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最強魔女さんの混沌とした日常  作者: クリオネ
第三章
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第69話 女性に年齢の話はアウトです


 北の森へ到着した時には、パンデミアさんと思われる反応は更に森の奥へと進んでいた。

 まだ時間的には夜半前だ。さっさと連れ帰って皆の水着を作らないといけないのに。


 そう言えばどうしてパンデミアさんは単独行動なんて取っているんだろうか。まぁ、そこら辺は取っ捕まえてから聞けばいいよね。高級なお酒を目の前で飲み干しながらね。


「......この森、魔物いる?」

「居そうですね。それにかなり広いと思います」


 ラ・ビールの言う通り魔物の反応もあるが、そこまで強いやつは居ない。手負いのステラ一人でも余裕なくらいだろう。

 いくらこの森が広いと言っても、私達には移動手段があるから問題は無いのだ。


 私は近くの木に近付き軽くノックする。


「あー、ライアさん? ちょっと手伝って欲しいんだけど」


 すると、木が大きく揺れ沢山の葉が落ちてくる。それらが風も吹いていないのにつむじ風のようにクルクルと舞い踊る。一切の隙間も無く木の葉で埋まると、中から変な笑い声が聞こえてきた。


「ふっふっふ。私を呼ぶ声がするっ! 天が、地が、アスカが私を呼ぶ声がした!」


 妙なポーズと共に木の葉が飛び散って中からライアさんが現れる。相変わらず局部しか隠れていない格好はアルテリアさんよりも痴女だと思う。

 それにしてもこの登場の仕方は一昔前の瞬間移動マジックみたいで見世物としてはいいかもしれない。

 転移なんかがある世界じゃ瞬間移動なんかで驚く人はいなさそうだけどね。


「おー、緑の人です! 緑の人が突然出てきましたよ!」

「流石ドライアド様だな!」


 驚いてる人が二人いた。

 私は森の中に探し人がいるからその人の所まで連れて行ってくれと説明する。


「うーん、森の事なら粗方分かるんだけどねぇ。この森、私の森じゃないから移動させてあげるのはちょっと無理かなぁ。この森のドライアドに頼めば行けると思うけど......面倒な子だよ?」


 まさかのライアさんが使えない事件。面倒なのか......もう帰ろうかな......。

 ライアさんは、「ごめんごめん」と軽く誤ってからレヴィと戯れている。

 仕方が無いのでこの森のドライアドを探しながら反応の示す方向へも向かおうとすると、今度は空間に歪みが生じる。これはライアさんと初めて会った時、私が結界をぶち破った時と同じ感じだ。


「ちょっとちょっと、荒くれ者ライア! 私の森は、絶対に渡さないんだからー! ってあれ......?」


 初見のライアさんと同じくらいちみっ子な緑色の女の子が飛び出してきた。

 飛び出してくるなりライアさんを敵意剥き出しで指差して宣言したかと思うと、その状態でフリーズしてしまった。


「お、イア! 奪いに来たんじゃないから、安心していいよ。アスカ丁度良かったじゃん。この子がこの森のドライアドのイアだよ」

「そう。私はアスカ。よろしくね」

「え、あ、よろしく......。イアです......ライアが大人、なんで......?」


 放心状態のイアちゃん。どうやらライアさんの我が儘ボディに茫然と立ち尽くしているようだ。


 私だって羨ましいけど、いざとなればライアさんから私の魔力を吸い取ればまた子供に戻るだろうし、どっかの校長みたいに憎くはない。

 色々手伝って貰ったりしてるもんね。


「おーい、イアー?」

「はっ! 羨ましくなんかないわよ! そんな事よりなんでこんな所に来てるのよ! もしかして......私に会いに来たの!? それならそうと――」

「あーはいはい、そうですそうです。ってな訳でアスカに協力してくれる?」

「え、なんでこんな人間を手伝わなきゃいけないのよ。嫌だけど、嫌だけどライアが手伝って欲しいんならやってあげない事も、無いけどぉ?」


 うわー、ライアさんがとことん引いてる姿なんて初めて見たかも。魔王殺しとやらを引かせる幼女イアちゃん......。この子も恐ろしい存在なのかな。


「ね? 面倒でしょ? アスカも普通に走った方がいいと思うわよ。この子まだ子供だし」

「こっ、こここ子供じゃないわよ! 今年で百八十歳よ! そもそもライアが頭おかしいんでしょ! 普通は自分の森を持ってるドライアドが自分の森から出れるなんてのも聞いたことないし!」

「私から見ればそんなの子供(ガキ)子供(ガキ)。思い込みも激しいし、まともに森林転移も使えないし、それでも土地契約してんの?」

「ガキって言うな! 使えなくたって不便じゃないもん! 適当な魔物放ってるから誰も近付かないからそんなのどうでもいいもん!」


 へぇ、イアちゃんちっちゃくても百八十歳なんだね。それを子供扱いするライアさんって一体何歳なんだろうか。多分五百歳は超えてそうだよね。


 それにしても二人で喧嘩始めちゃって私達は完全に蚊帳の外になってしまった。

 おうおう、白熱してるねぇ。


 仕方ないのでリサーナを抱き上げて先を急ぐことにした。レヴィがチラチラと後ろを気にしているけど、確かにあれは面倒臭そうな子だったね。

 後ろからまだ怒号が飛び交うような言い合いが続いている。


「このっ......ライアのババア!」


 そんな言葉が聞こえた後は何も聞こえなくなった。

 何が起こったのかは考えないようにしよう。高齢である人に「ババア」は絶対禁句だよね。見た目若いなら尚更。それを破ったイアちゃんは手痛いお仕置きを受けたのは言うまでもないのであろう......。


 いつの間にか隣には頬を膨らませたババ――ライアさんがいた。


「アスカは何歳まで若いと思う?」


 年齢に関する話は苦手だ。人間換算ならば凡そ三十路手前までが若いと括られるのだろうけれど、相手は魔王すらも殺す悪魔のようなドライアドだ。それはもう人間とは比べ物にならないくらい長生きしているのだろう。


 悪魔? 悪魔! そうだよ、ラ・ビールがいるじゃん。ラ・ビールに助けを求めよう!


「ラ・ビールは何歳までが若いと思うかな?」

「私ですか? 私は二百六十五歳ですから、アスカ様達から見れば年老いていると思いますね。ですが悪魔の中ではまだまだ若い方ですよ。それに、一番老いている悪魔は一万歳超えていると聞いたことあります」


 ラ・ビールってそんな年齢なんだ。鑑定じゃ年齢不詳って出てたから知らなかった。

 その事も踏まえて考えると、千歳くらいまで若いと言えるのかな?


「せ、千歳......?」

「ふーん、あっ、そう......」


 ライアさんがそっぽを向くも、どこか嬉しそうに頭の葉っぱをピコピコさせる。正解だったみたいだ。ギャルゲーで選択肢合ってたくらいの達成感を感じるな。


 そんなやり取りをしながら、片手間に魔物を屠りながらパンデミアさんと思わしき反応に近付いて行く。

 暫く進んでいると、反応が森の中心付近で止まる。私達もそこへ向かうと、月明かりに照らされる森の拓けた場所に出た。


「封印の神殿......?」

「あっ、パンデミアさんいますよ!」


 レヴィが呟き、リサーナが神殿の前で縮こまるパンデミアさんの下へ向かう。今回は正解のようだ。

 確かに、どこか竜鱗族の里付近にあった封印の神殿に似ている。


 私は暗視で見えている視覚を拡張し、様子のおかしいパンデミアさんの様子を伺う。

 私は咄嗟の判断で地面を蹴り、近付くリサーナに追い付き気絶させる。これは、見せちゃダメなやつだ。


「む? アスカか。何故ここに居ると分かったのだ?」

「はぁ......何してんの?」


 いつものように振り返るパンデミアさんの口元は、血で汚れ、その手に持つナニかはモザイクもかかっていないリアルな内蔵だった。


「......人間、食べてる?」

「違うぞ? そんな事したらアスカに殺されかねないしな。それに、人は食い飽きたものだ。これは......」


 ステラの質問に軽快に答え、視線を肉塊に移し話し出した。


「これは、我の分霊だな」


 パンデミアさん曰く、三百年前に三つに分かれた魂の内の一つがこのウィルガルムの森の中に封印されていたらしい。これは自分の魂が放つSOSのようなモノを受信していたようで、それをキャッチして単独行動に出たとの事。

 魂と言う存在が確かに存在し認知される世界でも、これは珍しいようで、ステラとラ・ビールは驚いていた。レヴィは興味が無いようでライアさんと遊んでいる。

 ライアさんは、森の事で知らない事は無いそうで、この事も私が呼んだ時から分かっていたそうだ。それならそれで教えて欲しかったんだけどね。


 それで、封印の神殿の封印を解き、自身の分霊を食っているという事か。何事も無くトラブルに巻き込まれていないようで私達としては良かったと胸を撫で下ろした。

 いや、パンデミアさんはどちらかと言うとトラブルの中心にいるような人物だよね。起こす側と言うか。


「それで食べていたんだがな、味が単調で飽きてくるのだ。アスカ、調理してくれないか?」

「無理」


 いや、そんな生々しいスプラッタな光景を見せられて調理をしようだなんていうサイコな私じゃないよ。

 そもそも大きな血溜まりとグロテスクな内蔵、そして何か言い出しそうな死体の顔が私の気力を根刮ぎ奪っていくもんね。無理だ。


 パンデミアさんは何度も頼んでくるが安い酒を渡すだけにした。私は宣言通り高い酒を目の前で飲んだけどね。


「ふぅ、これであと一つだな。あと一つはどこにあるのやら」


「知らないよ......。――っ!?」

「むっ!?」

「......何」

「これは......」

「何だ!」


 突然ウィルガルムより西の方角から大きな魔力反応が飛んでくる。存在だけではない、何か......禁忌の魔法の気配。それも、この感じだと失敗したのだろう。


「......これは、勇者召喚の儀ね」

「勇者召喚の儀? シュバルが言ってたやつか......」


 勇者召喚。この前のシュバルとか言う自称神様が忠告のように告げて言った中にこれがあったね。

 どこでやるって言ってたっけな......。


「この方角はバートゥーン王国ですね」

「......ん、魔道具で有名なとこ」

「今ので、誰かが死んだな」


 パンデミアさんとライアさんの表情が怒りに染まっている。

 子供の命を捨てる魔法。

 ......さて、どうしたものか。


「私はもう少し様子見するよ。前回は運が良くて一人の犠牲で済んだけど、今回は何人死ぬかな。......クズめ」


 同族の命をを嬉嬉として捧げる人間を心底軽蔑しながら、怒りを隠す事無くライアさんは草木に巻かれるようにして消えていく。恐らく帰ったんだろうね。




 気絶しているリサーナを起こして私達は転移する。

 皆も疲れただろうし、宿に戻り次第寝る準備を始める。その際、全裸になった状態でステラが私に飛び付いてきた。


「ちょっ......服を着て......」

「......問題無い。むしろこの方が早いから」


 ステラは徐に私の服を脱がしていく。やけにスムーズに器用に左腕だけで脱がせているのは気のせいだろうか? ......時々起きたら妙にはだけていたのはステラの仕業だったのか。


「......今日で宿を引き払うなら、最後くらい楽しもう」

「最後くらいって......いつかも私は襲われた記憶があるんだけど?」

「......それは、記憶違い」


 水着作らないといけないのにな......。私は抵抗しようものの加減を間違えたら怪我させてしまうのでされるがままだ。

 この前よりもステラの攻めが上手くなっている気がする。


 と、そこへお花を摘みに行っていたリサーナと食堂で漁ってきたレヴィとラ・ビール達が戻り、この状況を見るなり


「ステラだけずるいですよ! 私もやります〜!」

「何をするんだ? 私も混ぜて〜」

「あっ、私も......」


 私は、正面から受けて立つ!


 暫くすると、美少女塗れになっていた。結構な汗をかきながら皆疲れて眠ってしまった。私はこれから水着作りだ......。

 水魔法の水霧(ミスト)で全員を軽く湿らせてから布で拭き取る。その後、優しく温風を送りゆっくりと乾かす。



 その後、着替えた私は部屋の隅っこで水着の作成に取り掛かった。


 明け方、リサーナが一番に目を覚まして少しだけ手伝ってくれた。リサーナからいい匂いがしたので私は満足でした。

 全員とプラスアルファ分が完成したのは、リサーナが再び寝落ちした後だった。既に街は起きてこれから働き始める時間だった。


 結局私は一睡もせずに遊びに出かけることになってしまった......。

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