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最強魔女さんの混沌とした日常  作者: クリオネ
第三章
71/108

第64話 逃がしはしない

巨乳ですよ巨乳。久しぶりの巨乳美人さんです。

ライアさん? あの子は幼女が本体ですから(大嘘)


5万PVありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!


「あのー、すみません」

「はいはい、何か御用ですか? あら、冒険者さん?」


 私達一行は学校の受付のような場所へ向かった。


 内装は、派手でもなく地味でもない感じで教育の場としては相応しいのだろう。

 受付はギルドと似ていて、私達に対応してくれたのは中年くらいのふくよかな女性だった。

 私の仮面を見るなり冒険者と間違われる。私は特に気にしないので軽く流す。


「そんなものです。私達、少し授業を見学してみたいんですがよろしいですか?」

「問題ありませんよ。何処をご希望されますか?」


 営業スマイルで丁寧に対応してくれる。それにしても結構簡単に通して貰えるんだね。

 私達は各々の希望を伝える。因みにラ・ビールは人間の姿に化けている。パンデミアさんは......ステルスのように姿を消している。そんな事出来るなら私の異界(アナザーワールド)に引き篭もってる必要無いじゃないか。


「申し訳ございません。魔力操作の授業は、現在は特別なお客様がいらっしゃっていて、見学させる事は出来なくなっております」


 私とレヴィ、ラ・ビールの希望を言った所、そう返された。


「特別なお客様?」

「お答えする事は出来ません」


 ま、そりゃそうか。私とラ・ビールはともかく、レヴィが物凄く落ち込んでしまっていたので、リサーナとステラには先に言ってもらう事にした。授業が間もなく始まるそうだ。


「それじゃあ、終わったらまたここに」

「はい!」

「......ん」


 パンデミアさんは一人で何処かに行ってしまったのでもう知らん。

 リサーナとステラは、事務員のような方達に案内され、それぞれ違う方向へと向かっていった。


「あの......皆様はどうされますか?」


 下唇を噛み締め、今にも涙が零れてしまいそうな程目に涙を溜めているレヴィを宥めている私達を見て、受付の女性は少し引き気味に尋ねてくる。


「あー、えっと、そのー......」

「よろしければ校舎内を見て回られては......?」


 私が答えに詰まっていると、受付の女性が遠回しに早くどっか行け、と言われたので素直に従うことにした。

 私達は三人で学校内を見て回る事にした。


 レヴィはレンジの実をあげたら元気になった。




「まさかの展開でしたね......」

「結構順調だったから行けると思ったんだけどねぇ」

「全く、酷いのだ! ぁむ、最終手段は無理矢理乗り込むのもアリだな!」


 いや、無いからね?

 レンジの実を齧りながら物騒な事を言うレヴィ。


 この学校は全て長屋のように幾つもの教室が連なって出来ているようで、今も何処かの教室の前を通り過ぎる。防音の魔法が張られているようで、教室からは一切音が漏れてこない。


「とりあえず、中庭に向かってみようか」


 以前確認した時に見た校舎と校舎の隙間に作られた比較的大きな空間があったのを思い出す。


「そうだな、少しは体を動かしたいしな! 行こう、行こう!」

「あ、待ってくださーい! レヴィさん走ると危ないですよ!」


 中庭と聞いて、魔力操作の事はもうどうでも良くなったのか、吹っ切れた表情で私の腕を引いて走るレヴィ。それを後ろからラ・ビールが注意しながら追いかけてくる。ラ・ビールってお母さんみたいだよね。




 少し進むと、中庭のような場所の前に辿り着く。

 レヴィが嬉嬉として飛び込もうとすると、


「む、何だ? これ以上進めないのだ」


 レヴィの言う通り、何か見えない壁に阻まれてそれ以上先には進めなくなっている。


 ......これは、結界かな? 破るのは簡単だが以前やったやり方だと校舎が全損しかねない。

 と言うよりも、何故結界を張っているのかが分からないのでそんな簡単に破っていいものではないと思う。


 そう、私だって成長するのだよ。


「何で結界が張ってあるんだろうね?」

「さぁ......分かりかねますね。ですが、結界は何かを守るために張るものですので、中で何かを守っているのではないでしょうか?」


 へー、そうなんだ。確かにライアさんの結界も竜鱗族の里を守るために張ってあったもんね。

 じゃあ、ここも何かを守っているって訳か。


 そんな事を思った直後、鈍い音が響いた。


「いっ、たぁ......」


 レヴィが拳を摩っていた。痛かったんだね。


「って、何してるの!?」

「え? いや、壊せないかなって思ったんだがな。かなり固いぞこれ」


 そんなキメ顔で言われてもね......。

 て言うかラ・ビールの話聞いてたのかな? いや、聞いてないよね......竜鱗族はジークに並ぶ脳筋族だもんね。


「ほらほら、ここは入れないみたいだから、他の所行こうか」

「......やだ」


 レヴィが拳を握りしめて俯き、震えながら答える。

 私とラ・ビールの顔が青くなる。


「レ、レヴィさん! 泣かないで下さい!」

「ぐすっ、泣いて、泣いてなんかないもん......」


 レヴィが腕で涙を拭いながらそう答える。

 くっ! ラ・ビールが早々に諦めた! ならば必殺のアイテム、コカトリスさんの出番だ!


「ほ、ほら、レヴィ? コカトリスさん食べる?」

「...........要らない。レヴィは、レヴィは皆と遊びたいのに......」


 少し間があったけど断られた!

 しかし、そんな事を言われたら私、張り切っちゃうよ!? ええぃ、ままよ! 為るように為れ!


「そぉいっ!」


 もし私が先生とかになって教える事になったら絶対に非難殺到されるかもしれないな。


 結界のぶち抜き方? 勢いとフィーリングだよね。


 ラ・ビールが驚愕に満ちた表情の後に、何か悟った表情をして、最後に私を尊敬するような瞳で見つめてきた。少し、照れるなぁ。


 固い結界を拳一つで突き破ると、そこに小さな穴が出来る。すぐに修復が始まったので、完全に閉じる前に私達は中庭に飛び込んだ。




「き、綺麗ですね......」

「広い! 広いー!」


 そこには、様々な草木が生い茂っていた。そして空にはそれらを照らす陽の光。明らからに外とは違う空間のようだった。


異界(アナザーワールド)......?」


 上空から見た時の範囲よりも数倍の規模の広さと、この目の前の環境を考えるとそれしか考えられなかった。


「そのようですね。空間魔法の感じがしてます。それも、かなり強力ですよ」


 ラ・ビールも気付いたようだ。少し警戒しておこう。


「あははははは! わーい、わーい!」


 そんな私達の緊張感を破るようにレヴィがあっちへ行ったりこっちへ行ったりして遊んでいる。


「レヴィー!」

「アスカも、ラ・ビールも遊ぼー!」


 満面の笑みで私達の腕を引くレヴィ。私達は仕方ないか、と目線で語りレヴィと少しばかり遊ぶ事にした。




「はぁ、はぁ、はぁ......」

「ふぅーーー! 楽しかったぞ!」


 ラ・ビールとレヴィは疲れ切って、芝生の上に仰向けで倒れ込んでいた。


 魔法禁止の、純粋な身体能力だけの追いかけっこ。それは前世で考えると子供達がはしゃぐ可愛らしい景色が想像出来ると思うが、こちらでは違う。捕まったら最悪、死ぬ。


 いや、まぁ、私が追いかける側なんだから殺しはしないよ。

 捕まったら三分間のくすぐりの刑だ。

 ラ・ビールは首や耳が弱く、更に悪魔の状態だと尻尾と羽根の付け根が弱かった。

 途中から悪魔の状態に戻って逃げていたが、私からは逃げられないのだ。


 レヴィは何処を擽っても弱かった。特にお腹が弱かったな。二人共可愛くて、ついつい時間も忘れて擽っていたのは仕方が無い。


 私は側にあった椅子に腰掛け、一息つく。


「レヴィの体力って、無尽蔵なのかな」


 疲労を殆ど感じない私でも、少し疲れたと思う。ラ・ビールなんてまだ荒い呼吸を繰り返している。悪魔相手にここまでとは......。レヴィが元に戻ったらもっと大変そうだな。


「へぇ、竜鱗族の子に悪魔とは。珍しいね」

「っ!?」


 背後から声がしたと思い振り返ると、そこには一人の女性が立っていた。


「ふぁ......。そしてぇ、その主は謎の仮面の......女性?」


 真っ黒な腰まで伸びた髪を風に靡かせ、優雅な雰囲気を漂わせ腰に手を当てて立つ均整な顔立ちの女性。

 しかし、その服装がこの場に似つかわしくなかった。まるで寝起きのような薄い青色のネグリジェ姿で欠伸をしていたのだ。

 その......物凄く際どい服装な上に、しっかりと出る所は出ているのでムカつく。

 ライアさんといい勝負だろう。


「貴女は?」

「はぁ、はぁ......だ、誰ですか?」

「む?」


 ラ・ビールが私を守ろうと前に立つ。が、まだ呼吸が整っていないようなのでそっと後ろへやる。


「聞くよりも先に自分達の事を話すのがセオリーってもんじゃないのかしら?」

「それもそうか。私は、アスカ。こっちの悪魔がラ・ビールで、こっちのちっちゃいのがレヴィ」

「む? 本当はもっと大きいぞ!」


 レヴィがなんか行ってるけど今は小さいから小さいのだ。

 隠すこと無く話してしまったけど既にバレている事だから大丈夫だろうか?


「本当に竜鱗族とはねぇ。もしやと思ってカマかけたつもりだったんだけど、これは予想外だったよ」


 大丈夫じゃなかった。


「おっと、ちゃんと話してくれたんだから、私もちゃんと自己紹介しないとだね。私はアルテリア・カイゼル。カイゼル冒険者育成学校の学校長をしているわ。気軽にテリアって呼んでね」

「ん? 学校長? どこの?」

「え? ここの」

「え?」

「うん」


「「えぇぇぇ!?」」

「む?」


 私とラ・ビールは盛大に驚いたものの、レヴィだけは何が何だか分からない様子で私達と目の前の校長とを目線が行ったり来たりしている。

 当の本人は私達の驚き様に少し驚いていた。


「知らなかったの!?」


 この学校って、やっぱり冒険者育成学校なんだね......。誰も学校名なんて教えてくれなかったから、今初めて知ったよ。


 この旨をレヴィにもわかりやすく説明してあげると、遅れて一人驚いていた。


「て言うか、アスカ達はなんでここにいるのかしら? ちゃんと結界張っておいた筈なんだけどな......迷子でも入れる訳無いし......」

「あっ、それはアスカがむぐむぐむぐむぐー!」

「さ、さぁ、何ででしょうね」

「......?」


 完全に怪しまれているな、これ。

 こんな所でこの学校の最高責任者にエンカウントするなんて思ってもなかった。ましてやアルテリアさんの感じから見ると、プライベートな場所だと分かるし。

 レヴィが余計な事を漏らす前に退散しないと。


「それじゃあ、私達はこのくらいで帰りますね。お邪魔しましたー......」

「ちょっと待ちなさい! 貴女、何か隠してない? それにそこの悪魔さんも、普通の悪魔なんかじゃないでしょう?」


 帰ろうとすると、すぐさま肩を掴まれた。更には何かの魔法を発動しているのが分かる。私はともかくレヴィとラ・ビールが金縛りにあったように動けなくなっている。

 私はすぐに二人にかかっている魔法に介入し、魔力の流れを逆流させる。


「えっ!? 嘘でしょ!?」


 するとアルテリアさんの目の前に魔法陣が強く浮かび上がり、小規模の爆発が起きた。

 私と同じ無詠唱かと思ったら、魔法陣を見えなくする事も可能なのね。今度試してみよーっと。


 私は気を失った二人を抱えて外へ向かう。もちろん、アルテリアさんも追いかけてくる。私に迫る程のかなりのスピードだ。全速力かな?


「逃がさないわよ! はぁ、何をするつもりなのかっ、話なさいっ! それに......」


 私達が結界の張ってあるギリギリの所まで迫ると、息を切らしながらもドヤ顔で言い放った。

 疲れるなら無理しなければいいのに。


「結界が、あるからねっ!」

「そぉ、れっ!」


 私は逃げる勢いそのままに某仮面を付けたライダーも驚くライ〇ーキックを決める。

 少しの抵抗があったものの、足から結界へと魔力を流すと、その部分の強度が落ちて柔くなる事に気付いた私に隙は無かった。


「はぁ!?」


 結界はすぐに修復を始めるが、アルテリアさんも驚きながらその穴を抜ける。


「う......アスカ様......」

「あ、ラ・ビール起きた? 逃げるよっ。ステラをお願い。そこを右に曲がって四つ目の部屋ね! 回収したらあの場所で!」

「はっ、はいっ!!」


 目が覚め、いい返事をするラ・ビールを曲がり角で放り投げる。戸惑いつつも即座に翼を広げて四つ目の部屋のステラを迎えに行かせる。アルテリアさんはラ・ビールには目もくれず私を追いかける。


 私は学校が壊れないように走っているため速度が出せない。しかし、アルテリアさんは床を思いっ切り踏み抜いている。が、アルテリアさんの通った後は何も無かったかのように元に戻る。不思議だ。


「うおー! すごいー! ひゃっほー!」


 いつの間にか目を覚ましたレヴィは、楽しそうにはしゃいでいた。気分はジェットコースターかな?


 私はリサーナを迎えにある教室を目指す。しかし、ここからだと遠回りになるため、アルテリアさんに追いつかれる可能性がある。


 ならば、教室を通り抜けるしかない!

 アルテリアさんの様子を見る限りだと、壊れた箇所は完全に復元されているようだ。なら、私も壊してもいいよね。


「レヴィ、気を付けてね!」

「おうっ〜!」


 気の抜ける返事ですこと。

 私は魔法で目の前の壁を破壊する。

 直後、教室にいた生徒達数十人の驚き、恐怖に満ちた視線に晒される。その中でも、たった一人だけがラ・ビールと同じような瞳で見つめてくる者がいた。傍らにはボディーガードのようなメイド。その横には誰よりも青い表情の男の子がいた。


「コラぁぁ!!」


 アルテリアさんも私が壊した壁の穴を通り抜けて追いかけてくる。アルテリアさんが通り抜けると共に、穴が元通りに塞がる。

 今度こそ本当の追いかけっこってやつだ。


 誰にも怪我をさせないように気を付けながら、私は転移の準備をする。

 それに呼応するかのように、アルテリアさんも何かの魔法の詠唱を始めた。

 相変わらず冒頭部分は殆ど聞き取れないな。


「空間よ、捻じ曲がれ。世界の理を砕き......」


 途中で詠唱を辞めた......? いや、中断か。

 そんな事をしながらも、リサーナのいる教室へと辿り着いた。


「アイリスっ!」

「あ、アスカじゃないですか」

「えっ、アスカさん!? なんで!?」


 久しぶりに偽名を叫んだな。

 あれ、セラも一緒か。まぁいいか。

 リサーナを抱き寄せ、転移を発動させて受付の前へと向かう。


「逃がさないわよ! 転移(テレポート)!」

「えっ!? 校長先生!?」


 一々良い反応を示すセラだ。やはり、転移か。

 受付へと転移した私達の前にアルテリアさんも現れる。ラ・ビールとステラは既に到着していた。


「はぁ、はぁ......貴女、本当に何者なの? さぁ、答えてもらうわよ!」

「残念ですが、お断りします」

「なっ!」


 私はこっそり用意しておいたもう一つの転移を発動させ、宿へと戻る。何か忘れている気がするけれど、まぁいいでしょう。


 と言うか同じ魔法を二つ用意するのって結構大変だね。一度発動させる時よりも更に倍を消費するんだもの。


 宿へ戻り、突然の出来事に説明を求めるステラに事の顛末を話す。

 しかし、突然空間が歪む。

 どうやら学校長はまだ諦めていなかったようで、


「逃がしま、せん、よぉぉ......!」

「あはは......」


 疲労困憊な状態でも、鬼気迫る勢いで空間の歪みからゾンビのようにフラフラと出てくるアルテリアさん。



 ちょっと、やばいかも......?

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