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最強魔女さんの混沌とした日常  作者: クリオネ
第二章
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32話 竜鱗族の現状


「この度はなんとお礼を申したらよいか......。ご飯もいただいた上に格上なる相手に自分の力を過信して過ぎた態度を取ったこと、本当に申し訳なく思っております......」

「え......あ、はい......」


 え、何この展開。

 ご飯を食べ終わってお茶飲んで寛いでいたら急にレヴィさんが土下座してきたんだよね。

 それも物凄く切羽詰まった表情で。

 リサーナなんて、いつもはお茶を飲み終わるまでぐでーっとしているのに、今回は驚いて固まっている。


「どうか、どうかお許しください......」

「えっと、あのー、よくわからないんですけど? 別に、許すも何も、気に触るほどでも無かったんで、大丈夫ですよ?」

「お、お許しになられるのですか!? 多大なるお慈悲を、感謝いたします......」


 そう言ってレヴィさんは恭しく更に深く頭を下げる。

 それ以上下げたら地面にめり込むんじゃないかと思うくらい、額を地面に擦り付けている。


「リサーナ、説明プリーズ」


 こういう時はリサーナに聞こうかな。

 固まっていたけど、私が声をかけるとすぐに我に戻ったようで、説明を始めてくれた。


「えっとですね、竜鱗族は思慮深い一族と伝わっていますから、恐らく何らかの方法でアスカの実力? でしょうか。それを理解し、アスカに対しての接し方で生き死にが決まるとわかった上で、アスカに慈悲を求めたのが事の顛末では無いでしょうか? 私も本に書いてあった事しか知らないので本当の事かはわかりませんけどね。でもまさかここまでとは......」

「はい、大体はそうですね」


 いつの間にか起き上がったレヴィさんが肯定したから、きっとそうなのだろう。

 リサーナの博識っぷりには脱帽だね。


「あれ? でも私の実力、かな? それはどうやってわわかったの?」


 詐称スキルと情報操作スキルで、ステータス欄は覗かれてもごく一般的な物しか見えないはず。それなのに私の実力を知るとはどんな能力なのだろうか?


「簡単な事ですよ? アスカ様の体から漏れている尋常ならざる程の魔力の量と質でございます」


 えっ、私からそんなの漏れているの? うわっ、恥ずかしいんだけど!

 あれ、確かそんな事を誰かも言っていたような......


「あ、クリルって男の人からもそんな事言われたような気がする」

「なんと!? 同族の無礼な行為、お許しください......しかし、あのクリルを打ち負かすとは流石ですね!」

「あはは、そんな事無いよ。後、その話し方疲れない? 砕けた話し方でいいから気にしないで」

「そ、そんな恐れ多いことなど......!」

「私も疲れるからさ、これから少しの間だけど仲良くししたいし」

「は、はい! 私も、普通に話すことにします!」

「そうしてくれると、嬉しいかな」


 レヴィさんと話していると、不意にリサーナが背中に抱きついてきた。腕を前に回してガッチリホールドだ。


「むー」


 首を少し後ろに向けると、リサーナは頬を膨らませていかにも怒っていますよと言う雰囲気を醸し出している。

 まだ、お腹空いているのだろうか?


「どうしたの? まだ食べたいの?」

「アスカは、私のです!」


 今度はレヴィさんに向けて威嚇するように言葉を放つ。

 いつから私はリサーナの物になったんだい?


「むっ! アスカ様がお困りの様子! 離れなさい!」

「いーやーでーすー! アスカは私とたくさんお話するんですー!」

「は、離れなさいってば! 私だってアスカ様には話しておかねばならぬ事があるのです!」

「そんな事知りません! それにアスカに知らせることがあるなら私も聞いてもいいじゃないですか! さっきから2人で楽しそうに話してぇ......私が空気みたいじゃないですか! 寂しいです! アスカ構ってください!」

「貴女、そっちが本音でしょう! いい加減に離れなさい!」

「いーやー!」


 終いには私の右側をリサーナ、左側をレヴィさんが引っ張り合う事になった。

 リサーナの焼きもち焼く姿、これもまた可愛いな。




 そんな事がありつつ、レヴィさんが竜鱗族の現状について話をすることになった。

 最終的にリサーナは私の膝の上、レヴィさんは私の隣と言う事に落ち着いた。

 リサーナが膝の上で機嫌を直してくれて良かった。でもなんでレヴィさんまで隣に座る事になったのだろうか。


「我々竜鱗族は、正体不明の伝染病により、存亡の危機に瀕しているのだ」


 お、おお? 予想の斜め上を行く現状。

 そしてレヴィさんの普通の話し方はかなり男っぽいね。かっこいいね。


「存亡の危機? そんなに死んじゃったの?」

「いや、今のところ死者は出ていない。しかし死者が出るのは時間の問題だろう。子供、老人、女性など体の弱い者達から伝染病にかかり、既に里の4割は伝染病に侵されている。病の進行の早い者はいつ死んでもおかしくない者もいる......」


 かなり酷い現状だ。リサーナの顔も険しくなる。


「効く薬とかも、無いの?」

「あ、それならメルガスに万能薬と言うお薬がありますよ! ちょっと高いんですけどね......」


 リサーナ、ナイス情報! これで救われるかな?


「それは知っているのだ。その万能薬を買わせに、足の速い者を使いに出しているのだが、一向に帰ってくる気配が無いのだ。普通なら往復に四日程なのにな」


 あ、それ多分検問に引っかかっているんだと思います。犯人、私達です。ごめんなさい。

この事は黙っておこう。と、心の中で謝っておく。


「万能薬があれば全員助かる見込みはあるの?」

「伝染病にかかっている者の人数が多すぎるから買ってきた万能薬だけでは足りぬだろう......」

「助からない命もある、と?」


 レヴィさんはその質問には答えなかった。

 ただ、顔を伏せて悔しそうに顔を歪めているのが見えた。


「アスカアスカ」


 リサーナが服の裾を引っ張り、小声で私を呼ぶ。


「どうしたの?」


 レヴィさんに聞かれないようにリサーナに合わせて小声になる。しかし、レヴィさんの耳がピクピク動いているので多分聞かれているのだろう。


「アスカなら、治せるんじゃないですか? 私の怪我もあっという間に治せましたし」

「治せるかもね。でも、それはダメだよ」


 正直、余裕で治せると思う。でも、万能薬でしか治せないような伝染病を治すほどの魔法があるなら、最初からそれを使うのだろう。

 しかし、治せていないと言うことは、そんな魔法がこの世にあるわけがない! か、そのような魔法を使える者がいないか、だ。

 希望的観測で後者だとしたら、私がそんな魔法を使うなんて目立つ事をしたくないから。

 レヴィさんはいい人だから、伝染病の進行速度を遅らせるくらいのことはしてもいいけどね。

 この旨をリサーナにつまんで話すと、


「そう、ですか......確かに目立つ事は出来ないです。けど! 助けてあげたいのです......」


 そんな潤んだ瞳で見つめられると......!

 最近思ったけど、私ってばリサーナに甘い気がする。

 でも仕方ないかな。私だって知り合いの身内が死ぬのを見ているだけなんて嫌だもんね。


「リサーナもお人好しだね。手伝うくらいならしてあげよう。ただし、私は伝染病で人が死なないようにする事しかしないよ? リサーナが出来る限りの事をしてね?」

「うっ! アスカ......酷いのです。でも、ありがとうございます! 精一杯頑張りますね!」

「と、まぁ、レヴィさん? そう言う事ですので」

「......ふぇっ?」


 急に話を振られて少しの間があったが、私、何も聞いてませんよ? と言いたげに反応をするレヴィさん。

 いやいや、顔がにやけているのが丸わかりですよ。


「リサーナが、伝染病について知識があるそうなので、少しならお手伝い出来るそうですよ。里へ案内してもらっても?」


 リサーナが「本当に丸投げするつもりなんですね」と恨めしげに睨んでいるが気にしない。気にしない。

 私は何もしないなんて言っちゃったけど、きっと手伝わされるハメになるのはわかっているのだ。


「う、うむ! 本当に、ありがとう! 是非とも里へ来てくれ! 」


 レヴィさんが満面の笑みで里へ行くのを了承してくれた。

 そして、そのまま里へ案内してくれる事になった。その道中、レヴィさんが聞いてきた。


「アスカ様とリサーナは、やっぱり天の使いなのか?」

「天の使い? 会った時にも言ったけど、私はどこにでもいる魔女さんだよ? で、リサーナは元お姫様の今は一般人」

「だーかーらー、私はアスカのお姫様ですー!」


 うーん、頭をぶつけた後遺症がまだ残っているみたいだ。


「違うのか? 今のところ、伝承通りなのだ。ヘイルの言ってた通りになってしまったな」

「伝承? 歩きながらでいいから聞かせてくれる?」

「私も、気になります」


 リサーナは欲望に忠実だよね。食欲に知識欲にと。


「そうだな、話すとしよう。この伝承は、我ら竜鱗族に古くから伝わる伝承なのだ。昔話と思って聞いてくれ」


 私達は黙ってレヴィさんの語る古の物語に耳を傾けた。

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