、‥‥‥それに五月雨くんはスロットで全財産を無くしそうだわ」
「失礼なやつだな。俺を誰だと思っているんだ?」
「誰よ?」
「五月雨さんだぞ?」
「知っているわ。そうじゃなくて、どんな能力を持っているのかって聞いているの」
しょうがないから俺の特技を教えてやるか。
みんなに自慢できる様な体験談をな。
「ドラク〇5のカジノで、早いうちにメタルキ○グの剣を二本とグリ○ガムのムチを手に入れた事のある実力者なんだぜ?」
自慢げに、過去の事実を話してみると、鉄さんは目を細める。
「はい? それだけ?」
「ん? それだけとは?」
「私もそのくらい手に入れた事あるわよ。別に凄くも何ともないわね」
「なんだって!? まさか俺に並ぶカジノオタクがいたとは‥‥‥」
「ふっ、教会でセーブしながら何日も滞在しているのは、五月雨くんだけじゃないのよ」
ほう、ここまでカジノの事を分かっている奴がいるなんてな。
ちょっと嬉しいんだが。
一度、高身長イケメンの太陽ともカジノについて話した事があるのだが、やつはまほうのせ○すいを一つ手に入れた時点で飽きたとか言ってやがったからな。
にしてもまさか、こんな所にカジノ野郎が存在していたとは。
まさか、こんな所にゲーム好きがいたとは。
俺はとある疑問が浮かんだので、さりげなく聞いてみる。
「そういえばさ、鉄さんってゲームの事好きなのか?」
「えぇ、まあそうね」
鉄さんは何を聞かれているのか気付いていないらしく、うんうんと頷いている。自分がゲームの事を嫌いだという設定を忘れて、思わず本心が出ていたパターンだな。
「じゃあ、ゲーム好きなのか?」
追加でそう足してみると、鉄さんの表情が変わった。
うん、目に見えて変わった。
「ち、違うわよ! ゲーム好きじゃ無いんだから! 勘違いは止めて頂戴」
ふむふむなるほどね。
ゲームは好きだけど、ゲーム好きではない。
こういう事だろ?
「了解。理解したぜ」
「一応確認しておくけど、何を理解したの?」
鉄さんがゲーム好きだという事を理解しました。
「鉄さんがリアルで充実しているという事を理解しました」
「そう、ならいいわ」
そんな会話をしながらも大通りを歩いて行くと、やがて左側に他の建物とは比べ物にならないほど大きい建物が見えて来た。
東京ドームの様な形をしていて、とにかく巨大だ。
まあ参加者千人が入って来て、さらに観客も見に来るとなったらこのくらい広くて当然か。
俺達は早速正面から中へと入って行くと、まずカウンターの女性NPCに話し掛ける。
「あの、武闘大会に応募したいんですけど、まだ参加出来ますか?」
するとNPCはとある方向を指差しながら、「はい、大丈夫です。ではまず向こうにある机でこの申込書を書いてください。また提出するタイミングで参加費の5000Gをお願い致します」と答えて、俺に一枚の紙を手渡して来た。
その女性が結構可愛かったので、愛想良く紙を受け取ると指定された机へと向かう。
どうやら俺達以外にも何人かのプレイヤーが申込書を書いているらしく、パーティーごとに固まっている。
なんかみんな強そうなんだけど‥‥‥。
しかも見た感じ四人パーティーばかりだし。
俺は机に紙を置き、用意されていたペンを使って記入していく。
えーっと、まずはプレイヤー名を書くんだな。
最初に、ひろってぃー‥‥‥っと。
次にレイン‥‥‥っと
最後に‥‥‥‥‥‥おーん?
まずい、鉄さんのプレイヤー名って何だったかな?
確か本名の名前の方だったぜ?
くろがね‥‥‥うみ? じゃ無いと思う。ちょっと近い様な気がするけど。
くろがね‥‥‥うし? でも無いぞ。
そんな感じで少の間悩んでいると、隣に立っている鉄さんがにやにやと笑いながら、俺の顔を覗き込んで来た。
「あら? 手が止まっているけど、どうしたのかしら?」
不意に名前を忘れてしまいました! とか言ったら殺されそうだわ。
まじで俺何してんの? 鉄さんの名前くらい何度も見ているだろ。
とにかく今は誤魔化しておくか。
「なんでもないぞ? それより、ちょっと名前を書いてもらってもいいかね?」
「なんで?」
「なんとなくかな。‥‥‥自分の名前ってやっぱり本人が書いてこそ生きるし‥‥‥価値がでてくるだろ?」
俺はそう答えると、鉄さんにペンを渡した。
それに対し鉄さんは目を細くして何かを疑っている様な顔をしている。
「別にいいけどさ、まさか私の名前を忘れたとかじゃないよね?」
「いや、それはないぞ」
「そっか、ならやっぱり書いて」
俺が堂々と名前を忘れていない宣言をすると、鉄さんはペンを俺に返して来やがった。
うん、ピンチなう。
こんな事なら最初から本当の事を言っておけば良かったぜ。
状況が悪化してしもーたわ。
まあ俺の頭の回転を使えば、余裕で乗り切れるけどな。
策は無いけど、謎の自信があるわ。
見ていろよ?
「I have a pen~」
「そういうのはいいから早く書いてくれる?」
指でペンを摘まみちょっと喋りだした途端に止められた。
やばい、全然何とか出来そうに無いわ。
思ったより無理そうだわ。
「分かった、書こう。てか、今気付いたけどこのペンって黒色のインクが使われているんだな」
「普通でしょ。と言うか早くしなさいよ」
仕方ない、正直に言おう。
申し訳ございません忘れました‥‥‥と。
鉄雨花さんの勝ちです! と。
‥‥‥ん?
あっ!! 思い出した。てか勝手に頭の奥から出て来たわ。
鉄雨花だから、プレイヤー名はウカだ。
俺は思い出したのと同時に、急いで紙にウカと記入した。
「よし、これで良いだろ?」
自慢げにそう言ってみると、鉄さんは若干驚きながらも納得した様に頷く。
「へぇ、分かってたのね」
「あ、当たり前だろ? だって仲間なんだからさ」
親指を立ててかなりくさいセリフを言うと、鉄さんが後ろを向いて「そ、そっか。だったらいいのよ」と嬉しそうな反応をした。
ふっ、計画通りだぜ。俺は後から思い出すと予想していたのだ。がはははははははは!
はい、嘘です。
すみません、たまたまです。
と、そこであめが顔を近づけて来る。
どうしたんだろう、鉄さんが近くにいる環境で何をするつもりかね?
「‥‥‥たまたま思い出したんだよね?」
小さい声が聞こえて来た。
ん? な、何故それを?
俺は鉄さんに聞こえないくらいの声量で聞いてみる。
「えっ、気付いた?」
「‥‥‥ん、普通なら気付くと思う」
マジかよ。‥‥‥って、おいおい! 今地味に鉄さんが普通では無い扱いをしなかったかね?
「ん? 二人ともどうしたの?」
俺達が会話している事に気付いたのか、鉄さんは再び俺の横に来て覗き見て来る。
「いや、何でもないぞ? さぁ、これを提出しに行こうぜ!」
そう言ってカウンターにいる女性NPCの元に向かう。
うん、逃げるが勝ち!
「なんか誤魔化した感があるけど、‥‥‥雪奈さん、さっき五月雨くんは何を言っていたの?」
うわ、標的をあめに変えやがった。
‥‥‥あめさんや、頼むぜ?
裏切らないでね?
鉄さんの突然な質問に、あめはしどろもどろになりつつも小さい声で喋り始めた。
「‥‥‥なんかよく分からなかったけど、‥‥‥いきなりヘアピンの色を黒色にしてくれないか? って言ってきた」
───はい!? そんな事言って無いぞ?
あーでも、よく考えたらあめって俺を助けようとしてくれているっぽいな。
逸らし方が気に食わんが、まあ良いだろう。
鉄さんが怒るよりかはマシだ。
「五月雨くん? それはセンスが無さ過ぎるわ。今の色が十分可愛いんだから、わざわざ髪の色と同じにする事無いじゃない」
このまま乗っておこう。
「いや、絶対に黒が良いって!」
「いいえ、今の青色が、清楚な感じを引き出していて似合っているわ」
「いやいや、敢えて髪と同じ色にして元々こういう髪型だって思わせた方が、綺麗に決まっているだろ」
「分かって無いわね。これだから男子は」
「暴力女に言われたくない─」
「あっ!?」
おぉ、怖っ! ついうっかり本音が漏れちゃったぜ。
「ごめん間違えた。でもさ、男の目線からしたら黒が良いんだぜ?」
「何を言っているか分からないわ。女子からしたら普通にカラフルな方が良いのよ」
「でもさ、女子って男に見せる為におしゃれしてるんじゃないのか?」
思った事を言ってみると、鉄さんは一瞬口を止め少し困った様な表情をする。
「ひ、人によるわね。私は全くそんな気は無いけど、そういう女子もいるっちゃいるわよ」
「まあ鉄さんの場合は、自分がゲーム好きって事を隠す為─」
「なに?」
急に鉄さんの表情が180度変わった。
あら、また口が滑っちまったぜ。
「大変失礼致しました」
「‥‥‥二人とも、そろそろ行かない?」
俺が頭を下げて謝ったのと同時に、あめが割り込んで来た。
かなり恥ずかしそうな顔をしている。
「あぁ、そうだな」
若干不機嫌そうな鉄さんから逃げる為にそう答えると、紙を持ってカウンターへと向かう。
「あいつ‥‥‥一度現実で懲らしめた方が良さそうね」
後ろから何か聞こえて来るが、まあ気にしないでおこう。
俺は女性NPCさんに申込書と参加費を提出すると、すぐに二人の元へ戻った。
「お待たせ、じゃあ後は19:00まで時間を潰すか」
「‥‥‥ん。でも何する?」
「う~ん。鉄さんは何かしたい事ある?」
俺がそう聞いてみると、鉄さんは即答。
「カジノが良いわ」
「いや、でも負けたらどうするんだよ」
「私なら大丈夫よ? だってゲームのカジノで損した事無いもの」
「それはセーブをしているからだろ? なら誰だって出来るわ」
「確かにそうね。‥‥‥けど、少しだけ行ってみない?」
まあ、俺も行ってみたかったし丁度いいか。
「じゃあちょっとだけ行ってみるか」
「‥‥‥カジノってなんか緊張するね」
「ああ、俺もちょっと緊張してる。‥‥‥このゲームはリアルすぎるところがあるから、もしかしたら店の裏から怖い人が出て来るかもしれないしな」
「ちょっとそういう事を言うのは止めなさいよ。恐怖心が芽生えるじゃない」
大丈夫、一番怖いのは鉄さんの存在だから! って言ったらボコボコにされそうだから止めておこう。
という事で、俺達はコロシアムドームを後にすると、来る時に見つけたカジノへと向かい、それぞれ同じゴールドを手に持ち中へと入って行った。
──結果。
俺はカジノの外にあったベンチに座り、隣に座っているあめの方を向く。
「あめ、どうだった?」
「‥‥‥私は全然当たらずに終わっちゃった。‥‥‥ひろとくんも?」
「うん、全くダメだった。当たる気配すら感じなかったわ」
そう、俺達三人は決められたゴールドでそれぞれ遊ぼうと決めたのだが、まあ一瞬だったわ。
スロットの7どころか、他の物まで揃わないとはな。
「‥‥‥そっか、でもやっぱりこんなものなのかな?」
「俺の予想ではすぐに勝てるものだと思っていたんだが‥‥‥てか鉄さん遅いな。何しているんだろう?」
俺が不思議そうな顔をして呟いてみると、あめが「私、知っているわよ?」みたいな表情をしてこちらを向いた。
「‥‥‥多分、外に出る前にちょっと見えたんだけど、7が当たってた様な気がする」
「えっ!? マジで?」
「‥‥‥ん、本当」
マジかよ、なんなんだあの女は!
どんな強運の持ち主だよ!
俺達がそれぞれ持って行ったゴールドってほんの少しだったはずだ、にも関わらず当たったという事は‥‥‥鉄さんって本当にカジノの天才なのかね?
何にしても、鉄さん‥‥‥調子に乗りそうだな。
馬鹿にされるのが目に見えているわ。
「まあ、鉄さんは当分出て来ないだろうな」
「‥‥‥うん、大当たりしてたから結構かかると思う」
「じゃあ散歩でもしよっか?」
そう提案してみると、あめは嬉しそうに「‥‥‥ん」と頷いてベンチから腰を上げた。
俺もあめに続いて立ち上がると並んで大通りを歩き出す。
そしてそこら辺にあった飲食店に入ると、安めの料理をたべながら適当に会話をして時間を潰していった。
「ゴクッゴクッ‥‥‥ふぅ、じゃあそろそろ鉄さんの所に行こうか」
氷を唇で止めながら無料のお冷を飲み干し、目の前に座っているあめにそう話しかけてその場に立ち上がる。
「‥‥‥ん。でもさ、もう終わっているのかな?」
「さあな、けど一時間以上は経っているはずだから流石に終わっているだろ」
「‥‥‥そっか」
そう会話をすると、レジでお会計を済ませ先程のカジノへと向かった。
外に出て気付いたけど、だんだん空がオレンジ色に変わって来ているな。
所々、街灯の電気が灯り始めている。
そして店内へと入ると、あめが鉄さんの座っていたという席に案内してくれた。
カジノの中は相変わらずの賑わいだ。
絶対この中にリアルでギャンブル中毒の人がいるだろ。
やがて鉄さんの席が近づいていくと、人の密集度が増えて来て来ている様な‥‥‥。
ん? めちゃくちゃ人が立っているし。
しかも全員の視線が一つの方向に集まっている。
その視線の先にいるのは、言わずもがな黒髪高身長の全身赤い鎧を着ている鉄さんだ。
見た感じ、まだ当たり続けているらしい。
うん、ギャラリーが多すぎて物凄く近付きずらい。
「あめさんや、もうちょっと別の所にいようぜ?」
「‥‥‥今私も同じ事思ってた」
という事で再びカジノを後にすると、外に出た。
「あの様子だとかなり時間が掛かりそうだし、なにか他にする事あるかな?」
最悪、一度ログアウトして大会の開催時刻まで別の事をしておくってのもいいけど。
「‥‥‥じゃあさ、一つ行ってみたいとこが‥‥‥あったんだけど」
「ん? どこ?」
「‥‥‥このカジノから右に曲がって、少し進んで行った所にあるアクセサリー専門店」
「おう、いいぞ?」
あめって何気に女子っぽいの好きだよな。
いい暇潰しになりそうだし、丁度いいわ。
俺達はそう会話をすると、カジノの敷地を出てアクセサリー屋へと歩いて行く。
そして無言で店内へ入って行くと、そのままあめの後ろについて商品を見て回った。
いやー、にしてもお洒落グッズを見るのって結構楽しいな。
この黒い髑髏が付いたネックレスとか欲しいわ。
まあ決してゴールドに余裕がある訳じゃ無いけど、一つくらいなら買ってもいいよな?
そう考えネックレスを手に持つと、少し向こうにいるあめの所へ向かう。
見た所結構悩んでいるみたいだけど、何を見ているのかね?
「おーい、なんかいい物あったか?」
「‥‥‥あ‥‥‥ううん。今探しているとこ、ひろとくんは?」
あめがヘアピンのコーナーの棚を見つめながらそう聞いて来たので、俺はネックレスを見せて「これを買う予定だ」と答える。
するとあめは、
「‥‥‥そっか、‥‥‥えーっと、そのネックレス、私の物と一緒に買っておくから、別のも見て来ていいよ?」
と挙動不審に言って、俺が持っていたネックレスを手に取った。
なんか見られたくない物でもあるのかな。
コロシアムドームで俺が好みだと言っていた黒いヘアピンを買うとかじゃないよな?
いや、まさかそんな事はないとは思うが。
なんにせよ、買うものを見られたくないみたいだし先に外へ出ておくか。
俺はかなり気が利く男だからな。
「じゃあ任せた。先に外へ出ているからゆっくりでいいぞ?」
そう呟いて数ゴールドを手渡すと、建物の外へ出た。
俺は待った。
来るはずのあめを待った。
その間、通り過ぎるプレイヤー達をずっと目で追っていた。
どのくらい待っただろうか。
自分の感覚では約300秒程度待っていたと思う。
でも、結局あめが現れる事は‥‥‥‥‥‥あった。
読んでくださりありがとうございます。




