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最強魔女さんの混沌とした日常  作者: クリオネ
第三章
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53話 冒険者登録

ラ・ビール視点です。


「ふんふんふふーん!」

「ご機嫌だなリサ......アイリス?」


 私は今、神聖帝都ウィルガルムの大通りをリサーナさんとレヴィさんを追いかけるようにして飛行しています。


 リサーナさんとレヴィさんをギルドで冒険者登録させるというミッションをアスカ様から承ったからです! その時、アスカ様から、「二人ともお金持ってないからさ、ラ・ビールに渡しておくよ」と言って金貨一枚渡されました! あの時の手の温もりが......うへへへ......はっ! わ、私は一体何を......!


「そうでしょう、そうでしょう! アスカから頼まれたんです。つまり、私を頼ってくれてるんです! ふふふ、ついにアスカが私に頼み事をしてくるまでに私は成長したんです......!」

「お、おぉ......それは、良かったな......」


 リサーナさんは思い込みが激しいと言うか、アスカ様の事を愛していらっしゃるご様子です。見ているこちらが少し引くくらいに......

 でもでも! アスカ様は私に求婚して下さったではないですか! アスカ様が知らずにやった事と言えど既成事実は既に整っているのです......! 後は私がアスカ様に見合う悪魔にならなければ......っと話が逸れてしまいましたね。


「ところで、ギルドってどこにあるんですかね?」

「アスカは大通りを真っ直ぐ行けば目立つ建物があるからって言ってたぞ?」

「そうですね、この大通りを......ってあれ?」

「わっ、ラ・ビールいつの間にいたんですか!」


 先程までリサーナさんとレヴィさんが歩いていた大通りはいつの間にか普通の通り程までの幅になっているではありませんか。


 大通りは横幅だけでも馬車が四台並んでも通れる程の、その名の通り大通りだったのですが、今いる通りは馬車一台が通れるくらいかもしれません。


「とりあえず来た道を戻ってみましょうか」

「そうですね。そうします」

「ギルドってどんな所なんだ?」


 私達は来た道を戻りながらレヴィさんにギルドの事を教えました。レヴィさんはアスカ様曰く、世間知らずと言うようですね。懇切丁寧に説明しました。


「なるほど、冒険者は時々里の方にも来てたな。私よりは弱かったから言う程でもないのか」

「レヴィは強いですからね。きっと負け無しですよ!」

「そうだぞ! 私は竜鱗族でも一番強かったんだから!」


 人通りの少ない通りで、レヴィさんが竜鱗族と発した時、道の端などからたくさんの視線が飛んできました。どれもレヴィさんを見ている様子......。


 それにしてもこんな幼女が竜鱗族最強なのでしょうか? 竜鱗族は戦闘種族で、どんな人も体が大きいとか聞いたことがあるんですけどね。不思議です。でも、一番不思議なのはアスカ様なんですけどね。


 あの仮面の下の素顔を見てみたいです! リサーナ様が言うには、「超絶可愛い美人さん」とのことでした。レヴィさんは「仮面の方がかっこいいだろ?」だそうで、確かに仮面もかっこいいですが素顔を見てみたいんですよね。

 そして時々出てくる自称魔王と言うパンデミア様。魔王らしくないと言いますか、悪魔らしくない私が言うのも何ですが......。魔力の量なら私の方が多いように感じるのは気のせいなのでしょうか。あの方も不思議です。でも、何故か尊敬出来る人なのです。

 後、ステラさんも。私のせいで部位欠損してしまったのに全く気にしていないようなのが不思議で堪らないのです。あの方は私を憎んだりしていないのでしょうか? ステラさんが私を殺すと言うならばアスカ様が止められても私は殺される事を願えるでしょう。なのに、ステラさんはそんな事どうでも良さそうにしているのです。


 やっぱり、アスカ様の周りは不思議な人達がたくさんで面白いですね。

 と、そんな事を考えていますと、


「あれ? ここはどこですかね?」

「ん? 大通りってどっちだ?」


 案の定、二人に任せたらすぐに迷子になりました。ここは私がしっかりと案内しなければいけません! もしかしてこれはアスカ様が私に与えた最初の試練なのでしょうか!? これは絶対に果たさねばなりません!


「リサーナさん、レヴィさん、私に付いてきてくださいね?」

「案内してくれるのか?」

「すみません......どこに行っていいのかわからなくて......」


 私はアスカ様のやっていた様に魔法の目と言う物を作り出して飛ばしてみる。

 アスカ様は一度に何十個も飛ばしているのに対して、私は一つ作るので精一杯でした。本当に憧れます。


「こちらですね。絶対! はぐれないようにしてくださいね!」

「はい!」

「わかった」


 お二人はいい子なんですけどね、素直すぎると言うか、ちょっとおバカな点がありますね。


 そうしてしばらく大通りを目指して歩かせていますと、前方から男の集団が近付いてきました。その数は四人ですね。


「おい姉ちゃんよぉ、そこの竜鱗族置いていけや」

「悪い事は言わねぇよ? ここに置いてどっか行ってくれればいいだけだからよ」


 やっぱり、レヴィさん目当てでしたね。私としては奴隷制度は嫌いです。同じ人を人として見てない人族は恥を知るべきなのです。


「これ以上は近寄らないでください。私が許しませんよ」


 あ、あれ? せっかく前に出て守ろうとしたのに男達は気付いてくれません。あ、認識阻害をかけたままでしたね。早速解いて......これはこのままやった方がいいかもしれませんね。


「リサ......アイリス、私はちょっと気持ち悪くなってきたぞ......」

「レヴィさん安心して大丈夫ですよ。もうすぐ終わりますから」


 リサーナさんも不思議な人です。まだ私と出会って数日しか経ってないのに完全に信頼してくれているのです。信頼されると言うのはなんだか心が暖かくなる感じがして私は好きです。

 それではリサーナさんの言う通りにさっさと終わらせましょうか。


 相手からは見えていないのでこちらからやりたい放題出来るのです。まずは一番強そうな男を軽く蹴飛ばします。


「えいやっ」

「げぇっ!?」


 あ、あれ? やりすぎましたかね? 男は吹き飛ばされて壁に突き刺さってしまいました。レヴィさんやステラさんなら無傷でいられるくらいなんですけどね。


「な、なんだぁ!?」

「何が起こってやがる!」

「ぎぇっ!」


 うるさいので頭を地面に叩きつけます。顔面から行ったので何本か歯が折れるくらいでしょう。無闇に人は殺さないので倒れている二人は死んでませんよ。多分ですけど。


「こ、これも竜鱗族の力なのか!?」

「ひ、ひぃぃ! ば、化物だァ! 逃げるぞ!」


 逃がすわけが無いじゃないですか。逃げようとする男二人の首元を掴んでお互いの頭を激突させます。それだけで二人は気絶しました。

 簡単なお掃除でしたね。


「さ、行きましょうか」

「はい!」

「助かったのだ! ありがとう!」

「いえいえ、もう大通りはすぐですよ」


 今通った通りは本当に人通りが少なく、路地のような所だったから狙われたのでしょうか? それはともかく大通りに戻ってきました。


「お! あれか! あれが、ギルドか?」


 いつの間にか結構進んでいたようで、大通りに出た目の前に立派な造りの建物がありました。

 確かに目立つ建物ですね。周りの建物なんかよりずっと大きいです。


「メルガスと同じ感じなんですね。早速冒険者登録しましょう! 早く終わらせてアスカ達をドヤ顔で待つのですよー!」

「そうだな! 私達だって出来るという所を見せるぞー!」


 二人は無垢な表情で真っ先にギルドに入っていきました。お金、私が持ってるんですけどね......


「それにしても、やっぱりギルドだと魔除けしっかり張ってあるんですねぇ......」


 ギルドや教会、王城などには魔族や魔物、悪魔などが入れないように強固な結界を聖職者や聖騎士が張っているのです。一般人には何も影響は無いんですけど、私のような悪魔が通ろうとすると絶大なダメージを受けることになるんですよね。本当に痛いのは嫌いです。


「でも、人族に紛れれば普通に通れるってちょろいもんですよねー」


 ギルドに張ってるくらいの結界ならば、人族に変化すれば楽に通り抜けれるのです。流石に王城などに張ってあるような結界では不可能ですけどね。


「はぁ、やっぱり動きにくい感じですね」


 結界の中だとダメージを受けない代わりにステータスが大幅に下がるんですよね。だから、今はすっごい体が重いです。


「あ、ちゃんと並んでるんですね」


 受付の前には数人の列が出来ており、リサーナさんとレヴィさんはしっかりと並んでいた。良かった、そこら辺の常識はあるみたいです。


「アイリスさん! レヴィさん!」

「だ、誰です!?」

「あ、ラ・ビールだろ? どうして人族の姿なんかして――」

「そ、そこは秘密でお願いします!」


 危うくレヴィさんに私の正体をバラされるところでした。危ない危ない。


「次の方ー」


 どうやら次の番のようで、私達は受付に向かう。


「どのようなご要件で?」

「ぼ、冒険者登録をしに来ました!」

「私もだ!」


 リサーナさんは少し緊張している感じですね。レヴィさんは身長が低いので背伸びをしないと受付に届かないみたいです。頑張って背伸びをしている姿がなんとも微笑ましいですね。


「そちらの方はどうしますか?」

「あ、私は既にしていますので、二人だけお願いします」


 そう言って私は自分のギルドカードを見せる。


「畏まりました。ではお二人の冒険者登録ですので、銅貨十枚に必要になりますが大丈夫ですか?」

「あっ、そう言えばアスカがお金必要とか言ってましたね。レヴィ持ってますか?」

「ん? お金? そんなの持ってないぞ?」

「えっ、ど、どうしましょう!? お金無いと登録出来ませんよ!」

「なん......だって......!? アスカにドヤ顔する計画はここでおしまいなのか!?」


 リサーナさんとレヴィさんはいくら見てても飽きなさそうで面白いですが、ここらで助けてあげないとですね。


「お金なら私が持っていますよ。こちらです」


 かっこよく金貨一枚を差し出す私です。


「き、金貨ですね......はい、お釣りは銀貨九枚と銅貨九十枚になります」


 金貨一枚がなんか更に増えて返ってきました。銀貨とか銅貨とかよく分かりませんね。


「おぉ、ラ・ビールさんかっこいいです!」

「私もそんな風に出してみたいな!」

「えへへ......」


 そんなに褒められると照れてしまいますね。二人はギルドカードを受け取って、これでみんなFランク冒険者になれましたね。登録する時にリサーナさんがアイリス名義で登録するのを嫌がっていましたが、ちゃんと登録できました。


「奴隷にまで冒険者登録させるなんて珍しいですね」


 不意に放たれた受付嬢さんのその言葉に、少し傷付きました。どうして人族は見た目が少し違うだけで侮蔑するのでしょうか。


「レヴィは奴隷なんかではないです。ちゃんと、私達の家族です」

「そうですね。レヴィさんは家族です」


 そう言って少し元気のなくなったレヴィさんを連れてさっさとこの場を離れることにしました。受付嬢さんはそんな私達を奇怪な表情で眺めていました。

 当たり前の事を否定されて不思議だったのでしょうか。私からするとアスカ様達以外が不思議に見えてきますね......


「やっぱり、亜人って変なのか?」


 せっかくギルドカードも貰えて調子の良かった時にかけられたなんの悪気もないあの言葉に、レヴィさんは見るからに落ち込んでいるようです。

 そんな時、リサーナさんが思わぬ事を言ってくれました。


「変? 変でも良いじゃないですか。アスカはどんなレヴィでも受け入れてくれますよ。それに私なんて半人半魔ですし、恐らくレヴィなんかよりずっと変ですよ?」

「あ、アイリスさんって半人半魔なんですか......?」

「リサーナはハーフだったのか?」


 悪魔の私ですら驚かされるほどの事実を軽くポンと言うように言ってのけたリサーナさんに驚きを隠せません。

 半人半魔とは、人と交わるという禁忌を犯した魔族が生むハーフなのです。ハーフとは、人と魔、人と獣、獣と魔など、種族を超えた交配で生まれた者達を指します。彼らはどの種族でも中途半端で邪魔な扱いをされていて、この世界に居場所は無いとまで言われているのです。

 

「知らなかったですか? メルガスだと有名なんですよ。第三王女はハーフの醜女だって。私も、いっそ死んでしまおうかとか思ったこともありましたけど、そんな時にアスカと会えたのです。そこでアスカは、どんな私でも受け入れてくれるって言ってくれたのですよ。ですから、レヴィも元気だしてください。レヴィが元気じゃないと私達も元気なくなっちゃいますよー?」

「そ、そうか......そうだな。リサ、アイリスありがとう。私はもう、元気出たぞ!」


 そう言うと、レヴィさんは先程までの元気のなくなった表情から打って変わっていつものレヴィさんに早変わりです。

 リサーナさんとアスカ様の不思議な関係はこのようにして出来ていたのでしょうか。

 リサーナさんは一番のライバルかもしれません!





 私達はやる事も終わったので、のんびりとギルド内で待つことにしました。その時の会話を誰かに聞かれていたなんて事も考えずに......



 この時、さっさとギルドを出てしまわなかったのが私にとって一番の失態でした。

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