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第十九話【お泊り会・壱】

 次の日‥‥‥。



 俺は今、普通に緊張している。

 え? 何故かって?


 そりゃー、あめと一緒に俺の自宅へ向かって歩いているからだ。

 もうすぐで家に着くぜ!

 前にも言ったが同じ部屋に入れば、やる事なんて決まってるだろ!

 だから緊張してるんだよ。


 と、その前に、学校での出来事を話そうか。

 うん、俺とあめの二人がクラスのみんなに変な目で見られた時とかの状況を。


 まず今日、朝すっきりと目を覚ました後、適当にカロリーメイトを食べて学校へと向かった。


 で、時間に余裕を持って教室に入ると、ほぼ全員から色んな目線が寄せられたんだよ。


 温かい目。

 冷やかしの目。

 笑いの目。

 妬みの目。

 無視。


 おい!!

 見てくるんじゃねぇ!!

 散れぇ!!


 最後の無視。

 うん、これが一番まともだわ。

 誰かは分からんが。


 冷やかしの目は、恐らくほとんどが女子共。

 えぇ~、以外~。みたいな表情で見て来やがって、この野郎!


 温かい目は太陽と健二くらい?

 なんか朝一で「よう、リア充君!」とか言って来やがったからな。

 リア充の意味を説明しろよ。この野郎!


 妬みの目。

 言わずもがな一部の男子達だ。

 多分あめの事を可愛いとか思ってたやつらなんじゃないのか?

 あめって結構見た目が良いからな。


 でさ、なんで女子からは妬みの目が一切向けられていないんだ?

 格好良くてイケメンの俺が、あめに取られているんだぜ?

 何故悔しそうな表情を浮かべている女子がいないのか。

 何故悲しそうな表情を浮かべている女子がいないのか。

 不思議でならんのだが。


 よし、ちょっと冷静になって考えてみようか。


【女子=五月雨なんて眼中に無い ─こんな奴興味無いし!─】


 おい、ふざけんな、この野郎!

 どっかの小説のタイトルみたいにしてんじゃねぇよ、馬鹿野郎!


 まあ、良いや。

 俺、平凡なクラスの女子なんて興味無いし。

 二次元の女の子以外興味無いし。

 三次元の女子なんて興味無いし。

 強がってなんか無いし。


 てか、こういった普通では無い視線がたくさん向けられてるのって、100パーセント太陽と健二の仕業なんだな。

 あいつらだきゃー、ろくな事をすりゃーせん。


 どうやらあいつら俺が学校に着く前に、本を読んでいたあめに話し掛けていたらしいんだよ。

 結局弘人と、どんな関係なの? とか。

 弘人の事、好きだったりするの? とか。

 今日もお弁当作ってきているの? とか。


 あめも、俺とはそんな関係じゃないって言えば良いんだけど、かなりの人見知りだからな。

 うん、無言を貫いて小説を読み続けていたらしい。

 その態度が、まるで本当の事を隠している様に見えた様で、クラスのほぼ全員が、五月雨弘人と雪奈さん付き合っている説を信じやがった。


 あー、めんどうくせぇのぉ。

 俺も休み時間に数人の男子から話し掛けられたけど、とにかくだるかったので、必殺技を使ってやったぜ!

 えっ、どんな技かって?

 ふっ、特別に教えてやろう。


【就寝】


 うん、寝る。

 しかも俺は就寝時間を一分単位で操る事が出来る。

 凄いとは思わんかね?

 なんか昔から寝るばかりしていたせいで、そう言った芸が出来る様になってた。

 だから誰かが寄ってくるたびに、とにかく寝たんだぜ?


 そのせいでクラスメイトの矛先が全てあめに向いてしまったのは、本当に申し訳無いと思ってます。

 あめ、ほんとにごめんよ。


 あとさ、やっぱりあめって他の人と全然話せないんだな。

 行けたとして一言くらい。

 それもかなり挙動不審。


 そんな中、一人だけ話す事が出来る俺様。

 ふっ、謎の優越感があるぜ。


 因みに今日の昼休みは、人気の無い階段に座ってあめの作って来てくれたお弁当を一緒に食べました。


 屋上で食べたかったんだけど、俺の通っている高校では、上ると特別指導をくらって一週間の間、謹慎になってしまうんだな。

 皆の衆、これが現実だ!

 都合良く、俺達しかいない様な屋上なんてある訳が無いんだよ。

 もし仮に屋上が開いていたなら、確実にたくさんの生徒が集まり、東京の渋谷区みたいになるだろう。

 所詮学校で二人きりになれる場所なんて無いんだな。


 もう一度言う、これが現実だ!

 

 あ、それで俺達が使用した階段なんだけど、普段はあまり人気の無い場所のはずなのに、やたら人が通ったり、視線を感じたりしたのは何だったんだろうな。

 気のせいだとは思うけど。


 最後に聞いてくれよ。

 授業での話なんだけど。


 昨日、お前の分の授業プリントは無いんだ、とかぬかしやがった先生が、今日また「すまんな。どうせ一日で寝るだけの生活に戻ると思って、プリントは作って無いんだ。隣の人に見せて貰うか、寝るかしていなさい」って言って来たんだぜ?

 PTAに訴えても良いか?

 かなりイラっと来るんだけど。


 結局その授業はどうやって過ごしたかって?


 寝たわ!


 体育の先生。


「五月雨、ベンチで休んでいなさい」


 ‥‥‥命令形!?

 もう、勝手に決めて来やがった。

 ぼちぼちキレるぞ、こら。


 で、どうしたのかって?


 普通に授業をやったわ!


 みんなが一生懸命体を動かして必死にやっている中、木の陰で涼みながら寝ているやつなんて見た事あるか?

 絶対いないし、ふーがわりぃーだろ!


 英語の先生。


「Let sleeping!」


 うるせぇ!


 英語表現の先生。


「Please have quietly sleeping!」


 だまれ!


 まあそんな感じで、今日の学校生活は平和に終わりました。


 で、放課後は特に予定も無かったし、一直線にマイホームへ帰宅しようとしていたら校門を出た辺りで、あめに服の袖を掴まれ「‥‥‥一緒にひろとくんの家に行くんでしょ?」と言われ、現在歩いているなうです。


 正直言って、学校での出来事が平和すぎて、完全に忘れてました。

 あめが引き止めてくれなかったら、普通に一人で帰ってたわ。


 そんな感じの光景を目の当たりにした女子達が、やたら盛り上がっていた様な気がしたんだけど、気のせいだろう。

 うん、気のせいだ!


 スタッスタッ


「あめー」


 俺は12月らしい寒さを紛らわす為に、手をポケットの中へ突っ込んで歩きながら、隣にいるあめに話し掛けた。 


「‥‥‥ん?」

「そういえばさ、家に帰るのが遅くなったりして大丈夫なの?」


 あめは無表情で呟く。


「‥‥‥大丈夫。友達のおうちに遊びに行くって伝えたら‥‥‥今日はお泊りでもして来なさいって言われた」


 あらあら、良い親御さんじゃないですか。

 俺、そういう人好きだわ。


「そっか。なら良かった」

「‥‥‥ん」

「で、泊まるの?」


 ふと疑問に思いそう聞いてみると、あめは顔をラズベリーの様に赤くしながら答える。


「‥‥‥まだそう言うのは早いと思う」

「あ、了解です」


 まあ、もしあめが俺の家に泊まる様な状況になったとしたら、それは突然大雨が降り、雷が激しく鳴りだした時くらいだな。

 ‥‥‥これはフラグでは無いぞ?


「‥‥‥でも、もう少ししたら‥‥‥あの、泊まって‥‥‥みたい」


 ほぉう、中々良い心構えだな。


 でも、あめってなんか、だんだんと積極的になって来ている様な気がするんだけど、気のせい?

 ‥‥‥あ、そこら辺に生えている木のせいか。


 って言う全く面白くない冗談は置いといて、あめさんや。

 好きでもない男子にそんな感じの事を言うのは、止めといた方が良いぜ?

 男子ってのは勘違いをしやすい生物だからな。


 現に俺も今、あめって俺の事が好きなんじゃね? って思ったりしてるんだぜ?

 そんな事あるはずないのにな、ガハハ。

 まあとにかく─、


「─俺はいつでも歓迎だよ? あめとなら一晩を共にしても何とも無いし」


 夜中まで、同じ様な趣味を持った友達と話したり出来るのは、素直に嬉しい。

 趣味が似ている太陽達が、泊まりに来るって言って来たりしたら、嫌悪しか感じないと思うけど。

 その点、あめに関しては負の感情が全く無い。

 うん、むしろ泊まって欲しいもん!


 雨が降って欲しいもん!


 雷の雨が降って欲しいもん!


 ロン〇ヌスの槍が大量に降って欲しいもん!

 ‥‥‥家が壊れるがな!


「‥‥‥ん」


 俺の言葉にあめはおさまりが悪そうな表情をしながらも、少しずつ笑顔になって来た。


 やがて俺達は自慢のマイホームに到着すると、中へ入る為にドアを開ける。


 ガチャッ


「‥‥‥お邪魔します」

「どうぞ、多少の遠慮くらいしかしなくて良いからね~」

「‥‥‥お邪魔になるなら、私‥‥‥帰ろっか?」


 おいおい!


「待って、冗談だって! 遠慮しなくて良いから、上がって行きなさい」

「‥‥‥ん」


 帰ろうと背は向けていたものの、少し嬉しそうにしていたところからして、冗談で言ったのだろう。

 なんか、急にあめの方が立場が上になった感があるな。


「飲み物取って来るから、床の座布団か、座布団に座ってて」


 玄関で靴を脱ぎ、小さいリビングへ入った所で俺がそう言った。


「‥‥‥‥‥‥ん」


 なんか、間がいつもより長かったぞ。

 俺、なんか変な事言ったかね?


「あ、飲み物なんだけど、コーラとコーラ‥‥‥どっちにする?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥コーラ」


 なんか、更に間が長くなったぞ。

 俺、変な事言ってる?

 自覚無いんだけど。


 ‥‥‥まあ良いや。

 あめはコーラが良いって言ってるし、望みの品物をくれてやろう。

 にしても、俺とあめって相性良いかもな。

 まさかコーラ好きだとは思わんかったぜよ。


 俺は、冷蔵庫から二リットルのコーラを取り出すと、いつも愛用しているコップを二つ用意し、あめの近くに持って行く。


 この二リットルのコーラ‥‥‥昨日【デスティア・オンライン】の世界から帰って来た後でがぶ飲みしたやつだぜ。

 コップで飲んだか、直飲みしたか、どちらかよく憶えて無いんだよ。

 まあ、どっちだったとしても大丈夫だろ!

 死にはせん。


 この愛用しているコップ。

 正直洗っているのかどうか分からん。

 多分どちらか一つは、昨日確実に洗っているんだよ。

 でももう一つはと聞かれたら、答えは怪しい。

 全く記憶に無いでありんす。

 まあ、どっちだったとしても大丈夫だろ!

 死にはせん。


 自室に着くと、あめは特に本を物色する訳でも無く、ただ床の座布団に正座して、隣に学校の鞄を置いた状態で俺を待っていた。

 緊張しているのかな?


「お待たせー」


 俺がそう言うとあめはこちらを向き「‥‥‥ありがとう」と呟いて悦に入った様な顔をする。


 さてこれからどうしますかな。


 俺は早速、洗っているのかどうか分からんコップにコーラを注ぎながら、話し掛ける。


「で、まず何をする?」

「‥‥‥う~ん」


 あめは物凄く悩んでいる。

 

 俺の予想だと、自分から聖書を見せてとは言いづらいから、言われるのを待っているんだと思う。

 よし、行くか。


「じゃあ、早速だけど本題に入るか!」

「‥‥‥?」


 あれ? 分かってない?


「忘れてる? 俺が貧乳好きかどうか証明するって言ってたの」

「‥‥‥覚えてるけど、昨日、赤い閃光さん達からの勧誘を断わってた時に‥‥‥証明出来てたから大丈夫だよ?」


 あー、巨乳売春ちゃん達は無理ですって言ったやつな。


「そっか。でもどうせだから証明するぜ?」

「‥‥‥因みにどうやって証明するの?」


 どうやってって‥‥‥。

 そういえばまだ言って無かったっけ?

 個人的には聖書を見せるって伝えている様な気でいたんだけど?

 ‥‥‥でも今考えたら伝えて無かったかもしれん。


 正直思考回路がうるさすぎて、喋っているのか考えているのか分からない時がある。

 だが、俺は正常な人間だ。

 うん、正常だよな?

 そうだよな?


 まあそれは置いといて、一応本当の事を言った方が良いよな?

 急に見せたらビックリするだろ。


「俺の聖書を読んでもらえたら分かると思う」

「‥‥‥本?」

「ああ」


 薄い本だ。


「‥‥‥面白いの?」

「まあ、個人的には好きなんだよ。他の人は結構好き嫌いが分かれるみたいなんだけどさ」


 ロリ系が好きな人って、あんまりいないイメージがあるしな。


「‥‥‥見てみる」


 あめは無表情で頷いた。

 おぉ、これで了承が取れたな。


「分かった。じゃあついて来て。とはいってもすぐそばにあるあの机だけど」


 そうあの、学生には全く優しくない誘惑だらけの机だ。


「‥‥‥ん」


 俺は立ち上がり、机の目の前に行くと、一番下の引き出しを開ける。


 ガラガラ


「さてと」


 引き出しの中身を見たあめが呟く。


「‥‥‥アニメのDVD?」

「をずらした所にあるのが重要なんだよ」


 と言ってDVDを持ち上げると、指が一つ入るくらいの穴が見えた。


「‥‥‥穴?」

「そう」


 俺は穴に指を指し込むと、二重底の上側を持ち上げた。

 だんだんと、聖書が露わになる。


 上側の底を完全に持ち上げると、そこには表紙にスクール水着を着た二次元のロリ系イラストが描かれている、薄い本があった。

 この際だ、認めよう。

 これは俺のだ。

 昨日、友達のとか言って誤魔化そうとしたけど、うんあれ嘘です。


「‥‥‥やっぱり見ない」


 横からそんな声が聞こえてくる。


「えっ、なんで?」

「‥‥‥見たくないから」

「でも、俺が貧乳好きって言うのが、より分かると思うよ?」


 この手のジャンルに関しては、朝まで語れる自信がある。


「‥‥‥もう十分、分かった」

「あ、うん」


 まあ、俺が貧乳好きだと納得してくれた様で何よりです。

 俺はそう答えると、二重底を元通りにしていく。


 そこで気付いたんだが、‥‥‥俺ってさっきかなりデリカシーの無い事してなかった?

 よく考えたら、同級生の女子に、自分好みの薄い本を見せるってかなりやばい行為だろ。

 おい、数秒前の俺! 気付けよ!

 普通に気まずいんだが。


 やがて元通りにし終わると、あめはちぃとばかし顔を紅色に染めながらも呟く。


「‥‥‥ひろとくん」

「どうした?」


 やっぱり聖書が見たくなったのかね?

 それとも緊張で尿意があるのかい?

 正直に言いたまえ。


「‥‥‥本棚にある漫画を読んでも良い?」

「あ、あめって漫画も読むの?」

「‥‥‥あんまり読んだ事ないけど‥‥‥なんか面白そう」

「そうか。勿論良いぜ?」


 読んだからといって減るもんじゃ無いしな。

 むしろ、手垢が付着して質量が増えるくらいだ。


「‥‥‥ありがとう」


 その後、俺はパソコンで歌ってみた動画を流しながら、読みかけのWEB小説を読んでいった。


 あめがいる状態で【デスティア・オンライン】にフルダイブする訳にはいかないからな。


 てかさ、あめって元々、俺が貧乳好きなのかどうかを確かめる為に、家へ来たと思ってたんだけど、今の様子からして違うよな? 

 俺が巨乳嫌いって言うのは、昨日の時点で気付いてたみたいだし。


 ‥‥‥あれ?

 とすると、今日は何をしに来たんだろう。


 ただ単に俺の家に来たかっただけなのか?

 いや、でも普通好きでもない男子の家には行ったりしないだろ?


 ‥‥‥かなり勇気がいるけど聞いてみるか。

 昨日宣言してたしな。

 おら、わくわくすっぞぉ! とか軽いノリで言ってた覚えがある。


 よし、行くぞ!


「なあ、あめー?」


 俺が振り向きそう言うと、あめは漫画から視線を離しこちらを見る。


「‥‥‥ん?」

「改めて聞くんだけどさ‥‥‥俺の事どう思ってる?」


 少し直球すぎたかな。


「‥‥‥分からない」


 やっぱり答えてくれないか‥‥‥。

 まあ、良いや。

 うん、軽く行こう。


「因みに俺の気持ちなんだけど、聞きたいかね?」


 あめは一瞬びっくりした様な表情をしたが、無言で「‥‥‥ん」と頷いた。

 少し知りたそうだ。


「正直に言うと、分からない」

「‥‥‥」

「だんだん自分自身の事が分からなくなって来ているんだよ。好感度が上がって行っているのは確実なんだけど」

「‥‥‥なんで分からないのに言ったの?」

「俺が正直に言ったら、あめも教えてくれるかなって」

「‥‥‥そもそも、どうして私の気持ちを‥‥‥知りたいの?」


 あめが顔を無花果の様に赤くしながらも、首を傾げて聞いてきた。


「気になるから、かな?」

「‥‥‥じゃあ、またいつか教える」


 まあ、この状況じゃ、普通って言いずらいよな。


「分かった。気長に待ってる」


 俺はそう言うと、再びパソコンの方に目をやり、小説を読んでいく。


 でもなんだろうな。

 あめがいるだけで結構落ち着くっていうか、ただ後ろで本を読んでいるだけなのに、場が和むんだよ。


 その後、ただお互い無言で過ごしていき、どのくらいの時間が経っただろうか。


 WEB小説が一段落着き、ふと時計を見てみると、もうすでにかなり遅い時間になっていた。


 この季節だと、確実に夜の帳が降りているだろう。


「あめ。結構遅くなって来てるけど、大丈夫なの?」


 俺は別に泊まってくれても構わんぜ?


「‥‥‥あ、じゃあそろそろ、帰ろうかな」


 ‥‥‥やっぱり帰ってしまうのかね?


「そうか。まあ途中まで送るよ」

「‥‥‥ん。ありがと」


 という事で、適当にスマホと家の鍵だけを持つと、玄関の扉を開け外へ出る。


 ガチャッ


 ザァザァザァザァ

 ゴロゴロ!!


「いや、雷が鳴ってるじゃん」


 めちゃくちゃ大雨だな。

 歌ってみたの動画がうるさすぎて、全然気づいて無かったんだけど。

 

 てか、ありがちなパターン来たぞ、おい!


「‥‥‥どうしよ」

「傘はあるけど、雷が鳴ってるんじゃ危ないよな?」


 俺の問いかけに、あめは学校の鞄を握り締めながら答える。


「‥‥‥うん。‥‥‥か、帰れそうにない」

「じゃあ泊まっていくかい?」

「‥‥‥ん。‥‥‥仕方ないけどそうする」


 仕方ないとは言っているが、顔を見る限り少し嬉しそうに見えるんだが。

 まあ、気のせいかな。


 という事で、再び家の中に戻る。


 さぁて、楽しいお泊り会の始まり、始まりぃ~だな。

読んでくださりありがとうございます。

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