48話 アスカのユニークスキル
もうそろそろ2章も終わりそうです!
感想、評価にブクマありがとうございます。
今日も今日とてコカトリスの丸焼きが皿に乗る。
「アスカ......贅沢なこと言ってるのはわかるんですけど、そろそろ飽きてきますね......」
「わ、私も......もう一生分食べた気がするぞ......」
「お主らもう要らぬのか? 我が食べてしんぜよう」
テカテカと脂の滴る最高級鶏肉コカトリスさん。
この世界であなたのお肉を食べ飽きるなんて人、いるのかしらね......
うん、私は結構前から飽きてたけどさ。
「そうだよね、そろそろ他の食べ物も何か食べたいよね」
我が儘を言えるのであれば、スイーツが食べたい。魚が食べたい。果物が食べたい。
ウィルガルムに着いたら食料品の調達が最優先事項かな。
しかし、飽きたと言いながらも食べ進めるリサーナとレヴィ。パンデミアさんは相変わらず、食欲に衰えは無い! とか言ってすごい勢いで食べてるし。
ラ・ビールとステラはまだ起きてこない。そろそろちゃん付けで呼ぶのも面倒くさくなったし、いいか。
今の内に私のステータスでも確認しておこうかな。
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アスカ・ニシミヤ 女性 18歳
魔女
レベル148
封印
HP73800/73800
MP126000/126000
STR96100
VIT89710
《スキル》
火魔法Lv.10、水魔法Lv.10、風魔法Lv.10、土魔法Lv.10、光魔法Lv.10、闇魔法Lv.10、空間魔法Lv.10【NEW】、破滅魔法Lv.10、結界Lv.10【NEW】、火耐性、水耐性、風耐性、土耐性、雷耐性、光耐性、闇耐性、回復魔法Lv.10、鑑定Lv.10、魔力操作、魔力感知、詠唱省略、縮地、剣術(短剣)Lv.1、幸運Lv.4、自己再生、詐称、情報操作、身体強化Lv.3、調理Lv.5、手加減、思考加速Lv.1【NEW】
《称号》
転生者、魔物の殺戮者、勇気ある者、魔王、魔王の友、リサーナの嫁、フラグ回収のプロ、天然の人たらし、脳筋、ドライアドの友、反逆者、残虐者、ドライな人
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レベルが上がってないのでステータスに変化は無い。
スキルに結界と思考加速と空間魔法が追加されてるね。空間魔法以外はいつの間に、って感じだけどさ。
思考加速は読んで字の如く、思考を加速するってスキルだ。Lv.1だから少し世界の動きがスローに感じるくらいだね。こんなの使わなくても身体強化で脳味噌フル回転させればどうにかなりそう。
状態が封印なのは仮面のせいだろう。だんだん体の一部みたいに、あるのが当たり前になりそうなくらいに馴染んできている。 ――同一化とかされたらどうしようかな......
称号が結構増えてるんだけど......不名誉な称号が多すぎて思わず溜め息を吐きたくなる。
称号の基準を作ったのがシュバルだとしたら、許さん。今はどうしようもないので情報操作スキルで適当に見えないようにしておく。
さて、問題の転生者の二重鑑定をしてみると、私の転生特典なるものが判明した。
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転生者
時として転生者は特異能力を持って生まれる。特異能力は人の数だけ存在すると言われている。
特異能力 魔術の超越
魔導を極めた者が持つスキル。獲得する魔法のスキルレベルが獲得時に最高レベルになる。魔法を発動する際の詠唱を一小節まで短縮させることが出来る。魔法創造が可能になる。
その他、魔導の極の能力も付加される。
特異能力 UNKNOWN
スキル獲得に必要な条件が緩和される。
このスキルを発動する際、発動者の寿命を食らう。
ハカイ ヲ ノゾメ ......
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「は......?」
「アスカ?」
「あっ、ごめんごめん。なんでもないよ」
我が目を疑った。思わず疑問の声が漏れてしまうくらいに。特異能力って一人に一つとかじゃないのはこの際どうでもいい。
問題は特異能力の名前と効果でしょう!?
何さUNKNOWNって! 私もわかりません!
後で使ってみようかな......何も知らない方が怖いというものだ。
魔術の超越に関しては私が望んだ能力って感じなのかな? 二つ目の能力に関しては私、詠唱省略で無詠唱で発動余裕だからね。死にスキルってやつか。
私の魔法スキルのレベルがカンストしているのはこのスキルのおかげなのね。ありがたい。
因みに、魔導の極と言うスキルはこんな感じだ。
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魔導の極
魔法発動時の消費魔力の削減(1/4)、魔法の威力増加、魔法系スキルの獲得条件の緩和、極大魔法の個人行使の可能化。MP回復速度が上昇する。
肉体的ステータスに自身のレベル分だけマイナス補正がかかる。
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つまり私は魔法特化型になる、はずなのだが......
魔法を使うよりも拳で戦う方が早く済むのだ。
レベルが高すぎるのだろうか。レベル分だけマイナスされても殆ど変化無いので、デメリットは考えなくて良さそうだ。
「う、ここ、は......?」
丁度確認し終わった時に、ラ・ビールが目を覚ました。見知らぬ天井 (大空の真下だが) を見上げ状況整理をしているようだ。
「アスカ、あの子は......?」
「......彼女は悪魔令嬢のラ・ビール。強い洗脳を受けていたのをまおーが助けた」
「あ、ステラおはよう」
「おはようまおー」
いつの間にか起きてきていたステラが代わりに説明してくれた。私が挨拶をすると、返事と一緒に飛び付いてくる。左腕と右目を失っているというのに元気じゃないか? 怪我をさせないように優しく受け流す。
「だっ、誰ですかこの子は!? そ、そそそれに、アスカは私のですよ! 渡しません!」
そう言ってステラに張り合うように私に抱きついてくる。
おいおい、ラ・ビールの事はもういいの......? と思いつつも、そっと包み込むように迎える。
「アスカはいつから現地妻を調達するようになったのですか!」
「何それ......。それに、私はノンケだって言ってるじゃん。好きになるのは異性だけだからね?」
現地妻を作るってことは、既に正妻がいると思わせる口ぶりだね。
前世から色恋沙汰には全く縁のなかった私。転生してから女の子にしかモテなくてちょっと複雑な気分です......
「うっ、うっ......そんな......アスカは、いつか男性と結婚しちゃうんですか? そんなの嫌です〜!」
「あー、はいはい。私はモテないからねぇ。私を好きになるような物好きはリサーナくらいだよ......」
自分で言ってて心に刺さるのだが......
適当な慰めで機嫌が治ったようで、
「そうなのです......アスカは、ずっと私と一緒なのですよ......置いていっちゃ嫌です......」
治った。治っ......たのかな?
ちょっとヤンデレになりそうで心配です。
とりあえずこの修羅場を助けてもらおうとパンデミアさんに視線を送ると、
めちゃくちゃ清々しい笑顔を向けてきた。
ちくしょう! 優雅に食後のティータイムなんかしてるよ! 唯一動けるレヴィに助けを求めるが、
「アスカ〜......むにゃ」
二度寝していた。
う、羨ましい! 私、昨晩寝てないんですけど!
しかし、幼女ゆえ致し方なしか......愛らしい表情で幸せそうに眠るレヴィを見ていると、全てがどうでも良くなる気がする。
「......むぅ。まおーは、私の」
「むっ! アスカは渡しませんよ!」
リサーナとステラがお互いに掴み合って火花を散らしている。ステータスだけを見ればステラの圧倒的勝利の筈だが、拮抗している。
この修羅場をどう抜け出そうか考えようとした時、どこからともなく声が響いた。
『全ての光を呑め、喰らえ。世界に混沌と破滅を齎せ。開け、地獄門よ』
その直後、放心状態となっているラ・ビールの背後に巨大な門が浮かび上がる。
黒き炎を纏い、悪魔の装飾の施された正に地獄の門。
「この声は......サタンか!?」
優雅にティータイムをしていたパンデミアさんが険しい表情で立ち上がる。
「父、様......か。なるほど、そうか......」
パンデミアさんの声で、ラ・ビールは我に戻ったのか、その上で何かを悟ったように諦めた表情に変わる。
「リサーナ、レヴィ連れて下がって。ステラ、二人を任せてもいい?」
「任せて」
「アスカ......」
「わかってるよ。ここまで助けたんだから最後まで面倒は見てあげるつもり。だから、いい子にして待ってるんだよ」
「はい! でも、アスカも無茶しちゃダメですからね!」
リサーナはそう言って、まだ眠たそうにしているレヴィを抱えてこの場から少し離れる。
「神絶結界!」
シュバルの使っていた結界を見様見真似で再現する。
範囲指定で、地獄門と私とラ・ビール、それからパンデミアさんのいる範囲を覆う。
「神の使う結界をも再現するとはな! ハッハッハ! 最早なんでもありだな!」
「パンデミアさん、ラ・ビールと話している間、私たちを守ってね」
「む? 出来る限りの事はしようではないか」
私は地獄門が開き始めるのと同じくしてラ・ビールに駆け寄った。
「ククク、さぁ、開くぞ! ジャグウェルの無念、この俺の手で果たしてやる」
「サタン様! 軍の準備は整いました。いつでも出撃可能です」
我が娘、ラ・ビールに付けた監視役であり、俺の右腕、側近のジャグウェルが唐突に死んだ。
わざとラ・ビールに母親を殺す所を目撃させ、復讐によって新しい力を目覚めさせようと思ったのだが......
いつになっても目覚める気配は無い。
「ラ・ビールに付けたマーキングが働いていたお陰でなんなく処理できそうだ。使えん娘は我が手で滅ぼしてやろう」
暗黒魔法と空間魔法の混合技、『地獄門』。集団転送魔法であり、集団殲滅魔法でもあるこの魔法は確実に座標を捉えなければ発動の難しい魔法なのだ。
しかし、ラ・ビールに付けたマーキングにより座標特定は完璧。ジャグウェルを殺したと思われる相手もそこにいるので纏めて殺そうという作戦だ。
「行くぞ! 我が軍団よ! 目に付く者全てを殺せ!」
「「「おおおおおお!!!」」」
サタン自ら赴くというのは極希。ラ・ビールを殺すのは、娘を殺すのは親である自分の責務だと言って、部下の反対を押し切り無理矢理最前線に立ったのである。
そして、ついに地獄門が開かれた。
「一匹残らず魂を刈り取れ!」
黒い嵐のように大量の悪魔が開かれた地獄門を潜り出す。もちろん、大魔王サタン自身も。
しかし、その先に見たものは、真なる地獄を体現したかのような化け物がいたのだった。
地獄門が開き、隙間から次々と黒い点が飛び出してくる。一瞬で辺り一帯が黒く染まる。
神絶結界を張ってなければ周囲への被害は甚大だっただろう。
「ラ・ビール。ラ・ビール!」
「な、なんだ? 私はもう、死ぬしかないのだ......」
地獄門、サタン、大量の悪魔達。これらから連想されるのは、恐らく処刑か何かだろう。
だが、ラ・ビールの身は今は私が確保している状態。それに手を出す愚か者を、私は許したりしない。
「パンデミアさん、少しの間暴れてていいよ。神絶結界の中なら魔力をいくら放出しても漏れることは無いよ。多分ね」
「最後の言葉が不吉だが......まぁよい。我の本気を見せてやろうぞ。その眼にキッチリと収めるのだぞ!」
「はいはい、私が行くまで倒れなければ認めてあげるよ」
「ハハッ、なぁに、倒してしまっても構わんのだろう?」
ツッコまないぞ。絶対にツッコまないぞ。
そう言ってパンデミアさんは大量の悪魔達に勢いよく向かって行った。
私はラ・ビールに少し聞いておきたいことがある。
「ラ・ビール。話は出来る?」
「ふん。死ぬまでの残り僅かな時間くらい、一人にしてほしいものだがな......」
あー、もう。面倒くさいやつだなぁ!
正気に戻すために一発ビンタしてやろう。
「はぶっ!」
漫画のように飛んで行ったけど、一応手加減スキルは発動させておいたから死んではいないはず。
近寄って起き上がらせる。
「ほら、話をするの? しないの? どっち?」
「わ、分かった、するから、するからぁ......」
頬を抑えて涙目になりながらも答えてくれた。
なんか私が泣かせたみたいだけど、面倒くさいラ・ビールがいけないのだ。
一先ず話が出来る状態になったので、事情聴取タイムだ。と、その時、大量の悪魔達が次々と吹き飛ぶ光景を目にした。
「ハッハッハ! 温い、温い、温いぞ悪魔共め! 三百年前はもっと骨があるヤツがいたのだが、どうした! そんなものかぁ! フハハハハ!」
これまでに見たこともない満面の笑みで悪魔達を蹂躙するパンデミアさんがいた。
楽しそうなので私も早くあっちに混ざりたい。
ラ・ビールは悪魔達が蹂躙される光景を見て開いた口が塞がらないようだ。
「あ、あの人は......? 父様の悪魔軍がいともたやすく蹂躙されるだなんて......」
「さ、私も早く行きたいからさ、私の質問に答えてくれるかな?」
背後では悪魔達が次々と吹き飛び断末魔の叫びが聞こえ、パンデミアさんの愉快な笑い声が響く。
気分は前世のドラマでよく見た取締室の渋いおじさん。レッツ事情聴取! カツ丼は無いよ。




